アンニュイ崖っぷちドール

アンニュイ崖っぷちドール

  







    




「白いラディカルなオルガンの隣にできるだけたくさんのシンプルなお祈りとわずかばかりのディニーをください」




  






ディニー  ディニー   聴いてくれるよね


一日  あなたをかんがえて  


あたしは口移しで  魂  飲みたいの



  






ディニー  ディニー   今朝わかった


手紙を燃やしてたわ


天国のスピーカーから


マーク・ボランが囁いたの


「人生なんてガソリンさ」


ディニー  今でなくちゃ  間に合わない



  






ディニー  ディニー  ここが見えるよね


唐突の病に至るあたしは  たったいま


ナルスシスティックな決意  済ませたわ



  





ディニー  ディニー   わかってくれる


あたしはシナモン混ぜた  とろとろの


アンニュイ崖っぷちドール


アンニュイの  Aは  アルキメデスのひらめきで


ドールの  Dは  ディニー  あなたの  ひとり勝ち


あたしは  いつも  負け犬ブーケ


あなたが  ピアノの上から  投げるのよ



  






ディニー  ディニー   言わせてほしい


がらくちゃのプラスティック   みたいに


すっきりからっぽな   あたしは


深夜のアラームの  思いつきで


チェルシーホテルで  前髪切るの



  





ディニー  ディニー   なぜだかわかるよね


アイスクリームパーラーで


流れる  ラフマニノフみたいな


すっごく   タフでスイートな


あなたをかじる   風に


なるために


  






ディニー  ディニー   あなたは知ってる


あたしの巻き毛の退屈で    ぐずぐずしてて


考える葦のパスカルで ムズカシクなる  あなたは 


あたしのマシュマロ   ほんの子供のぽっちゃりポテト


迷子になった  小さな   憂鬱の彩色ガラス


飛行船の燃えたあたしを  午前2時のドラッグストアで拾う  


沈黙の  シュールレアリスム・テクノなの


  






ディニー  ディニー   いつかわかる


クルクルまわる苦痛の雨で  マットレス 浸って


オリオン座の背中で泣く  あたしのことが


あなたの神経症の銃眼で  見える   かしら


あなたが   ばきゅーんって   永久のシネマトグラフで   撃ち抜くの



  





ディニー  ディニー   きっと  かんじてほしい


パンキッシュな女の子は  突然  瑠璃色のカイエになる
 

いつだって  バーボンの色で  モンキーダンス踊ってる


フリーキーなまま  ロルカの窓際を  思い出しながら


ビーフハートの重力でショートしそうな   アタマんなかにいる


  






ディニー  ディニー   待ってるの


夜通し  ずっと  銀色のメトロアベニューで


真剣な  ボードレールのルールで


ブルーゼリーの  優しい感触で


ハンギングされるの  待ってるんだから


  





ディニー  ディニー   わかってほしい


ちょっぴり切なさの  アウトバーンの速度が怖いけど


とんがったあなたのベレー帽  安全ピンでくっついていたいの


  






ディニー  ディニー   あたしは決めた


ポルシェのマフラーみたいに  いいかげん!


で、 


フランシス・ベーコンの線描みたく  曖昧!


な、


ディニー  あなたのRGBハイコントラストの夢  に!  


あたしは今夜降伏する



  





ディニー  ディニー   あたしはここにいる


木曜日のVoyageの夜  ギグライヴにでかけよう


エゴン・シーレの木馬に乗って  水銀灯の下へ  迎えに来て



  





ディニー  ディニー   魔法になった  


ディニー  ディニー   しがみついてる


ディニー  ディニー   かみつくわ


ディニー  ディニー   写真にする



  





ディニー   離れない




  






ボゴダンス    おどろうよ、




  







プジョーで疾走する満月   が




  





襲いかかって  運命がレジスタンスする夜




  






ジョニー・ロットンの孤高が  連れてってくれる




  







ハートフルな  賛美歌パンクで。


  







    

アンニュイ崖っぷちドール

大学の頃に書いた詩のようなものを蘇らせるために作った。
前作の方法を用いて、全くカラーの違う幸せな詩を書きたかった。
「愛」「恋」「好き」などの恋愛形容を完全に封じた。
ブロンディというバンドの“Denis”という曲に触発された。
あちらは「デニス」であって「ディニー」ではないので、パクリではないと強弁しておく。

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich

アンニュイ崖っぷちドール

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-02-04

Copyrighted
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