銭亀との対話

12月30日
こんばんは。
男の中に二つの門があること、少し知ってもらえただけで嬉しいです。

女の人は一つ、納得です。羨ましいとも思います。
男は片方を保ちつつ、もがき続けるしかありません。

人々の関心は、そこに性的な関係があったかどうかです。
僕にはできないのに、あいつはやったのか。私にはできないのに、あの子は出し抜いたのか。
その汚いフィルター越しには、そこに横たわる大切なものは映りません。

僕の生まれ持った男男は圧倒的に足りませんでした。
それを補うために、あらゆることをしてきましたが、叶わなかったので、破壊に及びました。

生まれ持った男男たちに憧れ、嫉妬と憎悪だけが増幅されていきました。
でも、生まれ持った男男や女女はただの人形だと気付くまでに時間がかかりました。

たとえ嫌われても、1人に整っていきたいです。
そうして、苦しみの中から、生み出されるもの、それが本当のような気がします。
男男はかっこいいです。女女は魅力的です。どうしようもないです。
土のなかの球根も幼虫もきっと同じ気持ちのような気がします。

ただ、人間の場合その発芽率は極めて低いような気がします。

男は社会の責任を全うすることが本懐であると刷り込まれます。女男は断固たる正義です。
その引力の弱さを補うために、結婚契約、マイホーム、収入という補助輪を付けてあげなければ、男女関係成り立たなくなりました。

檻に入れられても男は女に引きつけられてしまうので、たいていの人は責任を全うするためにどぢらかを殺そうとします。
他者を否定するか、自分の中の男を捨てるしかありません。その結果、社会や子供に歪みが生まれる、負の連鎖です。
父の苦悩も最近分かるようになってきました。

大変さを受け容れていかなければ、不幸が待っています。
機が熟さなければ、動物園が待っています。

本当に魅力的なのは、片方を削ぎ落として身につけた男男や女女な気がします。

それが生きる道のような気がします。
ひたすら生きるしかありません。


高橋さん突然現れました。ホコリだらけでした。
どこにいたのか謎です・・


父はもうすぐ亡くなります。
少しでも多くの時間を共にしたいです。

目をつぶって生きると、少し楽になると思います。
おやすみなさい。


1月1日
こんばんは。明けました。

二つの門は、精神と肉体、感情と衝動のような気がします。でも、違うかもしれません。

一つの門の先は空っぽです。空洞です。何となく、女性的な気もします。そこに存在するものは、きっと科学や芸術や哲学、目に見えないものだと思います。

もう一つの門の先には生命が蠢いています。いわゆるタブーの領域です。
それは、あっという間に、もう一人をのみ込みます。生命そのものです。ジキルとハイドの、ハイドです。身体は蝕むけど、確実に生命です。

そこに、個性は存在しません。お坊さんであれ、お父さんであれ、犯罪者であれ、みんな同じものになります。でも、それがオスの本質なので誤摩化しがききません。いくら誤摩化しても、歪みを生み出し、引き戻されてしまいます。

でも、人々にとってはこの生命を抑え込むことが揺るぎない正義な気がします。抑え込まれてもマグマの塊になって蠢いています。溜め込めば狂気になります。でも、それが動物の源です。

地上にあるコンクリートのお花畑は幻想ですが、女の人たちが暮らす現実でもあります。

僕はどうしても男なので、地下で蠢くものたちと共に生きていきたいと思っています。そこはきっと女の人が嫌悪する汚い世界です。でも、実体のある確かな芯です。

まぁでもこれは男の見え方です。女の見え方はよく分かりません。正しさも異なると思います。

人々と話すときは、なるべく女の言葉を使う方が良い気がします。男の言葉はなかなか通じません。
というか、そもそも言葉そのものが女のような気がするけど。


高橋さんにヒーターを与えるのをやめました。ぐっすり眠っています。

最近父のことをよく考えます。
愛しい存在です。

おやすみなさい。


1月2日
こんにちは。

確かに女の人にも二つの門があると思います。
門の領域は、親から受け継がれる気もするし、生まれてからは、男と女の綱引きで決まるような気もするし、歪みを自分で取り除くのが子の勤めな気もします。

ただ、地上のお花畑は、平和で平等な世界です。蓋をしないと窒息してしまうのかもしれません。そうして地上の時は止まってしまいます、みんな生きているように、死んでいます。
幻想の中で人間は「進化」を続けます。戦争は避けられません。女男たちは子供を守る女を犯すでしょう。大局的にみれば、自然なことだと思います。個でできないものたちが、極端にやるだけです。

結果として、自然の摂理を否定すること、それが悪であるという幻想が、子の歪みを生むのだと思います。

僕がいつも不愉快に思うのは、偽善と虚飾です。それが自分の中にもあるのがいやになります。
それは同性がやると不愉快で、異性にやられると心地よいかもしれません。もう訳が分りません。

そろそろ、このことについては黙ろうと思います。
TOEICで良い点とって、話せない人になりそうです。

まぁ、放っておいても、なるようになる気がします。
というか、放っておかなければ、あるがままにならないと思います。


高橋さんに人間の道を歩ませるのはどうも憚れます。
カメは冬眠すると水中で呼吸できるみたいです。不思議です。

愛が語られるのは、やっぱり最期であるべきな気がします。
噴火した灰、それが風に乗る時のような気もします。

銭亀との対話

銭亀との対話

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-03-07

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