春に埋めた想いを
夏に慈しみ秋に育てた
とうとう蕾をつけたけど
冬には枯れたその花に

名前は与えていただろうか
もうその名を口にする事はないけれど
あの頃きっと呼んでいただろう

芽吹くとは限らない
心ではそう知っていたのに
どうしてこうも切ないのか

果ても掛け値も打算もなしに
ひたすらに愛していた私の花
枯れて随分経つけれど
その日々を確かに覚えている

今はもう種を埋めもしないけど
今でも胸に宿る果実を
時折食んでは懐しむ

私の愛したその花を
懐かしく偲びながら
誰かが咲かすその花を
焦がれて眺めながら

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-27

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