素直になってもいいですか

君が好き、でも……

退屈な午後の授業。高校2年生の有坂まことの視線は左斜め前の席に座る、椎名あやかに注がれていた。他の生徒のほとんどが寝ている様な中で真面目にノートをとっている。肩にかかるくらいの黒髪と長いまつ毛。あやかはクラスでも1.2を争うような美少女だった。ふと振り返ったあやかの目とまことの目が合う。驚いたまことは目をそらそうとした。
ーーー変な奴だと思われる。
しかし、まことの予想を裏切り、あやかはにっこり微笑んで、再び前を向きノートを取り始めた。
ーーーあぁやっぱり素敵な人だ。
まことはあやかのことが好きだった。

恋に落ちたきっかけは些細なことで、あやかが普通にまことに話しかけて来たからだった。
普通。それがまことには嬉しかった。高校に入ってから、あることがきっかけで友達はおろか、話しかけてくる人さえほとんどいないような状態だった。そんななか、普通に話しかけてくれる存在。それがあやかだった。その話の内容もただの連絡事項なんかじゃない、クラス会にまことも参加しないか?というようなお誘いだった。
その誘いは断ってしまったが、その後もあやかは何かとまことに話しかけてくれた。あやかに対してまことの心がゆっくりと開いていくのも仕方のないことだった。そして、そのまま恋に落ちてしまうことも……。
ある夜、まことはあやかに告白しようと決心した。嫌われるかもしてない、でももしかしたら……、その少しの可能性に賭けたくなったのだ。それくらいにまことの恋心は大きく膨れ上がっていた。

翌日の放課後、まことは勇気を振り絞ってあやかを呼び出した。
「どうしたの? 有坂さん」
「あの、ボク……っ!」

***

やっぱりダメだった。あやかの答えはまことの想像していたもの、そのものだった。

「ごめんね、有坂さん。私、‘‘女の子”とは付き合えない」

その時、あやかがどんな顔をしていたのかは見ていなかった。見ていなくてよかったと思う。見ていたら、いまはもっと惨めな気持ちになっていただろう。
帰り道、夕日が綺麗な土手を歩きながら、まことはつぶやいた。
「バカみたいだ。なんでボクはいつもこうなんだろう……。わかっていたはずなのに……」

あぁ、君に出会わなければボクは幸せだったのかな。

素直になってもいいですか

素直になってもいいですか

どうしても好きな人がいる。あなたなら告白しますか?しませんか?

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-06

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