限界点

雨の日も風の日も。
来る日も来る日も。

彼は支え続けて来た…

戦いに敗れたあの日からずっと。

もうどれくらいの時が流れたのだろう。
この罰に終わりは無いのか…

ずっしりとした重い罪が彼を常に苛んでいた。

休むことは許されない。

この罰はいつまで続くのだろう…


ある時彼は気付いた。

彼を罪人にした「彼」が居なくなったことに。

でも本当に居ないのだろうか…

どこからか、自分を見張っているのでは無いのだろうか…

その考えが彼の忍耐力を奪い始めた。今まで耐えてきた罰のなんと過酷で苦しかったことか…

それから幾日か経った時。

彼はもう自分がこの罰を耐える力を失なったのを知った。

こうなったらもうどうなってもいい。

「もう、うんざりだ!!」

そう叫んで彼は肩に担いでいた球体を、じわりじわりと肩から下ろし、そして、添えていた手を放した…

球体は暗闇の中に吸い込まれて行った。

※

彼の名はアトラス。
ゼウスと戦ったティターン族である。


ゼウスとの戦いに敗れた後、地球という天体を肩で支える罰を与えられていたのだった。

※

「司令部に繋いでくれ」

太陽系の観測をしていた艦隊の乗組員が、モニターに告げた。

「定時連絡か?」

モニターの向こうで司令部の係員が尋ねた。

「ああ、変化が起きた、太陽系の惑星のひとつがブラックホールに吸い込まれたんだ」

「…詳細を述べよ」


こうして20XX年、地球は消滅したのである。

限界点

限界点

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-09-18

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND