嫌われ者

私 リュウ の処女作になります。
文法・表現など稚拙で読みづらい部分も多々あるかと思いますが、
どうぞ最後までお読みいただければ幸いです。

はぁ…はぁ…。

どれだけ走っただろうか。
張り裂けそうなくらいに心臓が痛い。
足もとっくに限界を超えている。
後ろを走る友人も息を荒げ、かなり辛そうだった。
「頑張れ!」
振り返って友人を励ます。
友人は聞こえていないのか、返事をする余裕がないのか、何も答えなかった。
僕は前向き、走る。

僕たちは追われていた。

友人と遊びに出かけた帰り、大きな武器を持った男にいきなり襲われた。
「殺してやる」
そう言って男は僕たちに暴力を振るった。
咄嗟に僕を庇ってくれた友人の腕は男の武器によって砕かれた。
悲鳴をあげる友人。
僕たちは走ってその場から逃げ出した。
だけど、逃げても逃げてもそいつは追いかけてくる。

はぁ…はぁ…。

息がすごく苦しい。
足を止めてしまいたくなるくらい肺が痛い。
足も今にも千切れてしまいそうだ。

はぁ…はぁ…はぁ…。

喉が熱い。
苦しい。
苦しい。

と、僕の少し後ろを走っていた友人が何かに躓いたのか、派手に転んだ。
ハッと振り返ると、男が友人目掛けて武器を振り下ろす瞬間だった。

グシャ。

僕の見ている前で男の振り下ろした武器が友人の頭に命中した。
辺りに友人の頭の破片が飛び散った。
友人は少しピクピクと痙攣した後、動かなくなってしまった。

僕は走り出した。
助かる可能性があるかも知れない友人を置き去りにして。

走った。
走った。
走った。
嘔吐物を撒き散らしながら僕は走った。
僕たちが何をしたって言うんだ。
何もしてない。
今日だってただ友人と遊びに行っていただけ。
男は武器を振りかざし尚も追いかけてきた。

はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。

心臓が破裂しそうなほど痛い。
息が苦しい。
足も切り捨てたいほどに痛みを増している。
喉も焼けるように熱い。

はぁ…。はぁ…。はぁ…。

もうダメだ。
そう思ったところで足が痙攣しだし、僕はその場に倒れこんだ。
後ろを振り返ると男が笑みを浮かべながら武器を振り上げるところだった

ゴシャ

「ああああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁ」
僕は悲鳴をあげた。
男の武器は僕の下半身に振り下ろされ、骨を砕き血肉を露にさせた。
痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。
激痛で意識が飛びそうになるのを堪え、上半身だけで這い出す。

「こいつ、まだ動きやがるのか」
男が呟いた。
でもそんなことに構っている時間はない。
一歩、また一歩と這って逃げる。
だが、下半身が潰されている僕が男から逃げ切れるはずはなかった。
男の一撃は僕の頭部を直撃した。
意識が遠のく。

何で何もしていないのにこんな目に遭わなきゃいけないんだ。
僕たちは何も悪いことはしていないのに。
これまで生きてきたことは無意味だったのか。
こんな理不尽な死があっていいのか。

完全に意識がなくなる前に男が呟いた言葉が聞こえた。
僕はその単語を知らない。
何か特別な意味があるのだろうか。

男が最後に言い放った一言は



「手間取らせやがって"ゴキブリ"が」

だった。

嫌われ者

最後までお読み頂きありがとうございます。

いかがでしたでしょうか。
我々が普段忌み嫌い、見つけたら他に数十匹はいるという通称「G」をG目線で書いてみました。

生き物はみな平等に命が宿っています。
蚊も人間も犬も猫も同じ命をひとつ持って生まれます。
これを機会にGの見方を変えられたらいいかなと思います。

高尚な事をいうつもりはありません。
私自身Gを見つけたら10秒で始末する自信があります。

でも、記憶の片隅にでも置いておいて頂けたらうれしいです。

リュウ

嫌われ者

僕達は何も悪いことはしてないよ。 なのにどうして僕達は命を狙われないといけないの? 僕らが生まれたこの世界は あまりにも 理不尽な世界だった。

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-08-24

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND