“Why” と “Because”

“Why” と “Because”

  







    






  

夜を織る ひとの仕草は いつか見た あの時だった あの髪だった


ショートボブ 忘れられない 忘れるか おかげで 多くの 俺 費やした


ゆるがない 決して 神を 賛美しない 祈りもしない 地図は いま 描く


神と人 ボウイが教えた 「信じるな」 この先を行く この先にある


地獄なら 歌も歌える 詩も書ける あなたと 遭える 十字 切らない


存在は 神を知るには 人が要る 君を知るには 君だけが要る


震えつつ 寒さを買った あの冬は ロマンがあった ひと が いたから


しくじった 夜に 食した 生牡蠣は 切なさに似て ひと かき消した


コーヒーは 冷めたら消える イメージの はかなさに似る 「ずっと黙った」


ユダの血に 俺を見つける ジーザスよ 天国よりも 詩の海選んだ


沈黙が 饒舌になる 夜の城 人を欺き 地の涯てを行く


母ちゃんは 泥棒だった あどけない 人生の淵 迷い 彷徨う


人生が 終着だった 行き果てた 夜の帳で 街と親しむ


「どこにいるの」 声 嗚咽して かすれたの 三日月の嘘 懐かしむ空


あの叫び 誘拐したの 涯てまでも 海で 歌って 空 走りたい


「ここにいない」 日々を閉じ折る トーストに 呟き裂いた シナモンでよい


しんしんと 降るオカリナは 寂しくて 冬の ヨーロッパ 草原で 抱く


物語 ちぎって 棄てた セーヌ川 あなたを 棄てた もう 戻らない


手切れなら 思い出よりも 100フランくれ 映画見ながら 夜を着るから


「終わりだよ きみの涙は 見たくない」 「ジタン吹かして カフェに沈むわ」


媚薬 売る 街角の ひと カルチェラタン 知りすぎるには 夜 あどけなかった


不器用な 背中だったわ ジュ・テームの 意味を悟った 深い理由を


なにもない 日々を紡いだ 「死ぬまでにパリ 行きたいな」 なにもなかった


ゴールデンバットじゃだめよ偲ぶなら ジタンで あの日 詩を書いていた


「人生は君がいるカフェラテなのさ」 生き急ぐから ショコラ溶かした


ラヴソング 拙くていい 白い部屋  子供みたいに ぬりえ描いてた


バスルーム 「泣きたかったの」 剃刀の 刃の先端で いつまでも 聴く


お別れは 音色の仕草 黒鍵で マイナーコード 煙草 切らした


気紛れが いつも唐突 虹の歌 きみが表紙の 絵本になりたい


歌詠みは か細い指で なぞりゆく 今日も日暮れた 雨は泣いてた


鞍馬口 切符なくした 地下鉄の あのハミングが 僕の恋唄


読みかけの ページ折らずに 電車乗る 涙が 昨夜 手を振っていた


エチゾラムは この日を鎮め 待ってくれる もう充分 生きたと 言える日


震え知り 人は誰しも 灯がともる この灯 あの灯も すべてせつない


起き掛けに ラヴソングなら やめてよね ゆうべ あれほど 愛し合った


夕刻は まるで ちっちゃい 子供だね 涙の 海で 溺死しようか


使わない 歯ブラシ折って 泣かなかった 心 折れずに 時を 描いてた


横顔を えんぴつで 描き 歌で 知る ボーイ・ジョージは いつも 泣いてた


目を腫らし 半分言わず ヒール履き 猫だけ 撫でて 去っていったさ


伝説が 頬の血 拭い 疾ったんだ 赤い砂丘に 轍  残した


憎まずに 背中を向けず 演じれば 人は 誰しも 英雄になる


「好きだった」 「不安怯えた」 「あの日から」 「なんだったんだろう」  積み重ねてる


「忘れてね いい思い出だった」 あの日から 季節忘れた 日記途切れた


青い愛 そう喩えたね 必死だった 毎晩夜を バイクで綴った


賭けしよう すべての舗石 愛すから 僕が敗れて 生き延びたなら


青を撃ち 赤を切り裂き 詩を拾う 緑の中で 息を引き取る


愛がなんだ 僕は死にたい 君の髪 触れて 包まれ 未来を突いて


エンジンよ あのギターリフ パリの夜 誰も知らない 誰も聞かない


目を凝らし 目を射抜くのよ 生ききるの たとえ死んでも ペテンが残る


雨の中 舗道 見ていた 成り行きを 愛が走った 誰かが死んだ


刹那なの いち にの さんで 詩を撃つの 生きる意味なら 犬も知ってる


カード切り 瞬時に選ぶ いつの日か その分かれ目で 歌が聞こえる


殴られて 蹴られ 疎まれ 蔑まれ カラックスだけが 真実だった


優しさは 頬の 表面 半径 数センチ 僕が キスする


静寂 流れる水に 浸す 指 夜のしじまに あのひとを 織る


爪を切った 言葉だけなら 信じてる 夜 一人 だけ PCの 音


1秒の 詩描きの生は 夜を堕ち 明け方生きる ロックは死なない


雨の日に 死んで逝きたい きみの街 言葉の雨は 送料いらない


弾丸が 計画的に 跳ねていく 扉壊して 月を汚した


域  廃る 詩描きのコンマ 跳躍の 弾みの際で 陵辱をする


青と赤 纏った 人を 諦めた 蠱惑 骨抜き 悪魔のベッド


あの時代は、さ “Why” と “Because” 傷む夜 懐かしかった 日々 優しかった


人を乞う 犬のようだね 待っていた 生命線が 途切れる先で


真実は ここにはいない きみだけが 世界の 終わり 話していたね


詩のカイエ 死とギリギリで 眠らずに 夜を 聴いてた 世界 編んでいた


詩を書いて 言葉 途切れて 行き倒れ そんなものだな 人生っての


歌詠みは 真夜中に 生く トークショー 人生 決して 瞬かなかった


遠く なる 二度と 見えない 薄れ ゆく 「悪魔のベッドに 忘れてきたの」


不確かは ぼくの 心で 確かさは きみの 心で 時計   刻んだ


あの部屋を 思い出していた    子猫 虹 衝動 映画 自傷 きみの絵


愛撫した 水晶の指 初めての 殺人未遂で どこか 落とした


手術痕 背中刻んで ぽつり 言う 「ぼくには青春はなかった」

  







    






  

“Why” と “Because”

「歌集」第2作目。2月5日に詠んだもの。

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich

“Why” と “Because”

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-02-06

Copyrighted
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