知るも知らぬも

夕方おそらく18時
河川敷を男女が歩いていた

女には沢山の流れ星が見えた
男には見つけにくい
男女が同時に見つけられたのはたったの一つ

流れる星はずんずん流れ
川の向こう側を走る
小さなトラックにこつんとぶつかった

トラックと星は弾んだ川へ落ちた

男女は川の向こう側へ

ゆっくりと一人の老人が浮いてきた
どこからか集まった人々
覗き込む人々
囁き合う声々

救急車を呼ぶ女

意識を戻した老人

大丈夫を何度も発しながら
道化師みたいにおどけてる

焦る女
来ない救急車

隣を歩いていた男は既にヘラヘラ笑っている

女は気がついた老人の中を流れている星に

女は立ち去った

老人は輝いた

男と人々は溶けた

知るも知らぬも

知るも知らぬも

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-16

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