JAM

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窓の外に視線を移す。外では野球部が声を合わせながらランニングをしている。金木犀の香りがする季節になり、一週間後に控えた文化祭の準備でクラスはざわついていた。高校に入り初めての文化祭だったがみんなが装飾を頑張っている中、私は1人ipodでビートルズの赤盤を聴いていた。先週サッカー部を退部した私は特に理由もなく文化祭の準備の空間になんとなくいた。
そこに聞き慣れた声が私の鼓膜を震わせる。「タケ おまえサッカー部辞めたんだって? 」と奏太が話しかけてきた。こいつとは中学から一緒で俺がロックを聞いていて意気投合した友人である。心臓の鼓動が早くなったのがわかったが私は冷静な表情で「うん ソウは何部だったっけ?」 なんてのんきなふりをして返事をすると 「俺軽音部なんだけどさ、文化祭一週間前だっていうのにバンドメンバー抜けちゃってさ、俺と一緒にバンド組んでくれない?」なんだよそれ 確かに私は音楽をよく聞くが楽器経験なんて殆どなく小学生のリコーダー以来楽器に触れていないような人間だ。「なんで俺? 経験者入れたほうがいいよ」なんて軽く話しを流そうとしたが奏太は私の目をまっすぐ見つめてくる。「タケは音楽詳しいし、俺と好きな音楽似てるじゃん? 勉強も苦手だし大学なんて行きたくないだろ? バンドマンで暮らしていこうぜ!」なにこいつ 夢をこんな大きな声で言えるってすごいな と私は心の中で思いつつ、彼の何かに惹かれ 「まぁ別に暇だしやってもいいよ」と答えると奏太は「ライブは一週間後だからとりあえず今日部室で練習な!」といい彼は教室から去っていった。

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  • 小説
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2017-03-09

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