*星空文庫

カシカと皮肉屋

ドライアドの本棚 作

気分で執筆。

昨日までそうあるべきと考えていたものが、今日突如として、別の違和感のある形にかわる事がある、
魔女のカシカとシカイはその村に入る、
薄暗く長い森を通り過ぎ、視界がぱーっと明るくなるとき。
大きなカボチャがなっている田園の風景、たんぽぽの庭。
いたずらの野良犬が走り回って、それを子供が追いかけていた。
魔女の帽子がそれを見て笑う、何がおかしいのか狂ったように笑った。

この地方の伝説の王、グルール
大国ガリアは帝国の時代だったが。
このエイト地方は精霊や竜や怪物の進行をこの街の中心の砦ひとつで迎え討った事があった、
今では世界は平和だけど、王のいた時代では、世の中では不思議な事がたくさん起きた。
英雄グルールはもういない、村人が悲しもうと、寿命はやってきた。
精霊や魔女との契約は破棄された、彼の剣や書籍の継承者はいない。

アエリアはそんな夕方の憂鬱を、母との喧嘩の最中にも考えていた。
キングがいれば、人々が平穏な暮らしを送る事ができた、そしてきっとそれこそが
金銭への執着や、物欲への執着よりもさらに一段と豊かな生活の証明であると
多くの人がしっていたはず、そんな世界があったはず。
ふと外の騒動が気になって4つに区切られた曇りガラスの窓をあけると、どうやら魔女がやってきたようだった。
「ごきげんよう、アエリア、平和ですか?」
なぜこれだけ騒がしいのに、一番初めに話かけられたのが私だったのか?
アエリアはつぶやかずにはいられなかった
「……心外です。」
「妖精が見えるからよ」
呟いた内容が伝わったのは、この村ではアエリアだけだった。

化粧ポーチと
迷惑な友人との変な日記帳
これについて感想をくれといわれたのは
友人がポエムにはまりはじめたからだ。
あの友人カシカは、小さい頃この村で«同い年»として一緒に過ごした
もう覚えているものもいないだろう
彼女は«伝説»のスカウトマンだった。

カシカは三つ編みをふたつ後ろで束ねた、頬の赤い少女だ
シカイは、小柄な男性だった。シカイのほうが話しかけてきた
「すみません、お嬢さん、この辺に宿屋はありませんか?」
母のリーシャはあまりの事に驚く気力もなく、ただ目を丸くして階段を駆け下りていったアエリアを目で追って
縫いかけの編み物を椅子の上において、アエリアが覗いていたまどから、外の様子を見ていた。
しばらく三つ編みの少女とアエリアは口喧嘩をしているような様子だったが、その内何か話がまとまったようで
シカイと名乗る男の子が平謝りで頼み込んできた。
「一晩だけ、宿をお願いできますか?」
友達なのかと勘繰りたかったが、ここは宿屋なのだ、快く承諾した、
宿屋ニーフは、隣ではあったが、そのよそ者は看板をみて訪ねてきたとのことだった。
「もうくらくなるわ、アエリア!アエリア!!ちょっと、お知り合いか知らないけど早くお店の準備をしてちょうだい、
夕食に、看板の灯りがついていないわ。」
母親はどたどたと一回と二回を行き来していた。
外にいたアエリアはカシカに困惑したポーズをとって、あちらへいらっしゃいと目で合図した。

この大きな隣の宿屋は、レンガ造りで夜は酒盛りの声が響く、となりに済んでいる二人にも届くくらいに。
紺色の屋根に赤色のレンガ、二階建ての愛着のあるもうひとつのわが家だ。
ぼーっとしたあとからは、
アエリアは腹立たしいやら、懐かしいやらの気分でいっぱいだった。
久々にあった親友は、この日記の事など忘れて、珍しい異国の衣装を身にまとった男とコートとポーチだけで
またぬけぬけとこの地を訪ねてきたようだった。


ほかにも客があったので、その日の準備をせわしなく終えて、彼女との思いでを心に描きながらも
アエリアは日記を見返した
「ポエム、ひどい、あいかわらず何ひとつセンスがうかがえないわ」

深夜になって目が覚めたのは、店の手伝いだけでくたくたになって、
自慢の前髪が汚れてしまったので、ほとんどかきあげて結んでしまって、それから寝てしまった事に気付いてからだった、
食堂でだれかが上からコートをかけてくれていたようだった。
「しまった!!」
アエリアは日記帳を探した、あれだけは見られてはいけない、
彼女は魔女だという事を知られると、何をするかわからない、
悪ガキを死ぬ寸前まで水攻めにしたのは、私が思わず彼女の事をしゃべってしまったからだ。
もちろん私をいじめて吐かせたのだが。

そろりそろり
長い廊下をすり足で
(なんといっても彼女は一緒に旅にでようとしつこく誘ってきた事があった、それが一番の喧嘩の原因になっていた)
もう14にもなるアエリアは、少しあの男の子との関係がきになって、カシカが休んでいるという部屋に向かった、
お布団の準備をしていなかった。
「龍の退治をさせましょう」
ギクッ!!
アエリアは驚いた、彼女には、やはり無駄だったのだ。
「カシカは、まだあきらめていないのか……私は伝説にはなれない……魔女の見方は出来ない。」

断って部屋にはいり
布団の準備をしにいくと、少年シカイは丁寧に正座をしていた
二人とも、紺色のシャツに着替えていた、異国の装束はどこかで見た事がある、きらびやかな宝石がちりばめられた薄手の衣服だった。
(気まずい空気)
少しすると、臆面もなくアエリアに話かけてきた。
「アエリアさん!あなたがうちの妹と一緒に遊んでくれたという」
「ああ兄さん!ああ!!そんな、100年も昔の事を!!」
「100年!!?あなたたちとは違うのよ!!」
アエリアが怒ると、少し二人がひるんで笑い出した
どうやら話を聞くと本当の兄妹のようだった。
どうやらふたりは、木で竜の彫刻を作ったそうだ
カシカはちゃかしていってきた
「あなたに似てるから」
そしてアエリアは
その肖像をみて思う
「似てない……。」

急いでアエリアが床の準備をすると
カシカとシカイは床についた
「気はすんだ?」
カシカはすこし目を閉じて口元に笑みを含ませて尋ねた。
静かな夜の世界に響く虫たちの鳴き声が楽しい。
「彼女に出会うまで君は皮肉屋だった、彼女に出会って君がの何がかわったのか、一度訪ねて見たかったんだ。」
カシカは彼女との思いでを思い出していた、去年までこの村に本当の身分を隠して隠れ住んでいた。
なんといっても魔女といえば不吉な噂しかない、本当は竜や怪物や、精霊たちと対話をし、不幸事から人間の世界を守っているというのに。
でもカシカだけは、そんな自分の話を聞いてくれた、
だから彼女がいじめられるとき、いつも助けたのだから。

布団は距離をとって敷かれた。
カシカは心配そうな兄の顔を視界の端でとらえて、
「明日から商売を始めるわよ、今はむしろ、平和こそが求められているの、戦いに向かうものもいるけれど
いまは平和が一番なのよ。」
呟いて眠りについた。

『カシカと皮肉屋』

『カシカと皮肉屋』 ドライアドの本棚 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-06-04
Copyrighted

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