化石の恋

思い出さない主が泣いた。
場所を滑り落ちて
やっと1回と数えられる。
涙の世間の法則は
化石の恋を見落としてく。




抱いてる太腿が痛いのに
見える丸みを撫で回す。
石になってもハートだと
疑ってない骨格は
化石の寿命を測れない。




ざらざらの奥の奥には
空洞なんてないみたい。
でも,
密度に甘さが足りてない。
愛を贈る時間がない。
頬っぺたに傷は 私にしかない。




天井壊したソファーの上
ポートレートに混ざる欠片が
石の形を真似ている。
構って欲しいのはお互い様と
弾き飛ばした知らんぷりが




突き指程度に収まって
骨折できずに泣いている。




化石の種類を調べたくて
百科事典をめくる指は
十二時を過ぎてる。
片手の中の 恋と化石は
向こうなんて知らない。




口の中で転がって,
化石の名前は短かった。




似ているのが嫌だった。 
世間の法則に則った涙は
1回とも数えられない
短いものになった。

化石の恋

化石の恋

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-07-19

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