桜川。

YouTubeに載せられている実話の泣ける動画が原作の小説。

第1章 花見スポット

俺が都内の有名なお花見スポットへお花見へ言った時のこと。その日は前日とは打って変わってやけに気温が寒かったので暖かい飲み物を求め、最寄のスタバに客が殺到していた。俺も店内に伸びた長蛇の列に加わった。もうすぐ店の入り口だ。そう思った矢先、肩を叩かれた。振り向くとシロガネーゼ風の巻き髪お化粧バッチリの女性。推定35歳辺りというところ所だろう。するとその女性は紙を差し出し、「すみません、これを買ってきてくれませんか?」と言う。ぐちゃぐちゃに書かれた飲み物のオーダー。しかも低脂肪で、ホイップ追加など、注文がうるさかった。事情が読めず、て言うか誰だよ!この人!とまで思ってしまった。頭が混乱して、固まっていると、「だから!これを買ってきてって言ってるんです!」と追い討ち。「はぁ!?」と声が思わずこぼれる。
「だからぁ!子供が小さいから!子供って身体が繊細なの!風邪引いたら貴方、責任とれるの?」
「…?」
女性が指差す方を見ると同じようなテイストの女性が数名とチビッ子達。どうやらママ友達と来た模様。まず、今俺に買えっと言っている人をA子と仮につけよう。そのA子がさらに言う。
「貴方どうせ並んでいるんだから一緒でしょって行ってるの!」
「……?」
「メモ早く受け取りなさいよ。…貴方日本語通じる?日本人じゃないの?」
呆気にとられて声が出なかった俺だが、ここでようやく一言発することができた。ただし大いに混乱していたため、「どちら様ですか?」という間の抜けた一言。我ながら、やってしまった………と思った所、後ろから若い女の子が手を叩き、爆笑する声が聞こえた。
振り向くと、俺の後ろに今時の渋谷にいそうな格好をした女の子二人が腹を抱えて大爆笑していた。
「ちょwww他人にwwwww他人に命令とかwwwwwあり得ないwwwwwwwwww」
「日本語wwwww通じるwwwwwとか、アンタだしwwwwwwwwwwどんだけwwwww」
「やマジ意味わかんねーしwwwwwどちら様だしwwwww」
箸が転がっても可笑しいお年頃の女子達は、およそこんな感じでとにかく大ウケ。女性の表情がみるみる般若のように変わり、ターゲットが俺からギャル達に変わる。睨めつけると、吐き捨てるように一言。「下っ品な…親の顔が見てみたいわ」
どの面下げて言ってんだよ。と思い、「お前なぁ!」と言いかけ、一人の女の子が軽く手で制した。その後の彼女達がカッコよくて、惚れた。
「確かにうちらチャラいけどウチの親は、ウチが寒いと文句言ってても寒いのは皆一緒だからお年寄りとかウチより辛いだから、我慢しろっていうわけ。ズルとかしないの。絶対。親がそんなだからウチはアンタのことがあり得ないってんの」
もう一人の女の子が言う。
「ウチの親、ウチが人にものを頼んで頭も下げなかったら、マジ100%ぶん殴るけどねウチのこと。顔見たがるのは、勝手だけど、アンタも超怒られるよマジで。」
A子は顔真っ赤にして眼球が飛び出るんじゃないかと思うような表情で、メモをくしゃくしゃにして、女の子達に投げつけてがつがつと去っていった。女の子達は、自分のことそっちのけで女性に「テメェお兄さんに謝ってけよ!」と怒ってくれたが、A子はそのまま無視して行ってしまった。
女の子達に謝ると逆に励まされとしまった。後ろにいたオバサン達も凄いとほめていた。

       ~第1章 終了~

第2章 スターバックス店内

彼女達が「小腹減った」「ケーキやばい。超うまそう」「だけど学費とかあるし金ヤバめ」「じゃあ今日は我慢だね」と話しているのを小耳に挟んだので、ご馳走させていただくことにした。自分の順番が回ってきたとき小声で「あの…後ろの二人にケーキを…」とオーダーすると店員さんは一瞬苦い顔をしたが、そこに別の店員さんが来た。彼は一連の騒動の時に外の清掃をしていた人でレジの店員に事情を話してくれたらしい。
レジの店員は「あーなるほど」という表情に変わり、「かしこまりました」とオーダーを受けてくれた。彼女達のトレーにケーキが運ばれ、「えっ?頼んでないですけど?」と戸惑う彼女達に、店員さんがニヤリと笑い、「あちらのお客様からでございます」と伝えた。眼鏡の女の子が「何で何で?」と繰返し、眼鏡をしていない女の子は「払います」と言うが早いかバッグの中を大慌てで探し始めた。「俺がだってさっき助けてもらったんだかこれくらいのお礼はさせてもらわないと」と言うと「お礼とかいいですから!」「うちらそんなつもりでアレしたんじゃないんじゃないんで!」と言う彼女達に「それはわかってる。でも…」と言ってもこっちが押されぎみだったが、さっきのおば様方が「貴方達、社会に出たら年上にはご馳走してもらうのも礼儀のひとつよ」「そうよぉ、ここはいただいちゃいなさいよ!」と援護射撃をしてくれて、さっきのやり取りを見ていたらしい。店内のお客様からは小さな拍手なんかも起きて彼女達はようやく承服してくれた。

       ~第2章 終了~

桜川。

桜川。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-02-19

Copyrighted
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  1. 第1章 花見スポット
  2. 第2章 スターバックス店内