雨音と傘とつま先と。

雨音と傘とつま先と。

くるり。くるくるり。

君に会えない
雨の日は嫌いだった


しとしと

雨音に

意味もなく傘を回す


くるくるり



冷えてしまったつま先


臙脂色は大人の色だって



あの子が言っていたから


昨日の夜


静かな部屋で爪を染めたの



似合わないなって思いながら



生温い風


草の匂い 夏の匂い


さよならした日と同じ匂い





聞こえないよって
言いたかったんだ

そんな声じゃ聞こえないよって


ちゃんと言って欲しかったのに



臆病ね やっぱり



君も


私も



くるりくるり


回す傘 手持ち無沙汰

雨の日は嫌いだった

悔しいから 回す傘

哀しいから くるくるり



冷えてくすんだつま先に


臙脂はほら やっぱり似合わない



大人の色なんて 嘘だ





君に会えない

雨の日は嫌いだった

会いたくて 会えなくて

そんな恋をしていた

雨音と傘とつま先と。

雨音と傘とつま先と。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-06-27

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted