milk and biscuit

冷たいミルクが流す涙は
コップを伝って底を打つ。
ビスケットは割れてからは
三日月の1つにも届かない。



子供のアメはもう消えていって
舌の上にも下にもいない。
溶けたチョコは最後には
人差し指を支配して



ハンバーグが上手く切れない
両手に戸惑う自分がいる。



フーセンガムは飛べてない。
どれだけ噛むかの繰り返しで
棒アイスが当たっても
交換しない夏が行く。



唇で挟んだビスケット
湿った箇所から落ちる前に



ホットケーキを待っている
猫が帰ってくるまでにも,
ココアの深さに目を凝らして
甘さの加減を知っていく。



水道水の寂しさを聞けば
コップの分が愛しくなって
固まった数の氷の分だけ
感じた指先が痛くて



パックの中の残りのミルク
取り出しては飲んでばかり。



オレンジジュースが飲めないのは
汗の流し方が複雑だからで,
マーマレードを舐めるのは
屁理屈に甘えてるから



冷たいミルクが流す涙は
コップを伝って底を打つ。



けれども
零れたミルクもミルクのまま
叱らないで欲しくて,



齧った三日月が
ビスケットに近付いて,
見て 少しだけ夢は叶った。

milk and biscuit

milk and biscuit

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-07-15

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