僕の変な彼女

僕の変な彼女

僕の彼女は変だ。
僕の彼女は愛煙家で小説家だ。
彼女は小説を書きながらよくタバコを吸っている。
そしてこう言う。
「偉大な小説家、みな、愛煙家だ」
そういって、本日二箱目のタバコを開けた。

彼女は変、所謂変わり者だ。
彼女は目を離すと居なくなってしまうし、謝りもしない。
そのたびにこう言うのだ。
「自分の興味を優先して何が悪い」
僕は彼女を嫌煙の目で見た。

彼女はジャズやクラシックが好きだ。
本を書いているときにいつも聴いている。
「まるで自分がすべてを指揮する音楽家になった気分だ」
彼女はそう言って、うきうきしながら執筆する。

彼女は髪が伸びてくると絶対に短くする。
「髪をごそごそと洗っている暇があるならもっとすべき事が山ほどある」
僕は同じ意見なので、それに関しては何も言わない。
僕も短髪なのだ。

彼女は犬がとても好きだ。
「犬は馬鹿な人間よりとてもとても優れている、頭がいい。勿論君よりも」
僕はもう言われ慣れていた。
そのため彼女は動物は好きだが、人間は大嫌いだ。
ましてや子供なんて近くに寄らせればよってたかって、大人げなく喧嘩をするに違いない。

僕はある日、彼女に問いただした。
「何故、人間も馬鹿も嫌いなのに学もない僕と付き合っているんだ」
彼女は笑顔でこう言った。
「私だってわからないさ。でもこれが、私にとってのベストに近い状態なんだと思う」
彼女は変人なりに、彼女らしい言葉で、僕に言ったのだ。

僕の彼女は変だ。
時には罵られ、置いて行かれる事もある。
けれど僕は彼女の傍に居る。
僕にとって、悪い事ばかりなのになぜ一緒にいるのか。
それを彼女と同じ言葉を用いて言おう。
「僕だってわからないさ。でもこれが、僕にとってのベストに近い状態なんだと思う。それが愛なのだ」
僕はこれから先も、この変な彼女について行くことにしようと、心に決めたのだった。

僕の変な彼女

僕の変な彼女

僕の変な彼女についてのお話し

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-02-10

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted