時雨通り

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よく前が見えないから雨だった。
左側が数多く雨に触れた。
傘の中は不思議で
少し肌寒いくらいの今日を知ることができた。




雨が数多あるから
全部同じに聴こえてならない。
そう気付けた今だった。
過去にするのはおかしいと思うけど,
柔いような気がしてならない
雨はまだ数多ある。
そんな雨の日だった。




先は良く見えない
それぐらいは降る小雨になった。
薬局屋さんで出迎える
動物の橙色を探している私だった。
長靴は履きたくない。
それでもシャボン玉は好き。
そう複雑になっている。
大きくなったねといって欲しいのだった。




革靴は雨の中を進む。




ビニール傘の透け感を見ている。
向こうを来る人は
顔を見ないままに良いなと思った。
ぶつからないように斜めにした傘二つ。
戻すのを少しためらった。
雨の恋になれなかったとして,
気持ちは少し下を向いていたかもしれない。




柔いような気がしてならない
雨はまだ数多ある。




薬局屋さんの前にあっては
橙色の動物さんが立っていた。
シャボン玉は買わなかった。
革靴の濡れ具合はまだ大丈夫だった。




柔いような気がしてならない
雨はまだ数多ある。




左手を上に向けたのは
傘をもう閉じる必要があったからだった。
ボタンを押した。
水となった滴の表面は新鮮だった。




よく前が見えないから雨だった。
左側が数多く前に触れた。
傘の中は不思議で
少し肌寒いくらいの今日を知ることができた。




革靴を拭いて乾かすのを試みる。
手付きを大事にしたのだった。

時雨通り

時雨通り

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
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