習作 7

小学生の幼稚な火遊びのお話です。

いじめっ子

小学5年に上がった頃から、時々帰りがけに6年生の女子2人が僕にちょっかいを出してくるようになった。

片方の顔形はもうすっかり忘れてしまった。
もう1人のほうはしっかり覚えている。とても強烈な体験をしたからだ。
名前は忘れてしまったから、彼女をAと呼ぶことにしよう。

Aは色黒で、キツネのような目をしている、お世辞にも美人とは言えない女だった。
ただ、Aは小学5年の子供から見るととても大人びていた。もっと直截的に言おう。発育が良かった。
子供心にはこう思った。
胸がでかい。

二人は、あからさまに僕の顔を覗き込んでキャハキャハ言いながら小走りに離れていく。
子供心に傷ついたが、そんな感情とは関係なく、彼女の胸だけが頭から離れなかった。まるで、彼女と彼女の胸とは別の人格をもっているかのようだった。

夏の暑い日。また2人が走ってきた。
「ねえ、お前彼女いるの?」Aがあけすけに聞く。
「こいつに彼女いるわけないじゃん。」もう一人が馬鹿にしたようにいう。
「じゃあキスしたことないんだ。」
何も言い返せない。恥ずかしくなって、目を下に落とす。
「小5でキスしたことないとか、キモいね。」Aが言う。
「キモい。キモい。」もう一人が煽る。

ふと顔をあげると、Aが着ていた汗ばんだ体操着から、Aの青地のブラジャーが透けて見えた。
僕の目はAのブラジャーに釘付けになった。
「ねえ、じろじろ見ないでよ。キモいから。」
Aの顔には優越感に多少の羞恥心が入り混じったような、そんな表情で言った。

「ねえ、こいつキモいから逃げよ!」Aがもう一人に声を掛ける。
二人はケラケラ笑いながら走って行った。

言葉遊び

次の日、Aは珍しく一人で声を掛けに来た。

「ねえ、彼女できた?」
「一日でできるわけないじゃん。」
「じゃあまだキスしたことないんだ。」
「ないよ。」
子供じみた会話だったが、実際まともにAと話したのはこの時が初めてだった。

「あたしキスしたことあるよ。」
「へー。」
「中学生の彼がいるんだ。」
「そうなんだ。」
「こないだディープキスした。」
「なにそれ?」
「ベロとベロを突っ込み合うキス。」

35度のカンカン照りの公園で、二人とも汗を流しながら言葉遊びを続けた。
この暑さと小学生にとっては刺激的なトピックの会話に、その場は一種異様な雰囲気を持ち始めた。

しばらく無言が続いた。
「ねえ、昨日お前あたしの胸じっとみてたでしょ。」
気づかれてたんだ・・・万引きをとがめられた子供のような気持ちになった。
「キモい。」
追い打ちをかけてきた。
当時の僕は、女にとって女として見られること自体ある種の快感であることを知りようもなかった。

「ねえ、勃起してたんでしょ?」
「してないよ。」
Aは僕のことを鼻で笑うような目つきで、いった。
「今は?」
「してない。」

Aはジーンズの上から僕のペニスを掴んだ。
当然、勃起していた。
「嘘つき。」

初めて女に手で触られた感覚に、僕のペニスはさらに固くなった。
「ねえ、もうさっさと家に帰ってオナニーして射精すれば?」
「うん。」
僕は、Aの異常な指示に、なぜか素直にうなずいてしまった。
Aの仕掛けてきた火遊びに、不思議に何の抵抗感もなく、乗っかってしまったのだった。

「明日放課後に、6年3組の教室に来て。」
「分かった。」
「じゃあね。」
「またね。」

彼女はいつものように走って行った。

習作 7

続きます。

習作 7

小学生の幼稚な火遊びのお話です。

  • 小説
  • 掌編
  • 成人向け
更新日
登録日
2016-11-09

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  1. いじめっ子
  2. 言葉遊び