異世界で最強になった件について。

アドバイスなどたくさんください

異世界に召喚された件について。

「……どこだ、ここは」
俺は愕然としていた。

周囲は見慣れない木で覆われていて少し蒸し暑い。そして、そばの木についているのは虫か?そんなの見たことがない。その虫はくもに蝶の羽のようなものがついている。正直気持ち悪い。
てか、何この生き物?いや、これを生き物と呼ぶのだろうか?
というかここは日本じゃないよな。
とりあえずこの気持ち悪い虫から離れよう。
すっと立ちリュックの中身を確認する。
俺は現状の重さを改めて理解した。まず、食べ物がない。次に水分がない。リュックに何が入ってるって?決まってるじゃないか、勉強道具ですよ。
そして俺ははにかみ次の瞬間遠くにリュックを投げ捨てた。

「おりゃーー!ただ、重いだけじゃん」

時は数分前に戻る。

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葉が紅く咲き始めた。頬にあたる冷風がそっと、季節のうつろいを感じさせる。

「もうこんな季節か」

ため息混じりにつぶやいた。時計に目をやると午後4時20分ほどだ。少し喉乾いたな。コンビニでなんか買うか。

俺の名前は那桐樹。そこらへんにいる普通の高校三年生だ。勉強スポーツ共に平均より少し上ぐらいで容姿うん。俺は普通だ。そして、今は塾から自転車をこいで家に帰っている途中だ。

樹はコンビニの傍に自転車をとめた。

ドアの近くに立つと勝手にドアが開いた。それと同時に、店員の声が聞こえた。

「いらっしゃいませ」

俺は店員となるべく顔を合わせないように顔を下に向け早足で品物棚に行く。
俺は人と顔を合わせたり、話したりするのは得意ではない、でもそれを短所だとも思っていない。まず第一、人と話しても楽しくない。正確に言うと別につまらないわけではない。人というのは自分の趣味や好きなことの話をしているときを盛り上がるだろう。だが、俺の周りにいる高校生はその、ヲタと言う。生命体がいないので、自分の趣味について喋ることはない。よって、俺は高校生活を謳歌できないでいるのである。

「はぁー……」
ため息まじりに目の前にあるコーラとファンタに手を伸ばす。
うーん。どっちがいいかな。正直どっちも好きなんだが、次週発売されるラノベがあるためからお金はなるべく使いたくない。フラフラしながら考えてた。結果いい方法を思いついた。俺は笑いながらジャケットの内ポケットにある財布からスイカを取り出そうとしすると、後ろから視線を感じた。俺はこういう事を読みとることには長けているらしい。何者だ!と言わんばかりな表情をし振り返ると、店員さんが俺の事を凝視していた。
当然だ。顔を伏せて、早歩きをし挙動不審な態度。多分俺は、万引きしそうな人として警戒されているだろう。異様な光景に周りのひとはひそひそと俺の方を見ている。
なんかーこの空気やばくね?
そこで考えた。普通の万引き犯には店の中の店員ほぼ全員が監視するはずがない。周りを観察しろ、後ろの売り場に一人、レジの方に二人、レジの中に二人。
ん?何あれ。俺は店員が持っているものに注目した。携帯電話だ。
え?
それどうするつもりなんですか?答えはすぐ出た。
俺強盗殺人犯だと思われてる?

思返せば不自然な行動がたくさんあった。まずレジの前を早足で過ぎさった。これだけなら、人見知りな人だなで終わる。そして二つ目、ジュースを選ぶときの動き、今思えばふらふらしすぎだな。そして多分これがやばかったのだろう。笑いながら内ポケットから何かを取り出す。
普通に考えたら、ただの不審者だ。
どうしようか、このまま立ってるだけでも状況が変わらない。かといって動いても何をされるかわからない。
「はぁー……」
今日二回目の深いため息をつき、深呼吸。コンビニの空気がピリピリとしはじめた。
次瞬間俺はこう言った。
「あの、すいません。これを買いたいんですが?スイカで買えますかね?」
何言ってんだろ俺。でもこれくらいし言うことないし、それより恥ずかしいんですけど。周りの人は呆気にとられ、ちらちらとお互いの顔を見ている。
すると、店長らしき人が忍び足で近寄ってくる。
「お品物をお預かりします」
店長は見てわかるほど緊張していてワイシャツは汗でびっしょり。そして髪のない頭上は大粒の汗が吹き出しており、それが照明に照らされて、眩しさを感じるほどだ。店長は品物を受け取ると、背後を見せないようにしたいのか。商品棚に背中を向けながらサイドステップを踏んでレジまで行く。
それ、笑わせに来てるだろ。
そして、吹き出してしまった。
「プッ……」
静かな店内に響き渡る笑い声。誰もが思う、このタイミングで笑うのかと。
終わったわ、詰んだ。


× × × × ×


「はぁー……」
今日はついてない。本当についてない。俺はあの後警察に連絡されそうになり、ジャンバーリュック怪しそうなものを地面に置き店員に見せ、誤解は解けた。
コンビニにジュースを買うために寄ったのに、三十分もかかるなんて、ただでさえ大学受験で時間が足りないというのに。

プシュッ。コーラを開け。一気に半分近くまで飲む。
うん。うまい。

自転車に乗り、家に帰る近道のマンションの路地裏を通っていると、聞き慣れた声がした。

「樹。こっちに来て」

それはお母さんの声だった。
ん?お母さん?なんでこんなところにお母さんがいるんだ。仕事にから帰ってくるのは午後7時
今は五時。明らかにおかしい。変なことには関わりたくない。多分これは新しい誘拐の手段なのだろう。そう納得しペダルを漕ぎ始めようとした時また声がした。

「樹。早くきてよ。買い物の荷物を持つの手伝ってよ」

なんだなんだ?どう聞いてもお母さん。これでお母さんがいたら可哀想だし、もし誘拐犯だった場合でも自転車があれば逃げられるだろう。
俺は浅はかな考えのまま声の方向へと漕ぎ進める。
「母さん。いないの?おーい」

返事が返ってこない。怪しいな。わかっていたけどさすがにこれ以上いったらやばい。引き返そうと自転車の車輪を傾けたその時光に包まれた。


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まず水分を確保しなければな。

俺は一度ブラジルに行ったことがあるのだが、その時もこんな感じで蒸し暑かったと感じた覚えがあった。ひょっとするとここは赤道直下の国々ではないのかということがわかる。
自分の頭の中で口論しながら歩いていると川を見つけた。石のひとつひとつが透けてみえるほど澄んでいる。だが、水深は見てわかる程度では二メートルぐらいはあるだろう。そして何より苔などいろいろな水辺の植物が太陽に反射してそれは神秘的で、思わず息を呑んだ。この世にあっていいのかと言わせたいのかと思うほど神秘的で、つい息を漏らしてしまう。

「なんだこれは、世界地図に載ってない赤道直下の島なのか?」

俺は大体の国や島の位置を覚えているが、こんな赤道直下を思わせる蒸し暑さと神秘的な川がある。島なんて聞いたことがない。
そうだ、俺には携帯(スマホ)があるではないか。早速ネットへGO!と、張りきってネットに繋ごうとしたものの、遭難した時のお決まり、圏外だ。

さっきジュースを飲んだばかりだが異常に喉が乾く、コーラに砂糖がたくさん入ってるから飲みたくなるやつとは違う。なんだろうこの感じは川により水を掬う。掬い上げた水を見ながら本当に綺麗だなと感嘆し飲む。
ポチャポチャ
と、音がしてきた。雨か?
俺は顔の前に手を出し雨が降ってないことを確認する。

雨は降ってないけどな。そしたらこの音はなんだろう。音が強くなってるし。一瞬ベトリとした感触を背筋に感じた。まるで舐められたみたい。いや、舐められたのだ。
恐る恐る振り返る。

目の前には液体状の物体がいた。正確には生きているのだろう。だが、それを俺は信じたくなかったのだ。それは俗に言う。スライムだった。高さは二mほど身長百七十六cmほどの俺をゆうに越している。

「え?」
俺は美味しくないよ。全然美味しくないから。こっちに来ないでと、心の中で念じたが、やはり効果はないようだ

ポチャポチャと音を鳴らしながらこちらに近づいてくる。

ポチャポチャという音は動いている時の音だったんだな、と俺は納得していた。数秒後、俺はその場から逃走した。
「……」
やばいだろ。あれ、最初に見た虫もキモかったけどスライムらしき生物もキモかった。ここはどうなってるんだ。
多分あの場所からは結構離れているからスライムがた生物は追ってこないだろう。さっきのことで確信した。ここはどこかおかしい。なんなんだここは。誰か教えてくれよ。もうパニックだ。この経験を学校で話しても頭大丈夫とか聞かれるやつだよこれ。そんな屁理屈をこねていると。
ぐぅーと、音がなる。腹の音だ。さっき水を飲んだけど走ったせいでカラカラだ。そして腹も減った。あたりを見回すと、この場所ならではのミリットが見えてきた。それは木々が馬鹿みたいにおいしげってるためその中に食べられる木の実がなっている可能性があることだ。
そしてさらなる幸運が訪れた。そこに木の実がなっていた。今日はついてないと思ったけど、撤回だ。
意外に低い位置になっている木の実だったのでジャンプして取る。
「よいしょっと」
プチっという効果音とともに二つの木の実をもぎ取る。

俺は以前見たサバイバル番組の毒があるか確認する方法を試した。まず、果物を切りその果汁を皮膚につけた。数分経っても腫れが来なかった。次に、舌で舐め口に含んでも問題ないか確認した。こちらも異常が見られなかったので、その果物をご飯にした。味はリンゴとバナナの中間のような味だった。

「もうすぐ日が落ちそうだな。冬場は陽が落ちるのが早いからなー。ってもう落ちたよ!」
夕日が出て三十秒あたりは暗闇に包まれた。
何ここ異常だろ。夕日が出てきた三十秒はおかしいよ。
周囲を見渡すが、何も見えない。予想以上だ。夜中でも目を凝らせば動けると思っていたのに。行動は諦めその場で野宿することにした。
変なのが出て来るかもしれないから寝たくはな行けども、寝ないと体が保たない。
特に敷くものもなくので地面に座り木に寄りかかって寝た。

寝てから何時間経っただろうか。周りが妙に騒がしい。目を開けるが辺りには何も見えない。耳を澄ますと遠吠えが聞こえた。

「ワォーン。ワォーン」

俺は瞬時に危機を感じた。おそらくオオカミか何かの群れで行動する肉食動物だろう。決してすぐに襲われる距離ではないが、大きな音を立てれば気づかれてしまうだろう。すぐに移動する準備を済ましその場から逃げようとした。

「ボトン」

静かな森に物を落とした。
それの後を追うように肉食動物の遠吠えが聞こえた。俺は荷物に見向きもせずに疾走した。最近運動してないせいか、少し走っただけなのに足が重い。

「ガサガサ」

近くで気配がする。逃げる途中見えたのは、肉食動物の群れだっ
た。もう追いつかれた。樹は死にもの狂いで走った。胸が苦しい。喉も、脚も…痛い。さっきからずっと走っていたからだろうか、口の中から鉄の味がしている。もう何も考えられなくなってきた。頭が真っ白、ってやつだ。ついに木の根に足が引っかかり倒れた。それでも、樹は諦めなかった。手に力を入れて土を掴む。

間合いまで奴等が来て、豪快に俺の肉を喰らう。

いたいいたいたいたいいたいいたいたい。樹の頭にはその言葉しか浮かんでこなかった。頭は回らなかったのではなく、単に、純粋に痛かった。想像を絶する痛さだ。この痛さは表現できない。ブチブチ、自分の肉が千切られる音が聞こえ、地面には自分の血が染みて広がる。出血多量で死ぬ前は、自分の血が冷たく感じるらしい。そして、今がそれかもしれない。食いちぎられた肉の部分があつく熱を放った。かと思えば、今はひどく冷たい氷水をかけられたようだ。寒い。全身が寒い。視界がぼやけ、意識が薄れていく中で樹は思った。

『まだ死ねない。いや、死にたくないよ。』

力の入らない中、それでも最後のあがきをしようとしたのか、樹の拳は強く強く握られていた。

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ぼんやり柔らかい光が見える。目が覚めたようだ。何やら見知らぬ部屋にいて、俺は畳らしき場所に座っていた。
白を基調とするその部屋はだいたい5畳ほどだろうか。瞬きをする間、目の前には会ったこともない女性が座っていた。

異世界で最強になった件について。

異世界で最強になった件について。

人を虜にする小説を目指しています。 月乃ゑ浩二 ある日主人公 那桐 樹(なとういつき)はいつものように塾から家に帰っていた。聞き慣れた声が聞こえて路地裏に入り、気づいたらそこは異世界だった。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青年向け
更新日
登録日
2016-11-07

Copyrighted
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