はじまらない毎日

えみりは同じ会社の恋人と別れてからもう1年も恋人がいない。こんなにも恋人がいない期間をえみりが過ごすのははじめてだった。
えみりは都内の有名大学を卒業してから、ずっと今の会社で働いている。美人でもないが割と愛嬌のあるタイプで社内でも評判のよい若手だ。最近ではずっと異動したかった部署に異動になりがんばりが認められているのかと思うこともある。しかし、えみりは満たされないのだ。

彼との別れは突然だった。
職場の人間と付き合いを持つことに対して警戒の強いえみりはひどく彼との関係を進めるのがこわかった。しかし、そんなえみりに屈託のない素直な気持ちを伝えてくれる彼のことがいつの間にか好きになっていた。毎日作り笑いばかりしなければならいけないかという憂鬱な思いを抱きながら通う通勤路も彼の恋人が自分だと思うだけで、別の世界に招きいれられた気分だった。えみりはこんな毎日が続けばいいと思っていえみりの人生はそんなに簡単ではない。

3回目のデートがキャンセルになった。これはしょうがないことだった。仕事が理由だ。もう、子供ではないのでそんなことに腹をたてたりしない。気にもしていなかった。次の月曜日、彼の部署が解散になる話を聞いてしまった。デートのキャンセルの理由はこれだ。でも、自分には関係のないことだ。詮索してはいけない。これが、大人な対応だとわかっていた。彼から連絡が来ない。当然だ。分かっていいる。責めてはいけない。落ち着いて彼を信じるのだ。すると彼から連絡が来た。
「この前はゴメン。仕事でいろいろあって。
今は疲れていて。誰とも会いたくないんだ。」
分かっている。しかし、男ってなんでこんなに繊細なのだろう。誰だってそんな時はある。人に会わないってのはどうなの?えみりは、大会系精神の持ち主で弱気な男にはついつい厳しなってしまうのだ。
「連絡してくれてありがとう。分かった( ˙ᴗ˙ )無理しないでね!落ち着いたら遊びにいこうね」
100点の答えだろう。

  • 小説
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  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-23

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