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ため息を1つ吐いて

仕方なく
ベッドから降りる

裸足で立つフローリング

目眩がして

ああ もう朝を見失った


梅雨雲り

薄暗い部屋


君はもう 出かけていた


転がっている靴下は
昨日の洗濯物



不安に襲われて

君の残骸を探す


まだ封を切ってない
煙草の箱見つけて
少しだけ 落ち着く



換気扇を回して

君の煙草に火をつける

一口だけ吸って

灰皿にほったらかす


ひどく喉が渇いている

冷蔵庫にはなにもなくて

水道の蛇口をひねって

手ですくってみるけど

もう渇きは

どうでもよくなっていて

なんとなく 手を洗う


手を 洗う




私の手がきれいになれば
君が今すぐにでも
帰ってきてくれるんじゃないかしら


なんて 空想 妄想


そこまで壊れてはいないから
手洗いはすぐに終わって

君の煙草はまだ 燃えている



さあ ほら ひとりぼっちだ

ねえ ほら ひとりぼっちだ



私は意味を見失う

2つ並んだマグカップ

君のシャツと私のパーカーが
1つの籠に投げ込まれている


私は意味を見失う



ねえ

ひとりぼっちだ

眠らなきゃ
眠らなきゃ


眠らなきゃ


君が帰ってくるまで

意味を思い出せるまで


教えてくれるために

きっと君が帰ってくるのだから



水道水で飲み込む

私のお守りたち



目眩がして

倒れ込むベッド

君の匂いにしがみつく


煙草の匂い
換気扇の音

梅雨雲り

ほら また 朝を見失った

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-07-11

Copyrighted
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