瀬と淵と

時の瀬に立って
歴史の風を額に受けて
命の流れに足を取られぬよう
歯を食いしばり想う

アレッポの子供と
日本の頬の赤い幼子の
どこが違ったというのだろう

(朝
妻の剥いた林檎をかじると
口一杯に愛の余韻)

戦禍や天災に苦しむ人と
満腹で温かい床につく人と

どこが違ったというのだ

ふと
誰かに背を押され
わたしは歴史の淵へ
落とされる

呆れるほど冷たく深い河で
敢えて踠かず
わたしは冷静を振り絞り
希望を思い出す

乳母車で笑う
林檎の頬の幼子を

瀬と淵と

瀬と淵と

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-30

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