*星空文庫

ぼくはことばをはなせません 作

どちらへと捻ればもとに戻るのかわからないからついてこないで

白い対角線をしっていますか 縦状の精神を貫く

言い訳がちゃんと祈りに聞こえても心の底から許さずにいて

膝をつく 手は胸にあてる どうしてもわたしにはわたしを見つめられない

夕立ちをものにしてゆく確率が同じ数字で生命をうむ

穴のないベルトはうそをつきやすい 昨日とおなじわたしはいません

悲しみが息をひきとる瞬間のほんとうのかなしみが缶をあけます

ことばには美しいと注釈がつく 生きれば花にも似てしまう

砂の手をさしだしている遠くでは月のふりしたひとが振り向く

両膝をひたいにあてて わたしはだれのためにも泣きたくなれない

『缶』

『缶』 ぼくはことばをはなせません 作

短歌連作10首

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-06-02
Copyrighted

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