きっとわかってくれない


君はきっとわかってくれない。
この張り裂けそうな胸の痛みも、どうしようもできない無限にある不安も。
君はきっと他人事にしてすり抜けていくのだろう。
そして私はこうして取り残されていく。
君のいない世界に一人取り残されるのだ。
その世界は色がない。
人は皆静止し、生きていない。呼吸をしていない。
全てが「無」である世界に私は一人取り残されるのだ。
君は前みたいに
笑いながら手を差し伸べてくれるのだろうか。
きっと君はわかってくれない。
私がその世界に1人置いていかれるのを
あの優しい笑みで見つめるだけなのだ。


君はきっとわかってくれない。
いつかの安心なときの喜びも、ここに生きていてよかったと感じる嬉しさも。
君はきっとそれを感情とも思わずに遠ざけていくのだろう。
そして私は一人哀れになっていく。
君と対照的に惨めになっていくのだ。
その背景には人がいる。
私を惨めにさせた無数の動く人が、あざ笑っている。
全てが「敵」である孤独の中で私は一人哀れになっていくのだ。
君は前みたいに
真剣な眼差しで私を見つめてくれるだろうか。
きっと君はわかってくれない。
私がその孤独にぽつんと居続けるのを
怖さ混じりに眺めているだけなのだ。


それでもいつかまた
私の傍で陽気に歌を歌って
しくしくと悲しげに泣いて
怒鳴り声をあげて怒り狂い
そして優しく笑いかける君
そんな君を信じているから
きっと君はわかってくれないけれど
私はずっと、待っているから。


しかし現実は無謀だ。
君がどんどん私から遠ざかっていくのを
世間はまるで応援しているかのように。
残された私の手元には
一輪のコスモスしか残っていなかったのだ。

きっとわかってくれない

きっとわかってくれない

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-01-26

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