嬉しくて楽しいね

嬉しくて楽しいね



   


  



   


  





ルー・リードを聴いて

一日を占う

Charley's Girl

陽の光



「おはよう」

うれしかったりふあんだったりさみしかったりする日もある



「チャーリーの女に気をつけろ」

アンナに置き換える

いじわるな朝



ルー・リードがしゃべるように歌う

虚無が遠くなった

この人生



アンナからの電話

おまえ

おれの寂しさ感知するのが上手いよね



「渋谷でリルをアタシ守るから」

女の時代なんだよね

割り切る



「リルはあたしから逃げなかった」

あの翌日に

おれから虚無が消えた



「リル、どんな女が嫌い?」

「浮気する女」

セックスが始まる夜



恋愛を描かなかった絶望詩書きが

恋愛でアンパン食べる



朝から恋しい

死ぬほど恋しい

死なないから

リンゴぶつけてくれ



きみを追いかけて 追いかけられて 一緒に歩いて

やがて来る夏



この陽気は

アンナの仕掛けたいたずらさ

心おだやかな爆弾



今日はおまえのテーマ曲

ルー・リードが届いたらいい

おまえの街



行き交う人たち

シロップを香る街のやさしさは

アンナのプリン



こんな街にも

ミドルテンポの優しさがあったら アンナのステップ



風も陽も

五月のある日 つくる

アンナが忘れたチョコレート溶ける



ちょっと恋しい

陽射しに煙草の煙吹きつけて パスタできたよ



憂うつ

きれいさっぱり寂しさになる

どこかをおまえ歩いている



街の彩がきれいだったり切なかったり

すっかり

アンナ病



こころ映す映画

おまえ

きれいだという

寂しいロードショー



「ゆうべおまえがセックス誘った」

「わかったの?」

まだ午後が疼いている



「リル

 寂しいのは

 おなじ

 寂しくない人なんて

 この世にいるのかな」



一瞬の言葉で

一瞬にすべて朽ちる

その

一瞬の戦慄



日が暮れて

始まる

自動的な

思考

陰惨

トラウマ

吐き気

過去



何かが救いようもなく

レボトミン一錠

不安
過去
から
来る



北大路 殺し 損ね た おん な











闇が黒を通り越したら青白いバケモノ

荒く苦しい息



すくいようのないじかん
こりつむえんのぜつぼう
おーでぃーのゆうわく



アンナ以外いない

君を

僕が

僕だけが

僕こそが救えるから



「自分に優しくなると人を許せる。苦しいから人を裁くの」



「自分を大切に。

 どうかどうかその言葉に縛られてみてほしい・・・・・・」



「リルは楽になりたいのに。だから楽になってとお願いしてるのに」



「アイシテル」が

「愛してる」に変わった

 過去が氷解し
 
 未来背負った



北大路にいた僕自身を

僕は裁いた

未来を生きるために



信じる。

誰も 信じて こなかった・・・・・・

でも

愛するから

愛して くれる・・・・・・



「いま、泣いてんの、あたし。ちゅうだね」

虚無を

捨てた

捨てた

燃やし

棄てた



「吐きたくなったら、俺の顔に吐け」

「嫌だよ、一応女の子だよ」



傷つけない。

傷つける恋ではない。 

恋ではなく愛。 

愛のみだ。



一緒に生きよう。

過去も諦念もいらない

幸せへの

自由のみ。



しあわせにほんともうそもない

しあわせはしんじてかさねていくもの



生きていい

生きたらいい

幸せでいい

幸せをあげられたらいい



たったいま

「とても幸せだよ」と

告げられる

幸せ
          初めてだった



「嬉しくて楽しいね」

思い出していた

楽しくて

嬉しかったから



感じたものが

たしかだった

たしかなものは

感じたものだけだった



はじめて きみで溶けた日

好きにいたぼく

やさしくて 

安心して溶けた



綺麗なものでも寂しいものでも

ふたり分け合えば

それも楽しい



楽しさ

うれしいと楽しい

うれしく思ってくれるとなお楽しい



「楽だ」って

楽しいことなんじゃないかな

楽しいは

ふたりでつくる



しあわせに二人添うなら

しあわせがどんな色でもいいと思った



リルは柿食べて

隣りのアンナはリンゴを食べた

幸せだった



リルがおいしく柿を食べて隣でアンナがニコニコした

しあわせ



アンナがゆっくりリンゴを食べて隣でリルが詩に描いた

しあわせ



自販機が遠いと思ったが

涼しいから空気おいしかった朝



神さましらない

朝にいのる

「朝、きれいだねえ」

煙草の灰

ぽとり



朝に飲んだ睡眠薬

がんばったから短歌に

花マルをやろう





   


  



   


  

嬉しくて楽しいね

短歌が好きになった。31音はきちんと守っている。

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich
先端KANQ38ツイッター https://twitter.com/kanq38

嬉しくて楽しいね

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-05-13

Copyrighted
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