諦めと希望の辻

僕たち夫婦は中学の同級生で
共働きをしており結婚して6年目
もうすぐ40歳になんなんとしているけれど
子供がない

僕は毎朝6時に起きて身支度を整え
6時27分と30分と32分に
妻を起こす(まるで人間スヌーズのよう)

32分のとき、妻の寝起きが良ければ
額にキスをする

妻が先に出社するので
そのお見送り時には必ず髪を撫でる


かように睦まじくはあるものの
僕のお給料が安すぎて
妻は僕が転職するまで
不安なので子どもをつくりたくないと言う

そろそろ親族から諦観が滲み出し
畔道ができてきた

けれど僕は今の仕事が好きである

妻も言ってしまえば愛している

わたくしなんとなく楽天的な性格なもので
なんとかなるだろうと
根拠の無い自信で不安を掻き消し

目の前の日々の生活を懸命に
踏み固める


僕は
明日も妻を起こすだろう


諦めと希望の辻の真ん中で

諦めと希望の辻

諦めと希望の辻

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-22

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