*星空文庫

不死身

いずみまいか 作

禁断の恋に溺れていく少女、ありきたりなstoryを覆す!

 妹が許されぬ恋に目覚めた。僕はそれでもなお見て見ぬふりを続けるだろう。妹が幸せそうに笑っている。その事実だけで良かった。どんな事情があろうとも幸せそうに笑っているのだ。問いただすことはしない。
 いつか終わりが来るだろうと、内心思っていても絶対に口にしない。そう絶対に…。
妹は最終的に傷ついてしまう。そんなことはとっくのとうに気が付いている。けれど、引き留めることもしない。
 それが僕がしてあげられる唯一の償いだった。
  
 世の中本当に不公平だと思う。なるようにならないのだから。僕の嘆きがいつとなり雨となり誰かの元へ降り注ぐだろう。降り出した雨は人々は憂鬱にさせる。でもその一方で幸せを感じる人がいることも事実だ。人それぞれだ。つまりそうゆうことだろう。
 人は生まれつき平等じゃないことくらい、分かりきっている。

 そして誰もがそれを知らないふりを続ける。
  


 *
 気分の上げ下げが大きい。テンションがhighになる時もあれば、物凄く落ち込んでしまう時がある。
自分でもよく分からない。情緒不安定なのかもしれない。すっと眠れぬこともあれば、いつまで経っても眠れない時もある。、
そんな時は決まって睡眠薬を服用する。
眠れないという破壊めいた恐怖から逃れるために。
 といってもほとんど薬に頼っているといったほうが正しいかもしれなかった。
例えば雲一つない晴天だとか、そういうものを見たら、感情が高ぶるのかもしれなかった。

 でも自分でも怖いくらい、気が付けばいつの間にか大きく下がってしまっていたりする。
感情のコントロールというものがいつまでたっても出来やしなかった。
 学校、楽しいなと思ったり。学校つまらないと思ったり。
感情がコロコロ、サイコロのように転がっていくのだ。自分でも感情を制御できないときがたまにある。

 そんな自分を好きになどなれなかった。
心の病を抱えているではないか、そう思ってはまた溜め込んでを繰り返す。
誰にも打ち明けられなかった、この苦しい胸中なんて。
一番身近な存在の兄にもだ。
 一から十まですべて打ち明ければ、少しは楽になれるのかも知れなかった。
けれどそれはいっこうに出来なかった。
 一人で抱え込んでしまう———。
自分の悪い癖だ。だからといって、この性格をずっと引きづったまま、変わることなんて出来やしなかったが・・・・。

 紛れもなくそんなどうしようもない私を支えてくれていたのは兄だった。
 
 しかし
最後まで兄の思いを汲み取ることなんて出来やしなかった。

償っても償っても償いきれないと思う。


私はずっと兄の思いを拒み続けたのだから—————。


 忘れられない恋がある。それは線香花火のように儚く、一瞬で燃え尽きてしまうものだった。
私の中でとても大切なもので、切っても切れない縁のようなものだ。
鋭利な刃物でズタズタに切り裂いて、跡形もなくなってしまっても私の中で存在し続けるだろう。

青春とは程遠い物だけど、それは貴重なものだった。
高校時代で唯一誇れるものであるのだから。

 といっても誰かに話して、自慢できるようなことではないが・・・。
いやとても最悪な恋ではあるけれど、私にとっては最高だったのだ。

世間の一般的な意見では恐らく、厳しい目が向けられるだろう。
もし仮にそれが芸能人とかならば非難の嵐で、軽々しく外に滅多なことが無い限り出歩けないだろう。
イメージも物凄く悪くなるだろうし、好感度もただ下がりだろう。
清純派を売りにしている人なら特に大打撃になるだろう。

『不死身』

『不死身』 いずみまいか 作

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-01-12
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