*星空文庫

ことわざ×寓話 鶍の嘴

ドライアドの本棚 作

ことわざ×寓話 鶍の嘴

ひと昔まえ、
ある山奥の学校で、給食の最中
ウサギのマルは、採食の動物特製チャーハンをたべていました。
しかし、どうしてもニンジンのごわごわした食感がなじめません、
けれど、野菜は全て、コロコロとした四角いかたちにして、まぜこぜになっています。
そこで、いったん目立つ赤いコロコロをどけたあと
口に入ったものも、お皿のはしっこはいておいておきました。

左前の机で、それをみてきた
先生がマルの机のまえまでやってきていいました。
『すべて食べないと体にわるいよ。』

ニンジン嫌いのマルは、昨日母親に言われた事を思いだしました。
(ニンジンが食べられないと何を食べて生きるの)
母はどういう意味でそれをいったのか、
頭のいいウサギのマルは考えます。
学校にいる間中、
一日中考えていました。
(これは、僕だけの悩みだろうか)
家に帰ってたずねると、
お母さんは、

『体に悪いって事はないよ、先生にちゃんと昨日のことをいっておいたから。
だから、全てたべなさいって事をいったのよ。
昨日、テレビで、母ちゃんがニンジンにはいっぱい栄養があるってやってたの丁度みたからね』

マルはあることわざを思いました

『鶍の嘴のすれ違い、だ
僕は昨日、お母さんに、ニンジンくらい食べなくても生きていけるといいたかったけど
今日先生に、全てたべないと体にわるいといわれてギクっとした
もやもやした、ひょっとしたらいらいらした気持ちがあった。
いわれなくても、食べようとしていたしね。
それで一日中、その事ばかり考えていた』

お母さんはそのことわざを久々に聞いたので少し驚いていました。
そして、どういう意味か知りませんが、
『マルならできるわ』
とぽつりといいました。

マルは、その夜、歯磨きをして、ひっそりと眠りにつく頃になって
(母ちゃんは、ニンジンを食べられないと何を食べて生きるの、という言い方をした、
先生も、全て伝わるようないい方をしなかった、皆せわしなく働いて、
そんな小さな説明ができなかったんだ。
小さな事で悩んでも仕方がない、しっかり我慢して挑戦して、食べる事を試してみよう。
なんだか言い返すのもばからしくなった)

と思いました。

『ことわざ×寓話 鶍の嘴』

『ことわざ×寓話 鶍の嘴』 ドライアドの本棚 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-09-11
Copyrighted

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