おじさん、異世界に住んで、しぶとく生きてます。

世の中の皆様。

背景、世の中の皆様、如何初夏を過ごしでしょうか?

俺は、今、現代を離れて、

異世界に住んでいます。

のんびりと、時と場合には、

戦闘と、救援と、

しぶとく生きています。

あっちでは、台風とか、大変だろうなぁ。

定席のスタートとしては、

ありきたりの展開であり、

定番のスタート地点。

「うん、
 ここ、どこ?」

生まれてこの方30年。

どうしてこうなった?

と、某幼女を思い出す。

まず、振り返ろうか。

15年ぶりの同級生と、飲み会をして、

帰った・・・はず。

そして、

“トイレに入った”

んで、用を足して、出た。

「家、ジャングルやら、森も無いからなぁ。」

んな愚痴言ってる場合じゃない。

振り返るとするか。

「扉・・・ねぇし。」

あちゃ~、帰れない確定ルートですか。

言葉も解からないルートですか。

「なんたるド定番。」

手持ち装備を確認しよう。

頑丈重視のスマホ一台。

ソーラー式充電器一つ。

家の鍵と、車の鍵がついた、キーホルダー・・・。

普段着。

ハンカチ。

ポケットティッシュ。

「以上、か。」

はい、普通に無理ゲー。

(さて、
 これだけの森林ないし、雑木林、
 そもそも、
 呼吸に関しては問題ない、
 体感的に、変わった所もない、
 まぁ、
 来ちまったもんは)

「しょうがねぇよなぁ。」

あえて、目を逸らしていたけど、

見ますよ、はい、見ますとも。

「死体、か。」

(胴体から、頭にかけて無くなってるけど、
 血も乾いてる、
 ずいぶん前に死んだ者らしい)

「武器・・・腰のナイフみたいな物と、
 見覚えのある武器で良かったよ。」

◇ただのナイフと、
 見覚えのあるロングソードを入手しました

「う~わ、ばりばり、
 衛生面じゃぁ、
 確実にアウトだな、これ。」

(後は、火と水、
 最低限の衣食住、か)

虫を殆ど見かけない、

ぁ~、うん、このやな予感だけは、当たるんだよ。

“やな予感だけ”

なんかの叫び声と、

誰かの叫び声が聞こえる。

(確実に聞いた事も無い言語だな、
 それに、
 こんな叫び声の“生き物”を、
 見た事が無い)

「うげぇ、マジモンの、モンスターってか。」

上半身は人型、下半身は、

蜘蛛に似たようななにか、しか、

表現できない。

既に誰かが倒れている、

あぁ、たった今死んだのだろう。

まだ戦ってるヒト?は、

何かを唱えてる。

『フレアショット!!』

「なっ!?」

(あぶねっ!?
 声をだしたら、
 こっちに来ちまう!!)

暫く傍観してた。

どうやら、

倒れてるヒト?には、

何かを受け渡し、

立ってる人は、何かを受け渡されている。

初エンカウント?の、

モンスターは、先程の“魔法”で、

焼かれ、姿勢が崩れた時に、

ロングソードで、半分にされ、

動かなくなっていた。

そのまま、立ってる人?は、

泣きながら去って行った。

好奇心、これは、人間も持っている。

その、

“倒れている人?に、近づいてみた”

とりあえず、当面の食料ですね。

近づいては見たけど、

間違いなく、

異世界の物だと、理解した。

血だらけで、

ひゅ~、ひゅ~、と、

辛そうな呼吸が聞こえる。

「なぁ、俺はどうすればいい?」

通じる訳が無い、

そう思っていた。

『東端の言葉、か、
 なぜ、このような、場所に?』

「俺が知りたいよ、
 言葉は通じるし、
 貴女?は、死にかけてるし。」

『ふ・・・そぅ、だ、な、
 なんの、縁だろうな。』

(声から察するに、
 女性なのはわかる・・・
 てか、胸が、はみ出てるから、
 女性なんだろうよ)

「と、兎に角、止血するぞ。」

上着を脱いで、

やや大きめの葉っぱを、しっかり縛り付ける。

『あがぁあああっ!?』

「痛いのは生きてる証だろうが!!
 耐えてくれ!!」

『よ、せ、
 この、血の臭いを、
 モンスターがぁあっ!?』

「川はどっちだ!!」

まだ、日が高い、

大した体力はないけど、

死にかけてる人を、

見捨てる選択があるかっての!!

幸か不幸か、川岸まで、

エンカウントは無く、

どんな病気があるか解からないけど、

血を洗い流さないと、

どんな傷か解からない。

もう一枚の上着を脱いで、

まだ綺麗な葉っぱを押し付け、

止血帯として使う。

“運良く内蔵系統は、はみ出ていなかった”

胸が苦しいと言う事は、

肋骨の何本かが、折れているのだろう。

背負わないで、葉っぱと、木の枝、

彼女が持っていたロープで、

簡易ソリを作って、引きずったのが、

彼女を延命したみたいだ。

『東端の人間が、
 なぜ、こんな、大陸最深部に?』

「だから、俺が知りたいの、
 気が付けば、さっきの森だし、
 あんた達が戦ってるし、
 俺は、弱者だから、
 参戦出来なかったし、
 それに。」

『それに?』

「綺麗な女性だし。」

『からかっているのか?』

「うっせ、
 正直な感想だし、
 止血の時に、
 む、胸、みちゃったから。」

『この怪我でなければ、
 引っぱたいてやるのに。』

「案外大丈夫そうですね?」

『そんな訳あるか・・・、
 腹を切られ、
 きら・・・あれ?』

「はぃ?」

『この葉、一体どこでっ!?』

「いや、
 俺が気がついたトコに、
 生えてた奴だけど?
 一応、水で流してから、
 傷口に・・・え?」

塞がっていた。

あれだけの大きな切り裂き傷だったのに。

『なんだか、
 一生分の運を
 使い果たした気分だよ。』

「俺も、
 この“紅葉ビンタ”で、
 現実だと、ちゃんと理解したよ。」

どうやら、この、

大きな葉っぱ、フキの葉っぱに、

似ていて、兎に角大きい。

これは、この世界だと、治癒促進、

新陳代謝増加を促し、

“美肌”にも、効果があるそうだ。

『東端の人よ、
 貴殿のおかげで、帰れそうだ、
 助けられた身だ、
 存分に役立てるが良い!』

「じゃぁ、当面の衣食住かな?
 身なりや、装備から察するに、
 何処かに所属してるハンターとか、
 冒険者的な感じだろ?
 俺の身分も決めなきゃいけないし、
 俺が、最低限暮らしていける
 基礎が出来るまでは、
 助けて貰えるかな?」

『よ、よく喋るんだな、
 驚いたよ、
 ここまで落ち着きのある東端の人は、
 初めてだ。』

(ふ~ん、この感じから、
 アレか?
 東端は丁度、戦国時代あたりかな?)

「そう?
 まぁ、元いた所でも、
 変人扱いされてたからww」

『!?』

「襲わないから、
 そんな野獣じゃ無いから、
 そんな根性ないから、
 てか、
 さっきまで怪我人だった人に、
 手を出すアホじゃ無いから。」

『じゃぁ、
 なんで上着を着ていないんだ?』

アンタノ止血ニ使ッタンダヨー

ソウダッター

「あ~ぁ、
 真っ赤に染まっちゃった、
 結構お気に入りだったのに・・・。」

『すっ!?済まない、
 その、衣服に関しては私が工面しよう、
 しかし、
 近隣のギルドまでは、
 10日はかかる、
 それまでは、
 その服を着ておいてくれぬか?』

なんですと?

『なんだ?その、
 豆スープに、
 豆が、ふた粒しか
 入って無かった時のような顔は?』

「あ、鳩はいないのか。」

『ハト?』

「兎に角、火を起こさなきゃな、
 魔法、使えるの?」

『当然だろう?
 貴殿は・・・ん?
 貴殿から、
 魔力の欠片も感じないのだが?
 どう言う事だ?』

「おじさん、魔力がないんだよ、
 貴女も運が無いね、
 魔力ナシに、
 命を救われるんだから。」

(あ、なんか唱えてる)

『アイスショット!!』

「ぬぉおおっ!?」

横っ飛びで、なんとか回避する。

「てめぇっ!?」

『ふざけるな!!
 忌子が、
 こんなに生き延びる訳が無い!!』

「じゃぁ、
 こんなふうに、
 反撃された事もないだろうよ!!」

ナイフを手裏剣の用に投げつける。

『っ!?
 ディフェンス!!』

ナイフは防がれる。

『なっ!?』

ロングソードの持ち手で、喉を叩く。

『ぐがっ!?』

そのままの勢いで、

押し倒し、うつ伏せにし、

腕を背中で絡め、押さえ付ける。

『あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛っ!?
 離せぇええっ!!』

「大体、こっちは、
 いきなりこの世界に、
 飛ばされてきて、
 なんで殺されなきゃならんのだ!!
 俺にも、
 生きる権利はあるだろうが!!」

『権利だと!?』

「あぁ!!そうだ!!
 生(せい)あるもの全てに、
 生きる権利はある!!
 その中で、
 生き延びる権利がある!!」

『夢物語の狂信者め!!
 そんなのある訳無いだろうが!!
 私とて、
 身体を売り!
 割に合わない依頼を受け!
 毎日を辛うじて食いつなぐ!!
 そんな生きる権利だの、
 戯言をほざく輩に、
 説教される筋合いも無い!!』

「ぁぁ、そうかぃ。」

全く、常識、死生観の違い、

何時ぞやの薩摩武士を思い出すなぁ。

『なんだぁ!?
 言葉も出ないのかぁ!!』

ちっ、この女、

詠唱できなければ、

手出し出来ないっての、

わかってて言ってるのか?

「お前、
 このまま襲われるって、
 考えないのか?」

『・・・ば、
 馬鹿を言うな、
 貴様は根性ナシなんだろう?』

(ほ~、身体を売ったなんて、
 言ってるけど、
 随分怯えるなぁ~)

『な、なぁ、
 せめて、
 せめて腕を離してくれないか?』

(顔は見えないけど、
 相当焦ってるなぁ~)

『なぁ!?
 なにか言ってくれぇ!?
 いやだぁ!?
 あんな痛みだけの行為なんて、
 いやだぁ!!
 やだやだやだやだやだぁああっ!!』

「興冷めだな、
 お前、愛する男ぐらいいないのか?」

『・・・。』

「あぁ、
 さっきの男か、
 そうか、
 置いてってとでも、
 その男に言ったのか、
 悲しいなぁ、
 お前は死んだと報告されただろうなぁ。」

ぁ~ぁ、

力抜いちゃったよ、

泣いてる、か、

そうだろうね、そうなるね。

「生きて会いに行くか?
 ここで自決するか?」

仕方ない。

『!?』

身体を起こし、

しっかり抱きしめてあげる。

「泣け、
 取り敢えず、
 それから考えろ。」

頭をぽんぽん。

『うわぁあああん!?』

「んで、
 そのまま一眠りするか?普通。」

『すまない、そして、
 ぁ、ありがとぅ。』

「そうかい、
 さ、この世界の情勢、
 常識、魔法、
 お前の知っている事全部、
 教えろ、
 それが、この件を、
 黙っておく条件だ。」

『か、構わないが、
 その、それだけで、いいのか?』

「は?」

なんだ?このもじもじしやがって?

「あほぅ、
 軽々しく身体を売るから、
 そう言う考えが、
 お前を苦しめるんだ、
 その男って、
 付き合い長いのか?」

『あぅ~、
 そ、その通りだ、
 小さき頃からの幼馴染で、
 いずれは婚姻の予定だったのだが、
 お互いに、
 親と死に別れているからなぁ、
 アイツがどうするのか、
 想像出来ない。』

「ま、この近辺に三日目、
 喰えそうな木の実やら、
 果実で飢えは凌いだけど、
 限界はある、
 魚とかは、どう言う調理があるんだ?」

『ちょ!?
 アイツの事聞かないの!?』

「あ?
 最優先事項は、
 食料だ!!
 こんな所で野垂れじぬより、
 もう少しは
 マシな所で死にたいだろうが!!」

『マシって・・・、
 東端の人間は、
 こうも考えが違う物なのか?』

「違うも違うさ、
 俺は、他の世界から、
 飛ばされてきた、
 異世界人だからさ。」

『ま、まっさか~、
 それこそ、
 数百年も前の、
 絵本にしか、
 出てこないような、
 異世界人なんて・・・、
 うそ、だよね?』

「ん。」

スマホから、曲を流す。

『ひぃいいっ!?
 なに!?なんの魔法!?』

「んな、怖がるなよ、
 ほら、止めたぞ。」

『なっ!?
 なんなのだ!?ソレは!?』

「スマホ、
 本来は、一対以上の相手と、
 情報の交換やら、会話をする物だ、
 念話に準ずるか、
 それ以上の能力を持っていた。」

『ねんわ?なにそれ?』

「はぃ?
 ないの?念話。」

『遠方の人と
 話せるわけないじゃないの!
 ただでさえ、
 詠唱でも頭が痛くなるのに、
 そんなの出来るわけないじゃない。』

「はぃ~?」

なんと、まぁ、困ったねぇ。

聞けば聞くほど、

頭が痛い。

彼女の知っている事では、

魔法自体が、

発見されたのが、110年前。

汎用性を認められ、

研究が進み始めたのが、

50年前。

つまり、見つかっているけど、

研究は始まったばかり、

つい最近、

南端の国の紛争にて、

攻撃魔法として、

拠点攻撃に用いられたばかりと来た。

「うげぇ~。」

(正直、俺が覚えている範囲の、
 科学を魔法に加えるだけで、
 この子が、
 戦略兵器クラス、
 自然災害クラスの魔法を、
 使えるようになってしまう)

『なんだ?
 お前が要求した情報だぞ?
 それとも、
 よ、よくじょ「すとーっぷ」す?すとぷ?』

「ちょっと待てって意味だ、
 現状、
 使える魔法はどんなのがあるんだ?」

『西端に、研究所があるのだが、
 今わかっているのが、
 炎、水≒氷、風、自然魔法だ、
 雷鳴で発せられる光を再現したり、
 火山の噴火を真似た、
 岩石を飛ばしたりとか、
 まぁ、真似た物が多いな。』

「・・・なぁ、
 その雷鳴の光の魔法、
 周りの石ころとか、
 浮いたりしない?」

『ん?
 よく知っているな!
 正直、それに魔法がそれて、
 暴発するから、
 あまり使われていない魔法だ、
 なにかあるのか?』

なんとまぁ、

魔法陣の概念すら無かった。

『凄い凄い!!
 全然、頭が痛くならないぞ!!
 どうしてこんな事を知っているのだ!?』

「使いすぎるなよ?
 軍に徴兵されるか、
 研究材料にされて、
 陵辱以上に、キツイ事も、
 ありうるからな?」

『ば!?ばかっ!?
 なんて物を教えてくれるんだ!?』

浮き沈み激しいなぁ~。

「だから、
 これからを、生き延びるため、
 生きて行くには、
 必要になる、
 使わざるを得ない、
 俺が、
 簡単に死んでも、
 お前は生きていけるだろう?
 魔力無しには、
 辛い世界だからな。」

『し・・・、
 そぅ、だったな、
 しかし、
 使えないのに、
 この知識量、
 お前の世界は、
 どうなってるのだ?』

「音量抑えるから、
 この残してある動画、
 見てみるか?」

『うぅ!?
 お、おんがく、
 では、ない、のか?』

「まぁ、
 動く風景画を、
 記録、鑑賞出来るんだ、
 それを、
 お前に見せる、
 それを、
 感じたまま見ればいいだろうよ。」

『・・・信じられん、
 だが、
 こうして、記録にある以上、
 異世界はあるのだな。』

「あった、が、正しいのかも知れないな、
 もぅ、帰れない故郷だ、
 これが、壊れない限り、
 思い出す事は出来るな。」

『帰れない故郷、か、
 わたしも、
 もう、帰れないだろうな、
 ギルドには、
 死亡報告も上がっているだろうし、
 別なギルドに、登録するしかない。』

「んじゃ、まぁ、
 取り敢えずの行き先は、
 別のギルドに登録して、
 最低限の路銀確保だな。」

『装備品も、新調しなければならん、
 先ずは、
 ギルドに向かいつつ、
 モンスターを狩らねば、
 路銀すら、確保出来んからな。』

「あ、やっぱり?」

『当たり前だろうに、
 手ぶらでギルドへ行っても、
 小遣いにすらならない依頼しか、
 受けられんぞ?
 この世界では、
 そう言うふうに、
 生き延びてきたのだ、
 慣れろ。』

「だな。」

(ったく、
 嫌な予感だけは、
 当たるんだよなぁ)

ずどん!!

オーガーが振り下ろす棍棒が、

地面をえぐる。

「うひぃいっ!?」

兎に角横っ飛びで、避ける。

『むしろ、
 よけられるお前がすごいよ!?』

「そうなのかっ!!」

ひぃいっ!!

右手で振り下ろされる棍棒、

左手には、木の盾が握られている。

「さっきの魔法陣!!
 今こそ使えってば!!」

『いきなり実戦!?
 冗談でしょ!?』

「いいから早く!!」

正直、見て飛ぶ、

精神的にキッツイ、

体力もそんなに無いから、

避けるのにも限度って物がある。

『でっ!?でもっ!?
 どこに撃てばいいの!?』

「( ゚Д゚)ハァ?
 頭だろうが!!
 奴は、目で獲物を捕らえるんだろう!?
 なら、目を潰すのを優先しろぉお!!」

『ひぃっ!?
 そんなに怒鳴らないでよ!!
 やっ、
 やってみる!!』

“循環せし魔力よ、
 その偉業を成し得たまえ
 円陣よ、魔力を纏いて、
 真価を発揮せよ”

『ヴォルテックスアローっ!!』

弓を射る姿勢を取り、

頭を狙い、発動する。

『「え、えげつない・・・。」』

上半身をもぎ取られたオーガーは、

そのまま倒れ込む。

更には、遥か後方にあった、

丘をも、削り飛ばしていた。

「真面目に、
 使い所に気よつけよう。」

『そうしましょう。』

辛うじて、耳の破片があり、

それを回収した。

『よかった、
 これがあれば、
 ちゃんと報酬が貰えるわ。』

「それは安心だな、
 んで?
 近場のギルドは、
 後何日歩けば良いんだ?」

『アイツの所属が10日だが、
 これから行こうとしてるのは、
 30日はかかるな。』

あぁ、遠きかな、布団に、静かな夜。

「いこう、あるこう、
 すすもう。」

『か、川沿いだから、
 まだ、いい方だぞ?
 辺境だと、
 水も無く、モンスターも凶悪、
 キャラバン隊でも、
 3重4重の支度をしてから、
 そこに挑むぐらいだからな。』

「さいですかー。」

インフラ、皆無ですね、

しかも、この世界、

この大陸以外の情報は皆無。

海に挑んで、帰って来たのは、

誰もいない。

漁業も、

陸地が見える範囲のみ。

調査が済んでいるのが、

東端、西端、南端、

北端は、雪山だらけなので、

誰も帰って来ていない。

「なに、この無理ゲー。」

『むりげ?』

「達成不可能なゲームとか、
 格上のモンスターに、
 四方八方囲まれてるって、感じだ。」

『ぉ~・・・、
 巡り逢いたくは無い物だな。』

「同感。」

これが?冗談だろ?

『なにが、冗談だ?
 ここが、トゥクルアの街、
 ここに、
 キャラバン隊の野営地もあるんだぞ?』

(結局、
 何度も、モンスターに襲われ、
 たどり着いたのが、
 45日目とは・・・)

『なにをしている?
 我々の
 新しい登録名簿を作りに行くぞ?』

「ちょっと待ってくれ、
 そもそも、身分証明とか、
 必要なのか?」

『・・・ぁ~、
 貴殿は、魔力がなかったな、
 荷物持ち件、盾役として、
 登録しよう。』

「へー、やっぱそうなるのねー。」

『仕方がないだろう?
 魔力が無い時点で、
 “権利”も無い、
 生きているだけでも、
 奇跡なのだ、
 道中で、散々言っただろう?』

(はいはい、
 大概の魔力無しは、
 “産まれて間もない赤ん坊の時点で、
  処分されている”
 これが常識なんですねー、
 いやですねー)

「ん?」

『どうした?』

「いや、
 この道中、
 貴殿、もしくはお前で、
 会話が成立してたけど、
 今後はどうするんだ?」

『そう言えば、
 貴殿は、名前はあるのか?』

「45日目にして、
 聞かれるとは、
 思わなせなんだ。」

『二日に一回の割合で、
 モンスターに遭遇していればなぁ。』

『「はぁ~・・・。」』

「改めて、自己紹介するか、
 俺は・・・。」

『どうした?』

「いや、なんでもない、
 夕凪(ゆうなぎ)、シンヤ、
 名が、シンヤで、
 夕凪が、家名に当たる。」

『なんと、
 貴族であったのか?』

「いんや、
 スマホで見せたろ?
 あの世界の“日本”は、
 大抵の家庭は、
 家名と名前を、
 持っている物なんだ、
 階級制度が、ほぼほぼ、
 形を成していない世界だ。」

『に、にわかに信じられんが、
 平和な世界なのだな?』

「まぁ、そう見えるよな。」

(なんだ?シンヤの顔が、
 酷く凄惨な顔をしたような・・・)

『そうだ、
 私の新しい名前を
 決めて貰えないか?
 何分、死んだ扱いなのだ、
 元の名は使えん。』

「・・・カチューシャ。」

『は?』

「カチューシャ、
 フィヨルド・フォン・カチューシャ、
 北方の、好き者貴族様の、
 “破門”された、放浪お嬢様って事で。」

『あ、あぁ、
 カチューシャ、か、
 万が一、その名が居たらどうする?』

「それまでは、借りましょう、
 そして、
 居た場合、
 また、考えましょう。」

『そ、そうだな、
 そうしよう。』

(笑った?
 しかも、笑顔ではない、
 なぜ?笑うのだ?
 その、
 恐怖すら滲み出す笑顔はなんなのだ?)

「キヒッ。」

『!?』

ま、本当に、荷物持ち兼、盾役で、

登録され、

これまでに討伐して来たモンスターの、

耳なり、目なり、一部なり、

金貨8枚、銀貨4枚、銅貨9枚となった。

金貨の上は、銀の延べ棒(金貨10枚分)

金の延べ棒(金貨100枚分)だ、そうだ。

シンヤ
「ほぼ、ひと月振りの、
 布団だぁ~・・・。」

カチューシャ
『ふとん?』

シンヤ
「あぁ、ベットの事だよ、
 兎に角、やっと気を抜いて、
 寝れるよ。」

カチューシャ
『いや、
 そうもいかないんだ。』

シンヤ
「窃盗集団でもいるのか?」

カチューシャ
『っ!?
 本当に嫌な予感は、
 当たるんだな、シンヤは、
 その通り、それで、
 生計を建てて
 生きている家族もいる、
 だから、
 “外の方がまだマシなんだ”』

シンヤ
「殺されても、
 罪には問われないのか?」

カチューシャ
『へ?』

シンヤ
「モンスターを討伐もとい、
 “殺して来たんだ”
 人間もそうだろ?」

カチューシャ
『っ~・・・、
 確かに、窃盗は犯罪として、
 法廷、又は、その場での、
 “自己判断”に、
 委ねられている、
 シンヤ、
 お前は、簡単に、
 人を殺せるのか?』

シンヤ
「さぁ?
 その時にもよるんじゃない?
 寝込みで襲われれば、
 こっちが圧倒的に不利、
 交互に仮眠を取り、
 警戒すれば、
 多少は心構えも出来る、
 現に、
 聞き耳をたててる番頭さんも、
 わかってて、
 宿屋なんてやってるんでしょ?」

『お若いの、
 随分達観しているんだな。』

シンヤ
「そうですかね?
 二日に一回の割合で、
 モンスターに襲われてれば、
 大抵の覚悟も可能かと。」

『二日に一回?
 お前さん達は、
 どっちから来たんだい?
 ギルドに登録する為に来たと、
 言っていたが?』

カチューシャ
『フリュゲルイヤの川を
 上って来たんですよ、
 小さなキャラバンを
 組んで居たのですが、
 複数のモンスターに襲われて、
 私と、彼を残して全滅しました。』

(しれっと、嘘が上手いなww)

(話しを合わせなさいよ?)

『活動期が近いのか、
 有難う、
 丁度ここを出立するキャラバンが居てね、
 “王都・イスカテラリア”に向かうんだ、
 よかったら、
 紹介しておこうか?』

カチューシャ
『え!?それ「遠慮させてください。」
 どうして!?』

『若いの、理由は?』

シンヤ
「そのキャラバンの規模は、
 どれくらいですか?」

『大隊長がおる、
 50人~80人だったかの?
 厳しい道のりだからなぁ、
 それぐらいの変動は、
 日常茶飯事だよ。』

シンヤ
「それよりも大きいキャラバンだと、
 どれくらいの規模ですか?
 1000人規模とか。」

『若いの、
 もしや・・・学者かなにかか?』

シンヤ
「いえ、
 “無駄知識だけは多いので”
 ほぼほぼ勘ですよ、
 番頭さん、
 ここを出立するキャラバンに、
 金銭面でも、
 指揮系統でも、余裕は無い、
 そんな気がします、
 “活動期”と言うワードが、
 引っかかりますからね。」

『正解じゃ、
 彼らは、王都・西都を結ぶ、
 “快速キャラバン隊”
 物資よりも、
 情報を優先として、運んでおる、
 先の、二日に一回の割合は、
 “モンスター・魔物”の、
 活動期にほかならない、
 急ぎ王都へ情報を、
 持って行って貰い、
 数ヶ月中には、
 正規軍か、義勇軍のいずれかが、
 ここの守備に来てくれるはずじゃ、
 この街からは、
 西方・北方・南方へ抜ける、
 街道の中間地点じゃからな、
 いやはや、若いの、
 いい頭をしておる。』

カチューシャ
『はぁ~・・・。』

シンヤ
「いや、カチューシャ?
 君が普通気づくべきじゃないの?」

裏口ギルドと、快速キャラバン隊


快速キャラバン隊 王都・西都連絡隊

大隊長
『番頭、
 こんな夜分に、何用か?』

『はい、
 丁度、宿泊しているお客様から、
 “活動期”の兆しを耳にしまして、
 早急に王都へ、
 この事をお伝えして欲しく、
 夜分ながら、
 馳せ参じた次第です。』

大隊長
『っ!?
 馬鹿な、前の活動期から、
 半年も立っていないのだぞ?』

『残念ですが、
 ギルドに確認した所、
 “活動期特有のやや赤みを帯びた”
 証拠品か、納品されておりました。』

大隊長
『その者達は、
 どうしている?』

『小さなキャラバンだったそうですが、
 複数のモンスターに襲撃され、
 二人を残し、全滅したそうです、
 せめてもの、
 墓標分の資金を貯めたいとの事で、
 ギルドに登録したそうです。』

大隊長
『名は?』

『立ち上げたばかりだったそうで、
 登録する為に、
 ここへ向かっていた道中の出来事だと。』

大隊長
『番頭、
 これを。』

『これは・・・金貨。』

大隊長
『その二人を、明日(あす)、
 ここへ連れて来い、
 出立を、一日遅らせる、
 詳しい話を聞きたい。』

『分かりました、
 “大隊長殿”』

大隊長
『“番頭も”
 板についてきたな?』

『言わんでください、
 好きで、番頭をやってはいませんから。』

大隊長
『では、
 また、明日。』

『御意。』

宿屋

シンヤ
「って、訳だ、
 直ぐにギルドに行くぞ。」

カチューシャ
『ふぇ!?
 なんで!?
 大隊長から話を聞かれるだけでしょ?』

シンヤ
「なるべく期間の長い依頼だ、
 討伐、採取も複合で受けよう、
 報酬には、目もくれるな?
 いいな?
 簡易装備は、行きがけに、
 そこそこ買って行くぞ!」

カチューシャ
『ちょっ!?ちょっと!?
 シンヤ!!』

『くっ、気づかれたか、
 ギルドに入られたら、
 手をだせん、
 急げ!!』

『はっ!!』

夜も、ギルドは開いている。

帰還が何時になるか解からないからだ。

つまり、受付も24時間している。

そして、簡易装備を取り扱う店舗も、

ギルド内に常設してある。

シンヤ
「走れ!カチューシャ!!」

カチューシャ
『シンヤ!?
 てか、なんでこんなに早く走れるのよ!?』

もはや硬い言葉で話す余裕も無い。

(勘が有ってれば、
 戦力として、
 前線送りがいい所だ、
 もしくは、他のキャラバン隊の、
 “盾”に使われる!)

『おっと、
 そこまでだ。』

シンヤ
「カチューシャ!!
 先に謝るぞ!!」

カチューシャ
『え?!』

ばるん!

彼女の胸をさらけ出したのだ。

カチューシャ
『いやぁあああああ!?』

『ぶはっ!?なっ!?
 なんとはれんちなっ!?』

シンヤ
「だらっしゃぁあっ!!」

ロングソードを、横薙ぎに、

顔面へ。

『へぶっ!?』

シンヤ
「隠せっ!!
 走るぞ!!」

カチューシャ
『ひぃいいん!?』

『大丈夫か?』

『番頭、やられました、
 ロングソードを、
 あんな風に使うなんて・・・。』
(まさか、
 豊満な胸元を見せ付けられるなんて)

『ここからでは追いつけない、
 奴らがギルドから出る所を、
 狙うしか無いか。』
(して、色は良かったのか?)

ばちーん!!

と、軽快な音が響くのは必然だが、

シンヤは、さっさと受付に頼んで、

これまた徒歩で行くしかない、

4つ先の街ギルドに、

新設ギルドの

許可証を届けに行く事になった。

なんでも、

肉片だけは、帰ってくるそうだ。

カチューシャ
『なんで、地下水道から、
 行かなきゃならないの?』

シンヤ
「どうやら、
 この許可証を、
 どうしても、
 届けて欲しくない連中が居るそうだ。」

馬なんて乗った事ないし、

キャラバンも以ての外。

(どうして、
 どうしてこうなった・・・)

シンヤ
「って、嘆いても始まらんか、
 カチューシャ、
 次の街までは、
 何日かかる?」

カチューシャ
『馬なら、3日、
 キャラバンなら、2日、
 徒歩だと、6日かしら、
 何もなければの話だけどね。』

既に諦めたのか、硬い口調では、

話さなくなっていた。

シンヤ
「干物、
 もう少し買って置けば良かったな。」

水筒は、全部で6個、

しれっと、カチューシャの魔法で、

氷を入れてあるので、

何時でも冷たい。

モンスターの胃袋を、

天日干し、乾燥、

樹脂から取れる油を練り込んで、

蜘蛛の魔物から“物々交換”で、

糸を貰い(何と?とは、聞くな)、

それで、口元を縫い付け、

開閉出来るように、裁縫師達が、

縫い付けて、水を入れ、

漏れがなければ完成、

漏れがあれば、樹脂を再度練り込み、

乾燥を繰り返して、作る。

シンヤ
「まぁ、魔法があるから、
 水には困らないか。」

カチューシャ
『それは、
 シンヤが、魔法陣を教えてくれたから、
 困らないだけで、
 普通、6個じゃ足りないから、
 荷車を引いて行くんだよ?』

病気が怖いので、

一旦、“熱湯の魔法陣で”消毒?

そのまま、一気に凍らせて、

その氷を溶かして、飲料水としている。

シンヤ
「カチューシャ、
 この地域だと、小さい森とかあるのか?」

カチューシャ
『うぅん、この辺は全然無いの、
 腰ぐらいまでの雑草だらけで、
 街道しか、手入れされてないの。』

(とすると、
 野営には不向きか、
 テントじゃ、バレバレ・・・ん?
 野営?野戦・・・)「あ、いけるか。」

カチューシャ
『え?なにが?』

『なに?
 奴らを見失った?』

『はっ、
 ギルドへ通じる
 地下水道から出てきたのを発見、
 追跡していたのですが、
 “一夜明けると”
 どこにも、その姿が無かったのです、
 魔力も、
 魔物、モンスターの発する魔力で、
 見分けが付かず、
 完全に、見失いました。』

『なんたる失態、
 しかし、奴らはどうやって・・・。』

シンヤ
「実は、
 動いてなかったりするんだなぁ~、
 これが。」

カチューシャ
『なんなの?この服?』

シンヤ
「陸上自衛隊野戦戦闘服、
 こう言う草の中で、
 見つかりにくく、
 敵拠点へ一気に侵攻、
 攻め落とす時に使われる、
 かも知れない服。」

カチューシャ
『りく?じょ?
 よくわかんないけど、
 全然バレなかったね?』

シンヤ
「まぁ、魔力も隠蔽できれば、
 もっと良いんだろうけど、
 まだ実戦段階じゃないから、
 今回はこれで、
 いいよ、カチューシャ、
 結構疲れるでしょ?」

カチューシャ
『魔法陣のお陰で、
 全然疲れないけど、
 “相手のイメージ”を、
 反映する魔法陣なんて、
 よく考えつくね?
 なんで?』

ぼふん

シンヤ
「まぁ、知識の蓄積と、
 それを、いざって時に使える用に、
 普通の人よりは、
 範囲を広くね、
 さ、まだまだ先は長いから、
 歩こう。」

カチューシャ
『そうだね、
 あ~ぁ、
 “シンヤの世界の
  道具で楽したいなぁ~”』

シンヤ
「そっか、
 魔法陣があるなら、
 周辺魔力を収集しながら、
 行動出来るじゃん。」

カチューシャ
『え?
 なにそれ、怖い。』

おおちゃくは?程々に。


カチューシャです、

最近、ギルドに再登録して、

依頼を受けました、

そして、異世界の乗り物に乗って、

移動中です、

兎に角、早いです。

シンヤ
「マニュアル車しか、できないのは、
 まぁ、しょうがないか。」

カチューシャ
『ひぃ~ん!?』

がたがた

ぶぉんぶぉん

カチューシャ
『ねぇ、シンヤ?
 このまま、街に入るの?』

シンヤ
「いんや、近場に着いたら、
 歩くよ、警戒されてちゃ、
 入れないしな。」

カチューシャ
(ほっ)
『じゃぁ、
 帰り・・・は?』

シンヤ
「ん~、
 その時で。」

カチューシャ
(不安しかない・・・)

『ぉおっ!!
 申請届けを出して、はや3年、
 漸く許可が下りましたか!!』

カチューシャ
『い、いえ、
 それが・・・。』

これまでの経緯(いきさつ)を、

簡単に説明する。

『そぅでしたか、
 やはり、妨害が。』

シンヤ
「って事は、
 あんた自身にも、
 妨害があったって事だな?」

『えぇ、
 この3年間、
 施設を壊され、
 良からぬ噂も建てられ、
 一つ一つ解決してきました、
 案外、
 3年は丁度良かったのかもしれませんね。』

カチューシャ
『それで、
 シンヤ?このまま泊まるの?』

シンヤ
「いんや、
 速攻で帰るよ、
 次の長期間依頼を受けて、
 国の介入を極力避けたい。」

カチューシャ
『え゛っ!?』

『シンヤ君、
 君はなにを掴んでいるのかな?』

シンヤ
「魔物、モンスターの、活動期が間近です、
 だからこそ、
 “生き延びる為に”
 情報、地方へおもむいて、
 土地事の特徴、
 状況に応じた対応を取れるように、
 少しでも急ぎたいのです。」

カチューシャ
『ふぇ?』

『おいおい、お嬢さんが、
 煙を噴いているぞ?』

シンヤ
「豆スープの目をすんな、
 それに、
 報酬もそこそこしかない、
 装備、生活用品、
 食料等々、
 先立つもので必要不可欠、
 “金だ!!”」

『うむ!
 その通りだ!
 そうだ、帰りがてら、
 依頼を受けてはくれないか?』

カチューシャ
『ぇ~・・・また、するの?』

シンヤ
「まぁ、
 ティーガーでもいいかな?」

カチューシャ
『て?』

シンヤ
「あ、Tー64にしよ。」

どごごごごごご

ぎゅらぎゅらぎゅら・・・

履帯の負担も考えて、

30km/hで走る、ソ連のMBTの一つ。

カチューシャ
(不思議と、この圧迫感、
 好きかも)
『凄い音だね!!』

シンヤ
「お陰で、モンスターも、
 よって来ないな!!」

無線なんて知識にあっても、
使いません、
配線図とかの情報が欠如してると、
ろくに機動しないし、
こっちの頭が、
オーバーヒートする。

カチューシャ
『あれ?
 シンヤ!!前!!まえ!!』

シンヤ
「ん?
 一旦、止まるぞ!!」

ぎゅぎゃがが

シンヤ
「どれどれ。」

双眼鏡で覗いてみる。

シンヤ
(野焼き、か?
 そんな技術が、
 この世界にあるのか?)
「カチューシャ!!
 魔法の気配はどんな感じだ!!」

カチューシャ
『ちょっとまって!!』
(ん~、
 シンヤが言ってた、
 探知の魔法陣じゃ、アレだしな~、
 そうだ!
 温度探査陣(さーもグラフィー)、
 これで、対象外を、
 焼けている野草を除外っと)

義勇兵
『冗談じゃない!!
 あんなヴぉ!?』

義勇兵
『重騎兵!!なにしてんだよ!!
 俺達はもう半数だぞ!!』

重騎兵
『ぐがががががっ!?』

義勇兵
『ちょ!?
 離せ!!離せよ!!』

ブヂィ

カチューシャ
『・・・ちぎれた。』

シンヤ
「あぁ、ちぎれたな。」
(アノでかさ、
 カチューシャの話しの、
 巨人族か、
 主砲、当てられるか?)
「カチューシャ!
 主砲装填、弾種、徹甲弾!!」

カチューシャ
『へ?
 うそでしょ?
 あんなのと殺りあう気っ!?』

シンヤ
「やるっきゃねえだろ!!
 そのスコープの中心を、
 奴のど真ん中に合わせろ!!
 どっかしらに、
 “掠る筈だ!!”」

カチューシャ
『かするって!?
 なんで!?』

シンヤ
「いいから!!
 発射と同時に、全速後退するぞ!!」

義勇兵
『撤退だ!!撤退を誰か指揮しろっ!!』

義勇兵
『指揮って!?
 どこに逃げるんだよっ!?』

シンヤ
「エンジン、よし、ギヤ、よし、
 カチューシャ!!
 撃てぇええっ!!」

カチューシャ
(シンヤの知識を
 そのまま再現してるからわかるけど、
 こんなの普通出来ないからね!!)
『стрелять(撃て)!!』

義勇兵
『砲撃!?』

カチューシャ
『凄い、腕が、吹き飛んだ・・・。』

シンヤ
「全速後退!!」

ぎゃがががが

カチューシャ
『ふにゃぁあっ!?』

シンヤ
「次弾装填!!
 弾種、スラッグ弾!!」

カチューシャ
『ちょっ!?
 それじゃ!?周りを巻き込むよっ!?』

シンヤ
「構うな!!
 向かってくるのは敵と思え!!
 この時点で、
 俺達は、お尋ね者だ!!」

義勇兵
『巨人族の腕が吹き飛んだぞ!!
 反撃だ!!』

義勇兵
『先の砲撃は誰だ!?』

義勇兵
『分隊!!
 未知の砲兵に対し、
 接触!!
 接収せよ!!
 使えるものは、なんでもだ!!』

カチューシャ
『ひぃ~!?
 なんか、巨人族も、義勇兵も、
 迫ってくる~っ?!』

シンヤ
「引き金を引け!!
 カチューシャ!!
 生き延びる為に!!
 躊躇するな!!
 容赦するな!!
 あいつらは、
 “俺達を殺しに来ているんだ!!”」

お尋ね者でも、依頼は依頼


カチューシャです、

皆様、ミンチって、

わかりますよね?

攻撃用魔法も

撃たれだしたので

撃ちましたとも。

“スラッグ弾(戦車用砲弾)”

まー、綺麗に飛び散りますね~

カチューシャ
『・・・うっ!?』

行きがけに食べたサンドイッチが、

リバースしました。

シンヤ
「おーう、
 大丈夫じゃないな、
 ん~・・・、
 あ、
 カチューシャ。」

兎に角、口をゆすいで、

カチューシャ
『ガラガラガラガラ・・・っ、ぺっ!
 なによ?』

シンヤ
「戦闘機にしよう。」

カチューシャ
『・・・あの、
 普通の移動手段は?』

シンヤ
「異世界人の俺に、
 この世界の常識を求められても。」

デスヨネー

カチューシャ
『いぃいやぁあああっ!?』

ギャォオオン!!

シンヤ
「うぉおおおっ!?」

まぁ、空を飛べば、

飛龍や、ワイバーン種、

神聖龍、騎竜とかの、縄張りですね。

シンヤ
「カチューシャ!!
 こいつらはぁああっ!?」

急旋回しながら、

火炎弾攻撃を必死に回避する。

カチューシャ
『ワイバーンの!!
 越冬種!!
 季節の変わり目だから、
 内陸から、
 海へ向かってる途中~っ!!』

シンヤ
「それって、
 こらから向かう所じゃんかぁあああっ!!」

Su-27を全開で吹かし、バク宙、

ワイバーンを前に押し出す。

確認を取らずに、撃ち落とす。

カチューシャ
『ぅわ~・・・墜ちた。』

シンヤ
「兎に角飛ばすぞ、
 なんだか、嫌な予感がするんだ。」

カチューシャ
『それって、
 今まで、外れ無しじゃない。』

シンヤ
「あぁ、そうだな。」
(非常に不味い、
 数え切れない経験の中でも、
 アッチの世界で感じた、
 一番ヤバイ感じだ・・・)

カチューシャ
『シンヤ・・・燃えてる、
 燃えてるよ!!
 街が燃えてるよ!!
 シンヤ!!』

シンヤ
「カチューシャ!!
 広範囲魔法陣を形成出来る場所は!?」

カチューシャ
『そんなのないよ、
 あんなに大きい魔力と、
 魔法陣なんて作ったら、
 “シンヤが一番嫌う国が絡むよ?”』

シンヤ
「そうだ!!
 カチューシャ!!
 機種を変えるぞ!!」

カチューシャ
『うぇっ!?
 ちょっ!?まって!!まって!!』

記憶に、とある映画で、

ヘリの、水タンクから、放水し、

溶岩を冷やした事を、実戦に移す。

シンヤ
「今だ!!放水!!」

一度に運べる重量は、有に10トン。

チヌークのパワーは未だ健在。

カチューシャ
『旋回するよ!』

シンヤ
「消せる所は消すぞ!!」

カチューシャ
『うん!!』

結局、街は五分の三が焼け、

消火できたのは、半分にも満たなかった。

それでも、病院、ギルド支部は、

消火出来た範囲にあり、

ぎりぎり、街が機能していた。

中々火が消えなかったのは、

あちこちに、

ワイバーンの死体が燃えていた為と、

木造建築が、密集していたのが、

大きな原因だった。

『君たちが、
 空から川の水を撒いてくれたんだね?』

漸く、火の手が収まり、

“魔法でも、消火出来る勢いまで落ち着いた”

シンヤ
「貴方は?」

トティー
『マグダエル・K・トティーだ、
 この海の街、
 マグダエルの、町長兼任、
 ギルド長の、トティーだ、
 君たちが居なければ、
 全てが、焼け出されていただろう、
 本当に、有難う。』

カチューシャ
『いぇ・・・ただ、
 やれる事を、やっただけです。』

シンヤ
「丁度いいか、
 トティーギルド長、
 ブランチマウンテンの麓、
 マイクラント支部が出来た報告と、
 これを、届けてくれと、
 依頼を受けてきました。」

トティー
『マイクラント支部、
 そうでしたか、
 娘がようやく・・・、
 これに関しては、
 私の方から、
 改めて報酬を払わさせて下さい、
 前金契約書を見せてください。』

カチューシャ
『えっと、
 シンヤ?持ってるの?』

シンヤ
「あのなぁ、
 どこに隠したんだっけ?」

カチューシャ
『・・・あ///』
(胸当ての中だった///)

シンヤ
「てか、トティーさんは、
 一体、幾つなんですか?
 マイクラント支部のギルド長も、
 やたら若く見えましたけど。」

カチューシャ
『トティーさんは、
 “長命過ぎて解からない種族”
 “時の人族”なんだよ?』

シンヤ
「は?」

トティー
『ん~、覚えているのが、
 この大陸が、
 周辺列島と、くっついたぐらいかなぁ~、
 一番古いのが。』

カチューシャ
『え?
 大昔は、大陸じゃなかったのっ!?』

シンヤ
(まるで地球のパンゲア大陸だな、
 ん?
 まてよ?
 なんで、この星があるんだ?
 そもそも、ここが異世界だとしても、
 “有り得たかも知れない地球”だとしたら、
 俺は、
 直接の過去では無い、
 違う歴史の地球の過去に、
 飛ばされたのか?)

トティー
『シンヤ君、
 君は驚かないね、
 どうしてだい?
 “魔力無し君”
 詳しく、聞かせてくれないか?』

その瞬間、

トティーの顔が、

悪魔に豹変した。

逃亡は果てしなく


トティーが豹変する。

そりゃそうだ、

魔法を使えない人間が、

“こうして生き延びている時点でおかしい”

トティー
『君は、どうやってその年まで生き延びた?
 赤子の時に、
 始末サレル筈ダ!!』

周辺の光る粒子が集まる。

カチューシャ
『ちょっ!?
 その魔法はっ!?』

トティー
『死ね!!忌子よ!!
 この地に災いをもたらす、
 魔力無しめ!!』

事前に仕込んでいた、

スタングレネード、

これは、

カチューシャに、構造を無理やり理解させ、

“消えない物体として、
 作った物だ”

カチューシャ
『ひにゅぅ~・・・。』

なんとかカチューシャを担ぎ、

家をでる。

シンヤ
「くぅ~・・・、
 マジで効くぜ。」
(急がなきゃ、
 ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ)

トティー
『ニガサン、
 残存町兵ヨ、
 奴ラヲ、殺セ!!
 ナントシテモダ!!』

町から、

担いで走る、

そんな体力なんて、

ある訳もなく、

少し離れた小屋に逃げ込む。

シンヤ
「・・・カチューシャ、
 起きろ、カチューシャ!」

カチューシャ
『ふぇ~?
 ここは?』

シンヤ
「近くの小屋だ、
 カチューシャ、
 魔法を使えるか?」

カチューシャ
『え?
 たぶん、大丈夫、
 でも、なんで?』

シンヤ
「海に逃げるぞ。」

カチューシャ
『え?
 モロに反対側だよ?
 どうやって突破するの?』

シンヤ
「とある戦車なら、
 海に飛び込んでも、水上を走れる戦車がある、
 だけど、
 精々、水深20m程度しか、
 航行出来ない、
 ここの海は、
 “深いのか?浅いのか?”」

カチューシャ
『浅いけど、
 大型帆船用に、海底は掘削してあるよ、
 でも、河口周辺は、
 砂だらけだから、
 掘削が進んでない筈、
 でも、
 確証は無い。』

シンヤ
「ならこうつご『おや、仕損じたか。』ぐぶぅっ!?」

カチューシャ
『え?』
(ち、血が、
 シンヤの血がっ!?)

シンヤ
「がふっ、
 ガヅュウジャ、はしるぞぉ゛お゛お゛っ!!」

泣き喚くカチューシャを引っ張る。

カチューシャ
『シンヤぁあっ!!
 死んじゃうよぉおっ!!』

シンヤ
「がんだんじ、じぬが!!
 ガヅュウジャ!!
 おでのぎおぐを゛ヨミトデ!!」

この期に及んで、

キスをする。

カチューシャ
(こっ、これが戦車!?
 でも、今は!!)
『戦場に埋もれしその力、
 今こそ具現化せよ!!
 “カミ戦車”』

トティー
『なに?海に?』

町兵
『は、追撃を試みましたが、
 砲撃により、
 小型帆船は、瞬く間に沈められ、
 大型帆船は、
 出航に手間が掛かり、
 追撃には、時間がかかります。』

トティー
『仕方がない、
 小型帆船は漁にも支障が出る、
 修理を急げ、
 大型は、
 それらが終わってから、
 出航、追撃に移る、
 あれだけ小型な船?だ、
 そぅ、遠くは行けまい。』

カチューシャ
『シンヤ!!シンヤ!!』
(どうしようっ!?
 血が止まらない!!)

シンヤ
「かちゅ・・・は、ぱ、
 はっ、ぱを。」

カチューシャ
『はっぱ・・・そうか!!』

慌てて傷口を塞ぐ。

シンヤ
「ごほっ!?」

カチューシャ
『ちょっ!?
 やだよ!?死なないで!!』

シンヤ
「・・・けほっ、
 ほんと、
 この葉っぱ、
 半端じゃないね、
 傷がもう無いよ。」

カチューシャ
『シンヤぁ~・・・。』

シンヤ
「危機一髪、だな、
 ただ、
 色々マズイな、
 葉っぱの残量は?」

カチューシャ
『あと、10枚しかないよ、
 それに、食べ物も無いし。』

シンヤ
「岸からどれだけ離れた?」

カチューシャ
『まだ、全然、
 波が凄くて、
 中々前に進めなくて。』

シンヤ
「って、事は、深いのか、
 本格的な船の方が良いか、
 カチューシャ、
 また、その、
 魔法、行ける?」

カチューシャ
『大きいのは嫌だよ?
 お腹空いてるんだから。』

シンヤ
「ん~・・・。」
(駆逐艦でも、3千tはあるし、
 仕方ない、漁船で我慢するか)

カチューシャ
『ぁ~、シンヤ、
 なに考えてるの?』

シンヤ
「ん?
 まぁ、漁船なら、いいかなぁって。」

カチューシャ
『絶対、なんか良くない事、
 考えてたでしょ?』

ソンナコトナイヨー

ズドドドド・・・

カチューシャ
『これ?なに?』

シンヤ
「旧・日本海軍、海防艦、
 占守(しむしゅ)型、
 戦車砲で、十分な威力だったけど、
 速度も欲しいし、消波能力、
 荒波とかを考慮したら、
 これかなぁ~って。」

カチューシャ
『どうすんの、これから?』

シンヤ
「あんましやるなって、言われてるけど、
 爆雷用意、
 一発あればいいだろ。」

カチューシャ
『へ?』

がこん

じゃぽん

カチューシャ
『ちょ、え?シンヤ?
 なにして「どごーん!!」んな゛ぁ゛ぁ゛あ゛っ!?』

シンヤ
「おぉ~、
 ホントに、浮いてきた、
 なぁ?カチューシャ、
 どれが食べれるんだ?」

カチューシャ
『なにしてんのよ~っ!?』

シンヤ
「え?爆破漁、
 後は、網ですくってっと。」

カチューシャ
(時折思うけど、
 順応性高くない?)
『えっと、
 あ、コレと、コレ、
 そっちのは・・・うわ、
 高級魚じゃない、
 一応食べれるけど、
 調理器具は?』

シンヤ
「ん~・・・、
 機関最小、投錨、
 給仕室があるから、
 そこで調理しよう。」

カチューシャ
『ぁ、あるんだ。』

シンヤ
「あれ?
 ちゃんと知識は読み取ったんだよな?」

カチューシャ
『あのねぇ、
 私は、貴方の字を読めないのよ?
 どんな意味なんて解からないのよ?』

シンヤ
「そうだっけ?」

カチューシャ
『あのねぇ・・・。』

未開拓


えっと、

あれから何日経ったんだろ?

カチューシャ
『ねぇ?シンヤ!
 あれから何日経ったの~?』

シンヤ
「ん~?
 時計が動いて無いから、
 おおよそ、10日ってとこかな?
 ゼンマイ式を直そうにも、
 ゼンマイバネが壊れてちゃ、
 どーにも出来ないし。」

一応、日が昇って、降りる、

それを数えてはいるけど、

曇ってたりしているので、

おおよそ10日らしい。

シンヤ
「そうだ、この岸壁、
 どこまで続いてるんだ?
 いい加減、
 港とか無いと、
 魚ばかりじゃ健康に支障でるし、
 たまには、山の幸を食べたいなぁ~。」

カチューシャ
『ん~、
 マグダエルから、おおよそ10日、
 たぶん、港町、
 “キュリュシュバエシェリエ”の街が、
 残ってれば、
 見える筈だけど、
 どうなんだろ?』

シンヤ
「残ってれば、か、
 まぁ~た、戦争か。」

カチューシャ
『しょうがないでしょ?
 今の時代、
 いろんな所で、
 紛争、戦争、内戦、
 あっちこっちどうにも出来ないの、
 魔物の活性化もあるから、
 み~んな、自分で手一杯じゃないの?』

シンヤ
「だよなぁ~、
 とは言え、
 魚と物々交換ぐらいは出来るかな?
 穀物ぐらいは、食べたいなぁ~。」

カチューシャ
『てか、
 船で“もやし”が出来るなんて、
 考えなかったわよ、
 しゃくしゃくして、
 美味しいからいいけど。』

シンヤ
「炒めたり、味噌汁にしたり、
 漬け込んで味を変えたり、
 流石に飽きてくるな。」

カチューシャ
『えっと・・・シンヤ?
 遠メガネ、あったよね?』

シンヤ
「ん~?」
(どれどれ・・・)

街はあった。

燃えていたが。

カチューシャ
『ここなら、
 向こうから見えない筈、
 でも、どうするの?』

シンヤ
「カチューシャ、
 魔力はどうだ?」

カチューシャ
『そこそこ、
 なに?またなにか作るの?』

シンヤ
「気球ぐらいはいいだろ?
 ここから、飛ばして、
 上から観察、
 状況を把握、
 場合によっては、
 “介入”してまでも、
 食料確保しよう、
 肉やら、穀物、
 パンも食べたい。」

カチューシャ
『そこ、食い意地?
 ま、それには賛成、
 やろっか!』

シンヤ
「おう、海上での、魔法陣も、
 使う準備だけはしてくれ、
 “圧倒的火力で、
  蹂躙も必要になるやもしれん”」

カチューシャ
『え゛~、
 まぁ~た、なんか大きいの作るのぉ~?』

シンヤ
「海防艦よりは、大きくて、
 火力はあるけど、
 最も巨大な船よりは、
 小さくて、より、“外洋に適した船”だよ。」

『これ以上進撃させるな~!!』

『伝令!!矢が足りない!!
 本部から補充を!!』

『既に走っているが、
 帰ってこない!!』

『伝令!!
 既に矢は無い!!
 パイクにて応戦せよ!!』

カチューシャ
『ただいま、
 見覚えあったよ、
 この間の、王国義勇軍、
 たぶん、港を抑えて、
 そこから艦隊を出して、
 隣国に攻める気だね。』

シンヤ
「この街は、王国じゃないんだ?」

カチューシャ
『海洋連合国、
 表向きは中立を宣言してるけど、
 ほとんどが、
 風前の灯、
 いつ、どこから占領を受けてもおかしくない、
 だけど、
 各街ごとに、
 それ相応の戦力はあるけど、
 義勇軍の規模にもよる、
 そして、相当、
 “追い込まれてる”』

シンヤ
「大まかなマッピングは?」

カチューシャ
『これ、
 でも、
 “敵味方の区別なんて出来ないよ?”』

シンヤ
「海洋連合国の国旗は?」

カチューシャ
『基本、
 “太陽”
 特に、朝日とか、
 そういうふうに見える旗なら、
 “海洋連合国”に属しているか、
 新規に参加した国として、
 認められるよ?』

シンヤ
「うし、
 “旭日旗”上げ!!
 カチューシャ!!
 魔法陣展開!!」

カチューシャ
『全く、
 “旭日旗を拝し”
 祖国を守る為に!!
 無名の船よ!!
 今ここに!!
 具現化せよ!!
 “大淀型軽巡洋艦・仁淀”
 我が願いに答えよ!!』

『な!?なんだあれは!?』

『海を見ろ!!
 あれは!!
 “太陽旗”だ!!』

義勇軍

『増援!?
 くそっ、一次撤退!!
 義勇軍は、再突撃の用意!!』

カチューシャ
『一斉に、街道に向かってるよ!!』

シンヤ
「艦首、15.5cm三連装砲、
 対地榴弾装填、弾種、零号弾!!」

カチューシャ
『妖精さん!!ゼロって、漢字の砲弾で!!』

妖精さん
《って、どれ?》

妖精さん
《はい、これ、
 私達の古代語に準じた読みで良いんだってさ》

妖精さん
《へ~、
 じゃぁ、これだね!》

シンヤ
(妖精さんの古代語が、
 漢字を主体とした文化、か、
 ただ、日本ではなく、
 和国連合、
 それも、大陸になる前に滅んだ)
「測距射撃用意、
 距離、2536、
 散布界は狭めたい、
 号令巡に発射してくれ。」

妖精さん
《んで?
 どうすんの?》

シンヤ
「右、左、中央の巡、
 発射よーい、
 右砲、撃てぇ!!」

カチューシャ
『主砲、一番、二番、
 右砲、撃て!!』

『あんな距離から!?』

『届くのか?』

『わからん、
 撃ったって事は、
 届くんだろうよ。』

シンヤ
「弾ちゃ~く、
 いま!!」

カチューシャ
『うげぇ~、
 地面、えぐれてるよ、
 2、3日はかかる穴掘りの深さだよ?あれ。』

シンヤ
「街道を埋めても問題はないのかな?」

カチューシャ
『それはやめた方が・・・。』

シンヤ
「まぁ、そうだよな、
 左砲、左修正、
 六度、
 上下角はいじらんでも当たるだろ、
 妖精さん、
 撃ってみて~。」

妖精さん
《いいのっ!?
 やた!!
 うてぇえ~!!》

『じ、地面が、えぐれてる。』

『二発目も、凄い威力だ!!』

『え?3門もあるぞ?
 真ん中はうた「ドォン」あ、撃った。』

『き、君達の船、
 なんなの?これ?』

シンヤ
「軽巡洋艦、
 これでも、小さい方だ、
 妖精さんの許可なく、
 触っちゃダメ、
 カチューシャ、
 頼んだ、
 俺は、寝る。」

カチューシャ
『え?なんで?
 シンヤが説明するんでしょ?』

シンヤ
「妖精さんが居着いた以上、
 この“仁淀”は消えない、
 そう言ったのは、
 カチューシャじゃないか。」

カチューシャ
『そ、それはぁ~。』

シンヤ
「あ、そうだ、
 道中で獲った魚の物々交換、
 お願いしてもいい?
 10日も魚は、飽きたんで、
 山菜、肉、穀物と、
 交換出来る物が欲しいな。」

『魚!!
 それはありがたい!!
 ここ最近は不漁で、こっちも、
 山菜、穀物、肉で、
 飽きていたんだ!!
 みんな!!
 魚だ!!魚が食べれるぞぉお!!』

おじさん、異世界に住んで、しぶとく生きてます。

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  • 強い言語・思想的表現
更新日
登録日
2017-07-05

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  1. 世の中の皆様。
  2. あっちでは、台風とか、大変だろうなぁ。
  3. とりあえず、当面の食料ですね。
  4. なんと、まぁ、困ったねぇ。
  5. これが?冗談だろ?
  6. 裏口ギルドと、快速キャラバン隊
  7. おおちゃくは?程々に。
  8. お尋ね者でも、依頼は依頼
  9. 逃亡は果てしなく
  10. 未開拓