「お兄ちゃん、私のプリン食べたでしょ」
高校から家に帰るやいなや、ヒロキは妹に詰め寄られた。
どうやら冷蔵庫にあった妹のプリンが何者かに食べられたらしい。

「絶対お兄ちゃんだ!ほら、逃げないで!話は終わってないんだから」
自分の部屋に逃げようとするヒロキに対し、妹はまだしつこく迫る。
「罰として、お兄ちゃんは私の言うことを何でも聞くこと!いい?」
何か反応をしないと解放してくれなさそうだったため、ヒロキはしぶしぶその申し出を受け入れた。
プリンなんか食べてないのになあと弁解したくはなったが、模試で疲れていたヒロキにはその時間さえ面倒くさく感じられた。

やっと妹から解放されたヒロキは自分の部屋に向い扉を開けた。
するとヒロキの目にはがらんとした部屋が飛び込んできた。

「俺の漫画とフィギュア、どこにやった?」
つぶやくヒロキに対し妹は言った。
「お小遣いが足りなくてね…今日全部売っちゃった。でも許して、ね?さっきの約束通り、何でも言うこと聞いてくれるんでしょ?」

ヒロキは妹の策略にようやく気づいた。

お題:「くだらない演技」 時間:15分

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-06

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