生き  な   ければ 

生き  な   ければ 

   



   



   
   



   



   



   



   



   



   

   



   



   


    “今日あなたの魂をわたしが削ったことを、わたしはわすれない”




    “わたしが今日あなたにわたしの魂を削って告げたってこと、決してわすれないで”



   



   



   



   



   



   



   

   



   



   



「またね.....」


夕方のコーヒーショップ、精一杯だった。あと数秒だった。顔が壊れる。くしゃっと、歪む、目があって目が滲む。



斜陽の光線上の視界、モンタージュのように、その姿のシーンが意識混濁


取り戻した自分は駐車場にいた


必死で取り出して、ウィンストン、火を点した。
   



   



   



   



   



   



   

   



   



   




生きなければと今日の詩に書いた。


                                 生きなければ。




   



   



   



   



   



   



   

   



   



   


日付変った夕食。テーブル。



直後に思い出した、


ガレージの車、後部座席から取り忘れた、カツサンドの包み。






あのひとはカツサンドを注文して支払ったが、一つも口をつけなかった。


レストルームから帰ると、もらったアルミホイルで懸命にサンドを巻いていた。


      一枚じゃ巻けないね


      何枚も破って何重にも包まなきゃ


面白く眺めていた。


数秒後、イメージが降りて、替わる。


持ち帰って、独りの部屋でいつ、どのようなタイミングで齧っているだろう・・・・・・。






コーヒーショップを出た17時。


       持って帰って


       いいよ、いいよ、君のだ


       いいから、持って帰って


思いがけず、渡されたカツサンドの包み、何気なく持って帰った






              日付が変った夕食の直前、思い出して、嘔吐するように、不意の衝動、      泣いた。



                                             胸が詰まった。





いつ、あのひとは、それを持ち帰らせようと思ったのだろう・・・・・・




あのひとは、初めからそのつもりで、あのサンドを注文したのだろうか・・・・・・


   



   



   



   



   



   



   

   



   



   



       魂を削って作り上げた詩も、魂の片鱗すらない卑劣な囁きも、ぜんぶ同じ言葉


       すべて等しく同じ殺傷能力を持っていた


       そして、傷つける者も傷つけられる人も、すべて同じ脆弱な造りの人間だった





    “どうか忘れないで”





君はその決意のために  今日  傷ついたのかもしれなかった








この   人 生



失って・・・・・・



ひきずって・・・・・・



     たどって・・・・・・
      



   



   



   



   



   



   

   



   



   



祈り。  


祈りの詩  祈りの魂  祈りの言葉  祈りの反響  反響する  反響してるのなら  この出口にいつか  出口からの  祈りの陽が  祈りの風が  傷どうしを  わかちあうのか  脆弱のたがいを  赦し合うのか  祈りは  赦されるのか  僕の呼吸は。


          人  生    は。

   



   



   



   



   



   



   

   



   



   


               生き  な   ければ・・・・・・








   



   



   

   



尊い寂しさだった、 あの夕方。
   



   



   
   



   



   



   



   



   



   

   



   



   

生き  な   ければ 

意識はしてなかったが、前作『真っ白  な   終わり 』の続編のように完成した作品。

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich
先端KANQ38ツイッター https://twitter.com/kanq38

生き  な   ければ 

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-03-20

Copyrighted
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