そして少年は。

少し過激な表現があります。
苦手な方はご注意ください。

「『めいよあるし』なんだよ!」

少年は屈託なく笑う

その先に待つものを知らない

「死」というものを知らない

純真無垢な少年

3日後には爆弾を抱いて

敵地におもむく少年



■ ■ ■ ■



「あれね! しってるよ! 『りゅーせーぐん』っていうんだよ!」

少女は無邪気に夜空を仰ぐ

黒いキャンバスに射した光の筋を指さして

今夜隣町を廃墟に変えたミサイルをさして

     願う。

「あくまをねだやしに!」

「あくまをねだやしに!」

「あくまをねだやしに!」

少女は酒を飲んでばかりの大人達に された。



■ ■ ■ ■



   3

   2

   1


わらって、少年は飛び込んだ。

肉の塊になった。

裂けた。

避けられた。

ばらばらに、なった。

少年、だったもの。

腸   左足  眼球    右腕

  肋骨     右足

左腕    あたま。

熟れて、落ちて、無残に潰れた、果実。

みたいだった。

(だけどまだぜんぜん熟れていなかったね)

僕は僕を保つので精一杯で

それを、そう、

置き換えた。

(くだもの!)

そうしなきゃ  壊れてしまう!!!



■ ■ ■ ■



つぎのひ、まただれかが んだ。

つぎのひ、まただれかが んだ。

つぎのひ、まただれかが んだ。

つぎは、だれだ。



特攻する年齢は上げられていく



6歳。

いなくなった。

7歳。

いなくなった。

8歳。

………。

………。

………。

17歳。

昨日、いなくなった。

18歳。

じゅうはっさい。

ジュウハッサイ。





      
 ────おまえ(ぼく)だ。




ああ! 神よ! 僕が何をした!

僕は何もしていません!

まだ何も成し得てません!

どうして若い芽を摘むのですか!

彼らに天罰をお与えにならないのですか!



──神が死んだ世界の腐食は進んでいく──


僕の身体に巻き付けられた。

   くろいかたまり

僕は、内も外も、くろいかたまり。


いやだ。 にたくない。いやだ。
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ




    たす、け、て、




     
そして、少年(ぼく)は。

そして少年は。

現実はこうならないでほしいです。

そして少年は。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-01-08

Copyrighted
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