*星空文庫

星が見たいの : 5

黒崎野蒜 作

ハデスはQ国の一部を木端微塵に吹っ飛ばした。

爆心地のあたりは放射線量が高く、近づけば人間など即死してしまう。

今後50年は生き物の住めない場所になると言われている。

研究員たちの反乱に続き他の国民も各地で武装蜂起をはじめ、Q国の独裁政権は倒された。

その後多国籍軍の治安維持によって徐々に混乱は収まった。

そしてQ国は議会制民主主義の形をとり、紛争後目覚ましい発展を遂げた。

Q国はとても平和ないい国となった。



これで昔の話はおしまい。おもしろかった?

ここからは仕事もせずにぐだぐだこの話を読んでいた大半のダメ人間のための話ではありません。

ある一人の人のために書きます。



リツです。

久しぶりだね

君にあてて書いてんだよ

わかってんの?

スバル

柄でもなく反乱軍なんか入りやがって、私は危うく君のことを殺しかけたんだよ。

わかってんの?

このクソメガネ!

機械の私に優しくしたり、

君の考えてることは昔から意味不明だった。

友達になりたいとか

私にも心があるとか

正直、何言ってんだって思ってた。

私はただの軍事兵器なのに。

バカなのかなって思った。

でも、人みたいに接されて

実はちょっとうれしかった

お礼なんて言わないよ

誰も私に優しくしろなんて、

言ってないんだから!

私も自分に心があるのか考えたんだ。

他の奴らは否定するかもしれないけど、

自分があるって信じてたら、

本当に持ってるような気がしてきた。

私は心を持っています。

私は心を持った生き物なんです。

すごいだろ~。

だからスバル

私はわがままを言います。

そのくらいはしてもいいよね?

スバルは今どこにいますか?

私が君たちをふっ飛ばしたとき、

君はもうシェルターの中にいたんだよね?

あれからもう三年たったけど、シェルターの中の食料はそんなにはないから

あそこから這い出して

となりの国にでも逃げたんだよね?

そうだよね?

私はQ国政府が崩壊するとき、電話線からこっそりネットの中に逃げました。

そして今この手紙を書いています。

お願いです

私に会いに来て!

梅雨のソナタも見終わっちゃったし、

ぶっちゃけ暇なんだよね。

君とまた、おしゃべりがしたい

今もどこかで、生きてるんでしょ?

私を

一人にしないで。



というわけでわがままを言います。

心して聞きなさいよ。

昔のQ国って大気汚染がひどくて、夜も真っ暗だったじゃん?

私ちゃんと星見たことないんだよね

君の名前もさ、

星の名前なんだしさ、

なんていうか……

……ヤバっ…

超照れるな、これ…笑

私ね、

私はね、

君と一緒に

星が見たいの。

『星が見たいの : 5』

『星が見たいの : 5』 黒崎野蒜 作

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-09-12
Copyrighted

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。