かつて目映かったもの

   いつまでもこうして座っていたい

   砂時計を見つめながらこの詩を綴っている

   砂がすべて落ちきったとしても

   この掌のなかの嘘は消えない


   絶望におんぶに抱っこでは敵わない

   サファイアの雫が頬を伝って

   大海にそそぐ 穢れをすすぐために

   絶望の海では夢も希望も叶わない


   まどろみの空白に吐息を投げ入れる

   死にたい

   胸のうちに住み着いてしまった怪物

   対峙の狭間に悪魔の囁き


   何度でも死にたい

   次に生まれ変わったらもし生まれ変われるとしたら

   あなたは本当のことだけを教えてください

   絶望の海でしか泳げないなら沈めばいい


   最後のところで信じきれなかった

   最期のところで愛しきれなかった

   いつまでもこうして座っていたい

   過ちを繰り返すのには飽き飽きしたから

かつて目映かったもの

かつて目映かったもの

絶望におんぶに抱っこでは敵わない。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2016-09-16

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