愛じゃ足りない

愛じゃ足りない

氷の溶ける音。夜が終わる。

疲労感と 煙草の匂い
淀んだ部屋が
少しずつ 明るくなる



あなたには 朝ですか


わたしには 昨日の続きです




グラスに残った氷を
1度だけ カラリと鳴らす

あなたの夢を 終わらせたくないから



もう疲れたね。

言えない代わりに
一晩中 咥えていた煙草

こぼれそうな灰皿に
私の寂しさが溢れかえっている

そろそろ

捨てなければ

新しい寂しさを持て余す前に


泣き腫らした目 熱を持って

叫びを飲み込み続けた

喉が痛い



寝息が聴こえるくらい
側に居るのに

ひとりぼっち

膝をかかえて


あなたの隣に行くには

わたしはまだ子ども過ぎるから




愛じゃ足りない幸せを

どうして ずっと探しているの


安心したくて 逃げ込んでも


かくれんぼは終わっちゃう



朝の光に 見つけられて


昨日の続きが始まるの


カラリ カラリ


氷を鳴らす



あなたの夢が


もうすぐ



終わる

愛じゃ足りない

愛じゃ足りない

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-07-14

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