眉を整えた、か細く、鋭角に。

眉を整えた、か細く、鋭角に。

   



   



   



   



   



   



「どれほどかわからない  いつかのために  気持ちが  きれいだった  磨かなかったことばの何行かを 原石を のこしておくから」
   



   



   



   



   



   



髪の毛はちゃんとカールしたし、


   



   




眉もさっき整えた、


   



   




か細く、


   



   



鋭角に。


   



   



ルージュの


   



   




淡さ加減を


   



   


気持ちに




染ませて




くちびる



軟らかく


かむ


   



   




あとはこれから、


   



   



こころを、


   



   



到着ゲートに受け取りに行くだけ。





   



   
引き受けに行く、




遠く離れて生きた、3ヶ月と13日、7時間の余白。





   



   



   



   



   



   


ここに詩がある。


あのひとの詩に触れて、この詩は向かう。真新しい言葉へ。


だから、いま、お願いです。まず、名前を呼んでほしい。きっとまだ、余白がある。なにも書かれていない余白が埋め合わせられるのを待っていて、そこでまだ、右も左もわからないこの詩が、この川べりの枯野で鏡にうつむいている。


だから、鏡の外の向こう、窓辺の川べりから、この詩にあのひとの詩をかさねて、朝焼けのオレンジジュースの軽やかさで、名前を名づけてください。名前が決められたら、この詩の名前、呼んでください。どうかこの詩の名前を呼んで。そうしてくれたら、ようやくこの詩は、向かえるから。この詩がやっと 、辿りつけるから。真新しい言葉へ 。



いのちを吹き込んで。


吹き込まれた血の流れで、ひとつのアクセントに陽射しが生まれる。あのひとの詩にきっと向き直り 、辿りついた言葉に、生きることを、誓える。


   



   



   



   



   



   





ずっと 、                愛してきました。
            




   



   



   



   



   



   

眉を整えた、か細く、鋭角に。

過剰な装飾を避けた。

「愛」という言葉を普段なら使わないが、禁じ手を解いた。そのために人称代名詞を排した。

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich
先端KANQ38ツイッター https://twitter.com/kanq38

眉を整えた、か細く、鋭角に。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-03-06

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted