凍結

君に抱かれて煩悩は易々と推移して
わざと鼻先を擦り合わせるのは
獣じみた行為に背骨が沸き立つから
冬の鋭利な夜には神経過敏性の互いを
絆し合いながら柔らかく麻痺していこうよ

平和の象徴は
リョコウバトの大虐殺を細胞に刻んで許さず
それに加えて人の人による大虐殺の際に
「私たちの翼に薄汚い願いを引っかけて」と
ご立腹な御様子ではございますが
僕の撒いたパン屑に集まる可笑しさは
そんな背景があっても変わりませんね

冬の公園は人が少なくてなんだか無意識に
他人を求めているような出所不明な寂しさと
設けられたベンチの鉄のアーチに腰掛けて
服越しに伝わる冷たさに身震いして
声を潰して僕らは息を漏らした

今日でさよならの今日に別れを告げる間も無く
明日は明日以降を連れて来きて
そのくせ只でさえ人の少ないこの街から
無意識に人が恋しい僕のいる街から
これ見よがしに皆を連れて行ってしまって

ただ寒いだけの冬の空から雪の粒が降ってきて
この世の道という道 ぜんぶ凍らせてくれ

明日に続く道 寂しいと感じる心までの道
sexの最中に一瞬通る獣道 国道479号線
故郷に帰る為の路線 夕焼けをのぞむ海一面

ぜんぶ凍らせてくれ そしてそれでもなお
結ばれているんだ、と思い知らせてくれ

凍結

凍結

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-28

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