綺麗な詩がかけないのは
私が私でしかないから

夏の蜃気楼になにもかもが透けて
輪郭だけを響かせたような甲高い音楽が鳴っていた
あの頃はまだ、青色がなにかを知っていた

べっとりと血生臭い季節に
秋風を予感して一人で綻びかかっていた
あの窓から射していたひかりは多色で

指で傷つける
青色とパラドクスの感覚を思い出す
とりあえず、夏を何回か殺してみる?
君の目が見えなくなるまで

放置されよう
その空白にとびこんで
音楽のフリをする
泡立つ多色、淡くなる輪郭、なにかを意味する誰かになる

私は私でなくなるの
音楽に生まれ変わるために
輪郭だけを響かせたような あの甲高い音楽のレプリカに

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-02

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