躓いたキャラメル

躓いたキャラメル

   






   







   




寂しい

詩が

流れていく河

朝の

純粋さ

流れてしまった

擦り切れた心の朝

求めすら消えて、分からなくさせた


朝の想像は

昼間に濁って

流れていく

残せるもの

探す


良い人間じゃなかった

凡庸な日々の怠惰

もたれていた

凡庸な日々の怠惰

ときおりホッとした

良い人間じゃなかったから

完璧な世界が

見える

それが

寂しい

何が言えるだろう

ここで

何者かになれる?

君に試された午後は

アタラックス-P 2錠で

ぼかして

途方の眩しくない陽射し

次章がない


良い人間じゃなかった

人の散り際で眠る

良い人間だった

懐かしい朝

落とした 僕は

遠い夕刻だった

世界を描けない

景色を盗めない

哀しみは

ボルタレンを

漁る


物語が起らない

欲しかった日々のポエジー

いなくなった

詩は信仰

詩に守られる暮らし

詩が遠ざかる

詩の神はいなくなる

窓から眺める

陽射しが

今日は昨日の震えた雨と同じ

窓から見る車は

光景を 拾ってくれなかった

苦すぎる息 ポエジーの最後の呼吸

いま 書き留めるのは

失ったこと


迫り来る

夕刻

探した

書き溜めた詩と

躓いてしまった

キャラメルだけ

残った



ボルタレン一錠

傷み

消す

人生

本当

キャラメル

   






   







   

躓いたキャラメル

毎日詩作を続けた生活を終えて、なにも書けなくなった日を書いた

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich
先端KANQ38ツイッター https://twitter.com/kanq38

躓いたキャラメル

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-04-04

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