わかり合う

根っこが違うの

友達と仲良くなるのが、苦手だった。

高校生の時は、孤独だった私を見かねた学級委員タイプの女の子がランチに誘ってくれた。
机をくっつけてお弁当を広げる。
同じようなはみ出し者の子が、他に2人。
はしゃぎながら、休み時間に唐揚げを買いに走るのが日課だった。

私はこの子たちと何かが違う。
付き合いが長くなるほど、その思いは強くなった

思い切って、「学級委員」に打ち明けてみた。
「学級委員」は鯛焼きをぱくつきながら、
気にしすぎよ。
そう一笑に付した。
ことりの家のことはよく分からないけど、ことりはお母さんに充分愛されている。

でも、私は出来の悪い自分が嫌なの。

そう言いかけて、言葉を呑み込んだ。
「学級委員」の眼が、ほんの少し泳いでいたから。

この人には分かってもらえない。

勉強に打ち込む気にはなれなかった。

大学生になった私は、開き直った。
友達なんて、必要ない。

バイトに精を出し、すずめの涙のような給料でえびちゃんOL御用達ブランドの服を買い続けた。
高価な服に身を包めば包むほど、みじめな気分になった。
服に着られている。
でも、私は私が分からなかった。

そのうち、3人グループからあぶれた女の子が私に声をかけてくれた。
一緒にランチする。
一緒に買い物に行く。

でも、私は知っていた。
その子が私との遊びの約束をキャンセルして、別の友達と遊びに行っていたのを。

その程度。
その程度。

私は社会人になった。

わかり合う

わかり合う

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-06-15

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