君が私に好きと言ったから

「お姉さん、綺麗ですね」


出会いは、ただのナンパ。
最初は、ただ面倒くさいだけだった。
どうせ、ただのヤリ目なんだって
そう思ってた。

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『・・・・私??』
一人の男性とすれ違う時に言われた言葉。
綺麗、だなんて滅多に言われたことなくて
でも周りには人もいなくて
間違っていたらただの恥だということを承知で恐る恐る聞いて見る。

「そう」
あぁ、やっぱり私じゃなかった。ってことでもなくて
ただのナンパ。きっとヤリ目だろうってその場で勝手に印象を悪いイメージに持って行こうとした。
『ありがとうございます』
軽く会釈し、私はそのまま歩き始める。
けれども、彼は付いてきて。
「連絡交換しない?」
あぁ、いつものパターンだ。って心の中ではうんざりしていた。
その言葉、すごく嫌いである。
交換してどうするつもりなんだろう?また会うわけでもない。今後もう会わないかもしれないのに交換しても話すこともないだろう
『ごめんなさい。』
傷つけないように、申し訳なさそうな顔で謝る。
けれども、彼は諦めず。
仕方ない、と私はカバンの中に手を入れる。
特に理由もなく携帯を二台持ちしている私は使い分けもなく、
いつのまにかプライベート用とナンパ用で分けていた。
名前も年齢も偽って、暇な時だけ返信して
5年近く彼氏がいなく、事実彼氏は募集中である。
しかしながらもメールというものは苦手であり、通知に気づいていながらも返信が面倒である。
いつのまにか返信しないことに癖をついてしまったせいか大事なこと以外は2日、3日でやっと返すのが最近の私だ。
連絡をしなければ異性との関係も進展できないし、好きになれないし好かれることもないから彼氏も作れない。
いつか結婚まではしたいな、と思うが交際がとても面倒。これが本音。

君が私に好きと言ったから

君が私に好きと言ったから

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-03-10

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