ありえないスイッチ

ありえないスイッチ

お喋り口調、というよりツイッター口調でやったれえええって勢いで遊んだ記憶。
実験を兼ねた遊び、遊びを兼ねた創作です。先に言い訳しとく! 内容はありきたりです☜

 ここに、ありえないことを実現してくれるという有り難いスイッチがある。
 三度押すことができ、その都度ひとつずつ、全部で3個の願いを叶えてくれるという。
 何故、僕がこんなものを手にしているのか。それは企業秘密というやつだ。
「ふむ……」
 この略して“ありえないスイッチ”は、クイズ番組などでよく使われる、手のひらサイズのドーム型のアレだ。きっとこれを押せば、チャイムのような音が鳴り、カラフルな照明が僕の顔面を照らすのだろう。その時、何が起きるのか。物は試しとはこのことさ。

 勢いよく腕を振りかぶってスイッチを押す。予想通りピコーンと阿呆らしい音が鳴り、ボタンの内部でレインボーの光がくるくると回転する。そんな中、僕は部屋中に響き渡る声で叫んだ。
「可愛い彼女が欲しい! 超年下の可愛いロリっ娘を所望する!」
 何を隠そう。僕はバリバリのヒキヲタである。第一の願いなんて、コイツに決まっているじゃないか。

 すると、漫画か何かのように、宙から美少女がふわりと降ってきて、僕の両手にすっぽりと包まれ、お姫様抱っこの体勢になった。ツインテールに紺地に赤いスカーフのセーラー服を着た美少女は、目を瞑って、気を失っているようだった。スカートの丈といい、ハイソックスの色使いといい―― 流石だ、このスイッチ。僕の好みを熟知している!

 おっと、強烈な衝撃のあまり、冷静になりすぎてしまった。ここは本来、男らしく介抱する場面じゃないか。だが、彼女いない歴イコール年齢の僕にそんな余裕は無かった。美少女を胡座をかいた脚の上に放置し、非常にバランスの悪い状態で放置したまま、次の願いを叫ぶ。
「カネが欲しい! えーと、具体的には百万円以上は欲しい!」
 すると、宙から一万円札がふわりふわりと恵みの雨の如く降り注ぎ、ラグマットの上が諭吉さんでいっぱいになった。これは、これは、これは……!

 興奮冷めやらぬ中、先程の美少女が目を覚ましたようだった。身動ぎし始めたかと思うと、胡座をかいた僕の脚の上にチョコンと脚を揃えて座り、僕と目線の高さを合わせ、瞳をじっと凝視している。
「ずっと会いたかったの」
「はい?」
「あなたに、ずっと会いたかったのぉ!」
 美少女が僕の首元に抱き着く。うひゃあ。
「あのね、キスして欲しいの」
 僕好みの制服を着た美少女が頬を赤く染め、とろんとした瞳で僕を見つめる。

 なんだ、これは!
 薄い本にありがちな展開か!

 僕は僕なりに頑張り、唇をとんがらせ、美少女と接吻を交わした。これが僕の記念すべきファースト・キッスである。嗚呼、柔らかい。女の子って柔らかい。ゆっくりと顔を離すと、美少女が物足りなそうな表情で「もっと! もっといっぱいして欲しいの!」と、さらに何かをねだっている。

 待て。僕は童貞だ。何をどうすればいいのか具体的に教えてくれ。

「えーっと」
「早くぅ」
「うーんと」
「ねぇっ」
「ごめんよぉ……」

 段々、不機嫌になってゆく美少女。桜色の頬を膨らませる表情は可愛らしいのだが、如何せん、面倒くさい。女の子ってこんなに面倒くさいものなのか。ギャルゲーでもやっていた方がよっぽど楽しいではないか。
 
 とにかく知らないものは知らないのだ! そもそもお前はヒトなのか! 第一、このボタンは一体どこで手に入れたんだ! 自分のことなのに訳がわからない! もうシラネ!

 部屋中に散らばった一万円札にすら苛立った僕は、今やゴミ屑にしか見えない万札たちを汚れた靴下でなぎ払い、例のボタンをそのまま足で押し、大声で叫んだ。

「頼む! 全部無かったことにしてくれ!」 

ありえないスイッチ

これな… 童貞とか書いてる上、くっそしょうもなくて、ありがちなオチではあるんやけどな…
なんでかしらんけど、賞金貰えるコンテストで選考ギリギリまで残ったん。゚(゚∩´﹏`∩゚)゚。

ありえないスイッチ

もしもあなたの願いが3つ叶うなら、何を頼みますか?

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-19

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