*星空文庫

ある朝の気付き

nanamame 作

ある朝の気付き

ダニエルくんとソンウンさん。ついに書いてしまったワナワン、しかもマイナーなカプから。
ペジデフィ、ミニョンジェファン、パク氏s、ジフンリンちゃん、MMOボーイズ、これくらいがメジャーかな、と思っているんですが、どうでしょう。お気に入りはパク氏sだったりします。でも、みんな好きです。

ダニエルの訛りは関西弁で書いています。

***

目覚めるといつも、ここはどこだっけ、と思う。そして一瞬後で、ワナワンの宿舎だと思い出す。
まだ、この状況に慣れていない証拠のような気がして、ソンウンは小さくため息を吐いた。

2度目のデビューを夢見て、頑張った結果の、2度目のデビュー。本当は元々同じグループのテヒョンと一緒だったらもっとよかっただろうけれど、彼が入るとして、では誰が抜けるのかと考えると答えは出ないから、今の11人がベストな結果なのだと考える。

「ふわぁ~」

よく寝た気がするけれど、まだ寝足りない気がする。仕事で忙しいのはありがたい限りだ。活動できなかった時期を考えれば、寝る間もない忙しさは、最初のデビュー前から思い描いていた「アイドル」という姿そのものだ。
実際に体験してみると、辛いことも多いけれど。

寝間着のまま、リビングに行くと、キッチンにジソンヒョンがいて、鍋をかき回していた。料理をしているらしい。その背後からダニエルが、鍋の中身を覗き込んでいる。一人暮らしも長いジソンは普通に料理ができる。ダニエルもミニョンもソンウン自身も、一通りはできるが、世話好きなジソンがすることが多い。

「あ、ソンウン、おはよう。ちょうど出来た所だよ。一緒にご飯食べよう」

「うん」

ジソンの言葉に、ソンウンは笑顔で頷いた。
他のメンバーは仕事に行ったり、学校へ行ったり、まだ寝ている子もいる。

ダニエルは白米をお椀に山盛りにして、嬉しそうに食べている。普通盛りのジソンとソンウンは、ダニエルの食べっぷりを、嬉しそうに眺めるか感心するかどちらかだ。

「お前は本当によく食べるねぇ」

ザクロをちまちま食べながら、ソンウンは感心する方だ。

「ソンウンヒョンも、もっと食べーや。そんなんで足りんの?」

「僕はいいの。ダイエット」

「へ? ソンウン、ダイエットしてたの? ソンウンがするなら、僕もしなきゃいけないじゃん」

ジソンが自分のお腹を擦りながら言う。
ダイエットをしているような、していないような。明確な目標があるわけではないが、コンプレックスである低い身長の分、体型も崩れてしまったら、それこそアイドルとして致命的であると考えているので、食べる量は常にコントロールするようにしているのだ。

「ソンウンヒョンはもっと食べた方がいいんちゃう?」

ダニエルはそう言って、お箸を口に咥えて、空いた手でソンウンの脇腹を摘んできた。くすぐったくて、身を捩る。

「うわっ、あはは! やめろって! 食べたものがそのまま筋肉になるお前とは違うんだよ」

「えへへ~。あ、オンマ! 白飯おかわり~」

ちょうどキッチンに立っていたジソンに向かって、ダニエルが言う。山盛りいっぱい食べて、さらに食べるらしい。鍋の汁物も、1人で完食してしまいそうな勢いだ。

「自分でしなさいよ、全く。おかず、全部食べちゃわないでね。まだ寝てる子の分も入ってるんだから」

「はーい」

多少面倒くさそうな顔をしながらも、ジソンはちゃんとおかわりをよそって、ダニエルに渡した。「オンマ」と呼ばれることは、もう慣れて気にならないようだ。
まだ寝ている子というのは、パク氏たちだろう。ソンウンと同室の2人はきっと学校だ。

「僕はごちそうさま」

隣にいるとさらにちょっかいを出されそうなので、ソンウンは食器を流しに置いて、部屋に戻った。シャワーでも浴びて、着替えて、仕事までゆっくりしていよう。

着替えを持って、バスルームに向かう途中、キッチンを見たら、ジソンが洗い物をしていて、ダニエルは果物を食べていた。本当によく食べるな、と思う。あれで太っていないのが不思議だ。運動をよくしているからか。ジフンもよく食べるし、よく動いているが、あの子はもっちりしていて、筋肉より贅肉になっている気がする。



バスルームで、Tシャツを脱いで、自分の上半身を鏡で見る。太ってはいないが、パフォーマンスで腹筋を見せられる程ではない。運動も多少はしているが、そんなことよりも、身長である。
アイドルの中敷き事情が大ピラになってきたとは言え、内心忸怩たるものがある。自分よりも背の高い女性アイドルも最近よく見る。

ダニエルのように、背が高く、肩幅も広く、腹筋も見せられて、男らしい顔立ちだったなら。
ないものねだりはよくない。両親が育ててくれた身体、自分自身に満足しているし、他のメンバーよりも優れている部分もあるし、歌も顔も自慢できるものだと思っている。
だが、一緒にいるから、どうしても、比べてしまうのだ。

バシャバシャと顔を洗い、もう一回鏡を見ると、ドアの隙間から笑顔を覗かせるダニエルの姿が見えて、ソンウンは驚いた。

「うわっ、びっくりした! 覗き。変態」

「へっへっへっ」

本当に変態のような、あるいは犬のような笑い声を出して、ダニエルは遠慮なくバスルームに入ってきた。

「ソンウンヒョン、やっぱり太ってないやん。ダイエットいらんって」

ジロジロと上半身裸の身体を見つめられて、ソンウンはとっても居心地が悪くなる。隠すほどのことでもないし、恥ずかしがることでもないし、第一、ここで恥ずかしいと思うこと自体が恥ずかしい。

「運動はしなきゃ。お前みたいに、腹筋われてないし」

並んで立つと、余計に体格の差が明らかになる。鏡に映った2人は、同じ男とは思えないくらい、大きさが違う。身長云々より以前に、大きさが違うのだ。
そのことにちょっぴりショックを受けていると、ふいにダニエルが動いて、背後から抱きついてきた。

「ん? な、なに?」

驚きを隠しつつ、意識していない風を装う。自分が抱きつくのはいいが、抱きつかれると、また違う。特にダニエル相手だと、何だか違うのだ。

「ちっちゃくてかわいいな、と思って」

「なぁ!」

人が気にしていることを、遠慮なく言ってしまうのがダニエルだ。そうとは分かっていても、何を言うのだと思って、振り払おうとするが、ちっちゃいソンウンが抵抗しても、ダニエルには全然影響しない。

ああ、悔しい。年下のくせに。

「離せよ」

「いいじゃん」

よくない。なのに、先程より強く抱き締められる。ああ、止めてくれ。悔しいのだ。この体格の差が、年の差が、男振りの差が、意識しないようにしているということを意識させる。

「…シャワーするから、出ていけ」

「うん。あがったら、一緒にゲームしよ」

「うん…」

笑顔を残して、ダニエルがバスルームを出る。

彼が残したのは笑顔だけじゃなかった。意識していることを、意識させたこと。すっぽり包まれることの心地良さ。年齢差と体格差と醸し出す雰囲気の差を、どうしても比べてしまうこと。

「はぁ…」

意識していない。したら駄目だ。頭をブルブルと振って、ソンウンはバスルームの鍵を閉めて、シャワーを浴びるために服を脱いだ。


End.

『ある朝の気付き』

『ある朝の気付き』 nanamame 作

Wanna One、ダニエルくんとソンウンさんのお話。K-Pop、FF、ちょっとBL。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-09-11
Copyrighted

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