勤労感謝

ありがとう

不老不死って、素晴らしいと思わないかい?
現代人は「永遠の命は不必要」なんて言いたがるけど、俺は必要だと思う。
だから俺は不老不死になれる薬を作った。案外誰でも作れるもんだよ、あれ。



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まずは俺の憧れのM子に飲ませた。飲み物の中にちょびっといれといたんだ。
大丈夫、少量でも効く。
大丈夫、M子も不老不死を望んでるはず。

これであの子は永遠に俺の憧れた姿であり続けるだろう。


次は俺の飼ってる犬のアルゴンに飲ませた(餌に染み込ませておいたから、食わせた、の方が正しいかもしれない)。
だって、俺にとって大切な存在が死んでしまうのはとても悲しいから。だから永遠に生きてくれ。老けないようにしてやったのは、まあなんだ、サービスってやつかな。
あぁ死んだ俺の母ちゃんにも飲ませてやりたかったなぁ…。


中でも一番この薬を飲んでほしかったのは父ちゃんだ。だから飲ませた。なにせ、父ちゃんはよく働いてくれる。母ちゃんが死んでからというもの、家事も仕事もアルゴンの面倒も、そして俺の面倒もみてくれる。俺は父ちゃんのお蔭で生きてられるようなものだ。だから死なれては困る。老けて退職されても困る。
俺のために働いてくれてありがとう。これからもよろしく。



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え?俺? 俺は飲まないよ、あんなもの。
不老不死になるなんてごめんだ。だって永遠に生き続けることより怖いことなんてこの世にないだろう。
あぁ、そうだな、訂正しよう。いや、訂正する必要はないのか?
俺は永遠の命は必要だと言っただけで、自分が不老不死になるとは言ってないからな。

俺が死んだ後のことなんて知らないよ。
父ちゃんとM子で仲良くアルゴンの世話でもしてればいいんじゃないかなァ。

勤労感謝

今日は勤労感謝の日。祝日であることに感謝。

勤労感謝

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-11-23

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