要領

時間がかかりすぎる

小さい頃から、要領の良くない子どもだった。
回り道して、回り道してゴールにたどり着いたときにはみんな休憩しているところだった。

何で私だけこんな。

神様を恨んだ。

が、私は今要領が悪く、苦労ばかりした過去を心の底から誇りに思っている。
経験は、何よりの宝物になるからだ。

こんな経歴がある。
これだけの収入がある。
数値で他人に優っていると嘯くことは簡単だ。

しかし、幸せは決して数値では図れない。

私は平坦ではないこの道を必死に歩く中で、自分だけの幸せを見つけた。

明日も幸せか、明後日も幸せか。
そんな保証はどこにもない。

それでも、灰色の日々の中で一瞬でも自分らしくいられるだけで、私は満ち足りた気分になる。

要領

要領

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-07-07

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