Grief for Julia

時間の止まった ローマの街で
僕は彼女と恋に落ちた
地中海の碧より 深い深い瞳に
僕はすっと吸い込まれてしまったのさ

彼女は偉大な 父に育てられて
それはそれは利口な少女だった
可憐さの中に見え隠れする その狡猾さに
僕はいとも簡単に魅了されてしまったね

なのに
Oh my Julia 聞いてくれ
黄昏のイェスタデイ
Oh my Julia 聞いてくれ
夕焼けに染まるその横顔よ

彼女に悪い 噂が立ったのは
暑さも消えた秋の始まり
「積荷で一杯になるまでは
次の乗客は乗せませんから。」
罪を疑われた彼女は こう答えたという

もちろん僕は 不満で一杯だったが
凛としてそう答えた彼女に
またも惚れ直してしまったんだ
心の奥まで見通す碧の瞳に

けれども彼女は 偉大なる王の娘
決して許されることは無かった
つむじ風に吹かれて 肌寒いあの夜に
森の深緑とともに消えてしまったね

だから
Oh my Julia 聞いてくれ
黄昏のイェスタデイ
Oh my Julia……Oh my Julia!
夕焼けに染まる横顔に

行く宛のない この歌を

Grief for Julia

Grief for Julia

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-13

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