傷物

私たちは裁かれている。
初めから、生まれた時から。
一生に渡って続いていく生活は死のリハーサル。
永遠に苦しみ続ける間、私たちは強くなれない。
悟れない。
目が見えない。
暗闇のなかを手探りで歩いていくとき、隠喩構造のヴェールに包まれた剥き出しの女性器が牙をむく。
それらのカオスは至る所で噴出し、私の内側からも溢れ出す。
そうして真の闇が訪れ、すべての隠喩構造が壊れる瞬間に、死はリハーサルではなく現実のものとなる。
私の欺瞞が暴かれる。

罪も罰もなく、ただ自己の生存戦略の論理的破綻があるだけだ。
因果応報、自分で描いたロジックの矛盾に裁かれるのだ。

目を背けた女性器に復讐される。

傷物

傷物

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-01-07

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