白い夕景

上部塗りの幸せを享受して

今ここは本当の僕の居場所なのかな





なんとなく、大して上手くもないのに

死んでいた頃もやってたからって

経験者として入った世界では

初めて始める才能者たちが

期待と羨望の眼差しで訴える







Give me.

Give me.

Give me.








赫い 赫い 赫い 赫い

焦げたアスファルトの発する熱のように

じわじわ と 僕を 嬲り殺す








刺さる。











たまたま何かを掴んだだけだ
それがナイフだっただけみたいだ












たまたま右手を振り下ろしたら
そこが僕の心だっただけみたいだ










悪意なんて見当たらない。







だからこそ僕は傷付いた

勝手に傷付いただけみたいだ








抉れた空白を満たす何かを探したい

そうして無駄に過ごしていた










気まぐれに降り立った駅では

ダム工事の看板が倒れていた







駅郊外ではカラスがゴミ袋を裂いて

くちゃくちゃとこちらを眺めていた








途切れ途切れのサイレンが鳴り響く

廃病院の横を通り過ぎて

野次馬たちの嗤い声










眼に浮かぶのは

キミだから









kiss me.

kiss me.

kiss me.








小さく囁いていたんだけどね

乗り換えたSLの汽笛が かき消したみたいだ









Kill me.

Kill me.

Kill me.










そうして襲いかかった白い空が

僕らを嘲笑っていた










そんなのは思い込みだ

って思い込めないのはもはや道理








仕方ないから河原に寝転んで

この空が落ちてきやしないかって

馬鹿げた妄想を繰り返してさ








空っぽの心を、満たそうとした。

白い夕景

白い夕景

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-06-15

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