約束~逸~ 第二話

約束~逸~ 第二話

約束~逸~の第二話。
前回までのあらずじ。

少年は約束のために女の子と海へ向かっている途中だった。
だが、道中でなんのための約束。そして誰と約束をしていたのか忘れてしまった。
そのまま少年は”約束”自体を忘れてしまい、違和感を覚えたまま目的地に向かう。

最後にみた男の姿は・・・・。
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と、続編の続きです。
ちょっと不思議な青春ホラーです。

この~逸~シリーズは一回で完結しそうにないので分けてどんどん
更新していきます。

またまとめて一つにドーンと投稿しなおしますので
読んでいただけると嬉しいです。

●第2話~道中の異変~

俺たちは約束のために海に向かっている途中。

町から少し離れて、今通っている道は田んぼに
挟まれた車道を自転車で並列して走っている。

相変わらず車は通らない。


夢占いの話のせいか(※第一話 参照)
いまだに口数は少ない。

でもなんだっけな。大切な何かを忘れてしまった気がする。


女「さっきから黙って何か考え事?なにか変だよ?」

男「あ、あぁ…何か忘れてしまってんだよ。大切な事。」

女「何なのよ。せっかく二人で海へ行くってのに。」

男「そうだな。」

女「ちゃんとしてよね。そんな険しい顔されてたら楽しくないから楽しませてね。」

男「お、おぅ!」


そうだ。今は楽しまなければ。
まだ50分はかかる。道は長い。
その間にきっと思い出すのだろう。


男「にしても、ここほんと田んぼと山だけだなぁ…海は遠いし日差しはカンカン。アッチーなぁ!!」

女「田んぼと山だけだし、海遠いし、私もアッチーよ!!」

男「ぶッ!ははははははッ!」


笑い声が一体に響く違和感がある。
ハンドルから手を放し、目を若干細めて笑って
さっきからある異様な空気感を消し去ってしまおうと思った。


その時、
女「何がそんなに面白いの?」


男「!!」

いきなり大きな目を見開いて、こっちを凝視する。
二人の自転車の並走した車間は広かったが一気に詰め寄られていて

一言。


一言発しただけで、”また”寒気がした。



また?俺はいつ寒気を覚えたんだ?
こんな汗がびっしょり出る道中で、寒気をまた?
いや、気にする事はそれじゃない。


男「お…おい。そんなに近寄るな、前をみろ。危ないだろ…。」

女「そうだね。」

男「お前。どうしたんだ?」

女「どうもしてないよ?」

男「いや。今日のお前は何かおかしい。いつものお前じゃない。」

女「サイテーね。私の事暑さで忘れちゃうくらいに頭どうにかしちゃったの?」

男「・・・。」


今のこいつは、いつもの感じだ。

でも何かがおかしいことに確信がもてる。
少なくともあんな目をする奴じゃない。

目が真っ黒に見えた。一瞬ではあるが人間の目ではない。


…考えても仕方がない。今は合わせよう。


男「悪い。冷静じゃなかった、ごめん。」

女「誤っても許さないよ。私すっごく嫌な気持ちになった。」

男「悪かったって。海についたらなんかおごるよ」

女「…じゃ海にいる間ずっとおごってくれたら許してあげよう。」

男「それはきついって(笑)」

女「じゃー許さない」

男「へーへ、わかりやしたよ。お嬢様。」

女「わかってるならいいのよ。今日はなんてったって●●●●●なんだからね。」


まただ。大事な部分が聞こえない。


男「いまなんて言ったんだ?」

女「え?聞こえなかったの?●●●●って言ったんだよ!」


きっと大きな声で発してくれているのにも関わらずまた聞こえない。
なんだ?やっぱり今日は何かがおかしい。

今日は何があるんだ?
何か記憶が一部切り取られたかのように
大切な部分が切り取られて聞こえる。


自転車は走り続けている。だが今の俺には
”目的地に向かって大丈夫なのか?”そんな危機感で満ち溢れている。

「俺たちは海にほんとに泳ぎに行くだけなのか?しかも自転車で二人きり、遠いところまで」

「・・・それの何かがおかしいの?変だね、今日の君。」


”…確かにふつうである”

普通だけど、違うんだ今日だけが異常なものに導かれている。
俺は一体何をやったんだ。


焦燥。
手に汗がにじむ。太陽の光が時間の感覚を鈍らせる。
独特の空気感に肺が押しつぶされて、息がしずらい。


男「いったん自転車を止めてくれ!」

女「なになに?!どうしたの?」


男「少し落ち着いて水を飲みたくてね…ちょっと待ってくれ」

女「さっき飲んだじゃんも~、早くしてよ」


男「まぁまぁ…俺たちしか今んところいないし、そんな焦るなよ」


”そうだ…俺たちだけ。これがおかしい。この夏の時期に俺たちしかいないのがおかしい
普通海に向かう車や人がいてもいいはずだ。ここまでに一人しか見ていない。

いや、一人みたんだ。そうだ。これだ。この人に接触してこの違和感を払拭したい。

さっき追い越し、そして振り返ってみたあの男に俺は用がある!

いまこの瞬間を普通の現実であることを証明する為に”

女「どうしたの?」


男「さっきいた男の人に少し訪ねてみたい事があるんだよ。少し戻っていい?」

女「何を聞きたいのよもぉ。変なの。じゃ、私さきに行ってるね?」

男「あぁ、問題ないよ。すぐに戻る。たいした用でもないから。気にしないで。」


さっきまで思い悩み、喉を詰まらせた空気感から解放されて

自分の思考の異常性を否定するべく、追い越した男を訪ねもと来た道を戻る。


その時の解放感は、入道雲が眼前に広がり、自転車でこぐスピードと追い風が気持ちよくシャツを通り抜けていく。



男「オッシャー!!気持ちいい!」


両手をハンドルから放して、照り付ける太陽から視界を守る。

こんな解放感はこれが最後だったのだろう。


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《歩く側》



私を追い越した少年、少女はどことなく私の過去と重なって見えた。

過去を思い出したことろで、もう戻らない。

しかしやり直せるならきっと、私はもう失敗はしない。


鈍感・阿保・馬鹿そんな言葉がお似合いの自分にはうんざりだから

今年はあの”約束”を果たす。


約束がもたらした、悲しみ、憎しみ、過ち、後悔。

すべて、私への挑戦状だったのだ。

夢から始まり、夢で終わる。



太陽が地面を焦がし、景色を濁す。

風邪は生ぬるいが木々のせせらぎが心地いい。


前の時とは違う。


「私も喉が渇いたよ…。」ガコン


缶コーラをプシュッと開けて一気に飲み干した。口の中が炭酸ではじけて少し痛いが

こののど越しがたまらない。


またあの少年を見たが、何かしら縁があるのか。
一人でどこへいくのだろう。

約束~逸~ 第二話

閲覧頂きありがとうございます。

少しもったいぶって遅い展開ではございますが
ここからまだ展開は早いかと思いますので
これからもよろしくお願い致しますね。

約束~逸~ 第二話

約束~逸~の第二話。 前回までのあらずじ。 少年は約束のために女の子と海へ向かっている途中だった。 だが、道中でなんのための約束。そして誰と約束をしていたのか忘れてしまった。 そのまま少年は”約束”自体を忘れてしまい、違和感を覚えたまま目的地に向かう。 最後にみた男の姿は・・・・。 ==================== と、続編の続きです。 ちょっと不思議な青春ホラーです。 この~逸~シリーズは一回で完結しそうにないので分けてどんどん 更新していきます。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-26

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