海物語

1. 島守り

海のことなら、よく知っている。

その恩恵、その脅威。

私たちは、常にそれらに翻弄されながら生きてきた。

四方を海で囲まれたこの小さな島ではそれが当然であり、受け入れるものとして日々の生活を営んでいる。


その恩恵ともいえる漁業と、僅かな特産物、そして驚くほど本土の昔の様子が残っているという風土が、島の僅かな取り柄だった。


私たちはそんな島で生きることに特に不満はないが、

気候が良い時に、遥か彼方で霞む本土が見えると、向こうのあることないことをよく話し合っていた。


島の人々は、今の生活に何の疑問も持たず日を過ごす。

私もその1人だった。

海物語

海物語

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-02-15

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