人生を記録に

俺の産まれたときからの人生を書いています。
高校生の時に書きためていたものを改変と引き続いて書いています。

なんちゃない内容です。
人の日常を垣間見たい人や、暇潰しなどで気軽にどうぞお読みください。

誕生から小学生卒業まで

時は昭和


難産で、帝王切開は避けられず
母親の腹をきり、子宮をズルッと出し、俺は生まれた。
母親は下半身麻酔にて手術したので、その光景を目撃し、ズルッとした感覚もあったそうだ。

術後、痛みに苦しみながら俺を育てたのだろう。

お腹にいる間は女の子と思っていたようで、ピンク色の肌着や、かわいいものを用意していたと聞く。

勿体無いからそれをそのまま使ってたとも聞いた。

そのせいかしらんが、かわいいものは昔から今も好き。
顔面はこわがられるぐらいのイカツイ顔してるけどな。

名前は【タケシ】
名前の由来は親父が車で走っているときにみかけたトラックの会社名から取ったらしい…。

トラックの荷台の扉にでかでかと書かれたロゴをみて

「あの武って字かっこえぇな!」

○◇武運送会社
だから武。

そんなやつおる?どんな親やねん。
すでにまともな大人では無いことは、ここで気づいてもらえたと思う。


でもまぁもう1つ理由がある。後付けっぽすぎるけどな。
武士みたいにって事で武。

俺には6つ年の離れた兄貴が居る。

兄貴が産まれて、一度離婚をし
もう一度再婚して俺ができたらしい。

兄貴とおかんと親父が面倒を観てくれ育っていった。


産んでくれた母親、俺らを完全にほって大家族をもった父親。
二人とも大キライだ。

自分も家族をもった今でさえ大キライだ。


【離婚】

俺がまだ幼稚園にもない、かなり幼い時のことだったと思う。

場面や視界に写っていたものは全て鮮明に覚えている。

ある夜の日だった。

俺が顔だけだして潜り込んでいるこたつの上にはビールの缶が散乱していて

母親と父親が口喧嘩していた。

どなりあっていて、俺は凄くこわかった。

テレビを見ていたが頭ではこわいこわいと考えていて、テレビどころではなかった。

母親はそんな俺を抱き上げ、別室にいる兄を呼び出し
ボロボロの軽四に3人で乗り込んで
夜の道路をただひたすらにやみくもに走った。

ある程度、時間をやり過ごした後

家にもどってきたが、父親はいなかった。

その時から、俺は父親と会うことはなかったし、アパートなどを転々としてた覚えがある。


【幼稚園】
俺は幼稚園に入った。
この頃から 【キッツン】と言うあだ名で呼ばれ続ける。
親子代々受け継がれているあだ名で、俺がみんなにキッツンて呼んでー!と言い回ってた。

対人恐怖症と言うかただの緊張しぃなのかもしれんが、よくお腹を壊していた。
いろんな薬使ってきたせいか…今もまだ腹をよく壊す。

おかんが言うに昔から女の子とよく遊ぶ少年やった。いじられキャラやったらしい。


たまに幼稚園サボろうとしたけど友達に見つかって失敗したのを覚えてる。


【小学生】

小学生になった俺は絵を描くのが大好きだった。
母親が姉のクリーニング屋で仕事させてもらってるとき
倉庫で待たされていて、絵ばっかりかいてた。
倉庫の壁に絵を貼り付けまくってたっけ。

当時爆発的に流行っていたドラゴンボールを転写しまくって、書き方覚えるの必死だった。

その絵をクラスの同級生にみられて

『すごーい!めっちゃ上手やなぁ!』

と言われて、いろいろと友達が増えていった。

時間は飛ぶが…

好きな女の子ができて、バレンタインデーもでっかい手作りチョコもらって
いい雰囲気やったのに、転校していっちゃうパターンが2回ぐらいあった……。

自分で言うのもなんだけど小学生の頃は結構モテてた。
チョコも沢山いただいたし、誕生日会も必ず呼ばれたし、女の子といっぱい遊んだ。


【阪神淡路大震災】

俺はいつもどうり寝てた。

夜中…すべてが静まり返ってた

突然

もの凄い音…もの凄い揺れ…

俺は目を覚ます。

地震だった。

周りの物は落ちて不快な音をたてる。


なんや!?なんや!?と思っていたら

突然、俺の目に映っている物が全て流れる。


おかんが俺を猫掴みし、もの凄い速さで家の廊下を走っていた。


そして、兄貴の部屋へ連れ込まれ、兄貴の寝てるベットに投げられた。


兄貴は爆睡しながら俺を布団と勘違いして抱きついてくる。

おいおいと思いながら時間は過ぎていった。


辺りが明るくなってきたとき

俺らは荒れた部屋の中、学校に行く準備をさせられた。


俺は駄々をこねたが

学校へ行った。

これはおかんが家でおるより安全な学校で俺らをおらすためと
実家や親戚の家へ安否の確認と散らかった部屋を掃除をしにいくたやったらしい。



【兄貴】

父親の所に引き取られたり、母親の所に引き取られたり。
あげくにいじめられてしまい。
みかねた母親に空手を習わされて黒帯までいった兄はグレてしまい、家にはほとんどいなかった。

その日、はじめて自分の単車を手にいれた兄が帰ってこなかった。

母親がすごく心配して、二人で暗い町内を探した。
お地蔵さんにお願いもした。

まぁ、ケロッと帰ってきたのだが。



別のある日、兄は暴走族の総長になっていた。
すっかり地元では有名になってしまっていて、あちらこちらで声をかけられて
お兄さんたちによく可愛がってもらっていた。

その日も、家のアパートの前にたまっていて、なぜか単車のタンクに座らせられて、加速を体感させらた。
怖がっている俺をみてみんなケラケラ笑ってた。

それの影響か、絶叫系と言われるものは30になった今も全て苦手。

遊園地なんか彼女と行ったら楽しめなくて若い頃は苦労した。


【普通の家庭に憧れた】

たぶん働きすぎだったとおもう。
シングルマザーの母親は、仕事詰めすぎで基本的に家にいなく、俺は鍵っ子だった。

学校から帰っても誰もいなく、昔に3人で造ったかき氷の残りのシロップを水道水で薄めてジュース擬きにして飲んだりしていた。


日に日におかんが壊れていくのを見てきた。
あんなに優しくて明るく、新聞配達だろうが水商売だろうが、朝から翌日の朝まで仕事をバリバリとこなすおかんは、人への頼りかたも解らず情緒不安定になっていき、挙げ句にリュウマチになり、車椅子生活になっていた。

横たわっている母親が、寒そうにしていると俺は毛布を隙間なく母親体に巻き付けてあげたりしていた。 



でも、ついにおかんが病気で入院した。

シングルマザーのうちには兄貴しかいなく、俺ら兄弟は母親の姉の家で面倒見てもらうことになった。
ラブマシーンのモー娘。と、すべてへの19が全盛期だったころなのを覚えてる。

兄貴とこの家の息子のマコトはグレてしまっていて基本的に家にいなかった。
二人で単車乗り回してた写真が残ってる。

俺は学校いって、病院いって、帰ってくるを毎日繰り返していた。

マコトの部屋で基本寝ていた俺は、マコトのエ隠してあるロ本を見つけて読んでいたところ娘のマミに見つかった事があった。
次の日からエロ本はなくなっていた。

お風呂入って、うんこ漏らしたり
こつこつとゲームボーイでメダロットしていたのに、学校から帰ってきたらセーブデータをおっちゃんに手違いで消されていたり。

マコトとサルゲッチュやテトリスをワーキャーいいながら楽しんだり。

家族皆で楽しくご飯食べたり。


一軒家、家族四人、犬二匹、車一代。
はたからみりゃ普通の家庭かもしらん。

でもな。俺からしたら羨ましかった。
生まれるのがこんな家だったらよかったのにな。



【カトウとの出会い。これが人生を左右し続ける】

いじめられたり、どつき合いの喧嘩したりは
一切無く
無事高学年になった俺。

こう徐々に周りも俺も女子、男子として完全に意識し始める。

だんじり祭りが近づいていた日

いつも、六時以降に家を抜け出し
青年団の練習を見に行ってた。
まぁ見に行くのは口実でツレ等と遊んでた。

岸和田にすみながらも祭りに興味がなかったからだ。

今日も遊びに向かった俺。
いつものようにだんじり小屋の前の駐車場で遊んでた俺たち。

たまたま目をやった場所で、泣いてる女の子がいた。
同じ学年の子だった。
タイプでも何でもなかったが、ほっておけなかった俺は話を聞く。
何の話を聞いたか覚えてないが、いつしか泣き顔が笑顔に変わってたのは覚えてる。

次の日

いつものように学校に行く俺。

休憩時間、昔から仲の良い女の子に呼び出される。
なんやろうと思いながらも階段付近で話す俺たち。

ウエモトから思いも寄らぬ発言が飛ぶ。

「スミトモがきっつんの事が好きなんやって」

スミトモとは昨日泣いていた女の子だ。

はぁ?と思った。

またまたウエモトが喋り出す。
「だから付き合って欲しいんやってさ。」

今考えれば不思議でしゃーないが

タイプでも無いのになぜか俺は付き合うことにした。

たまにスミトモとツレ等と遊んだり。そんな感じが続いていた。


月日が流れ。とある放課後。

俺は前から気になってた女の子【カトウ】とトイレの掃除をしていた。

なかなか仲の良い俺たち。
ますます好きと言う気持ちが おっきくなっていくが、俺はスミトモと付き合ってる。
なぜ付き合ったのか…
この時、初めて恋や恋愛に苦しめられた。
自業自得だが…。


しかもスミトモに言われる。
「カトウさんと喋らんとってほしい。」

スミトモはヤキモチを焼いてくれていた。


仕方ない

そう思った俺は、わざとカトウを避け続けた…。
話しかけられても、掃除が一緒でも…。
卒業間近…

めっきりスミトモとは遊ばんなった。
よく言う自然消滅ってやつだった。

カトウとも喋らんなったまんま、小学生生活が終わりに向かっていた。


卒業式


恒例の、舞台に1人ずつ立って目標などを言うのが あった。

緊張しいの俺はカミまくり、顔赤くしてたの覚えてる。

あれは恥ずかしかったな…。


こうして、初恋愛も小学生生活も終わっていった。


【番外 林間学校】


楽しみにしてた林間学校が

もうすぐそこまで迫っていた。


その当時、1番仲のよかった男友達が居た。
そいつと俺はお笑いが好きで

林間学校でそいつと漫才をすることになる。

林間学校までの短い期間にネタを考える。

五分のネタをするため、原稿用紙にビッシリネタを書いては消して……練習して…


そうこうしてる間に林間学校の日がきた。
林間学校で宿泊するとこについた俺ら。

カレー作ったりなんやかんやしてた。

風呂はドキドキした。

昔から俺は風呂上がりの女の子が好きでたまらんから。


ほんま、なんやかんやしてる内に夜が来た。
時間忘れるぐらい楽しかったってことかな。


オタケはマイクを片手に準備をする。
俺はマイクとハリセンを持って準備。

ついに漫才が始まる。

「はーい!どうもどーもー!2人合わせてオタキツソースでーす!」
から始まる。


ちなみにコンビ名は
【オタキツソース】

オタフクソースを真似て

ツレのあだ名が【オタケ】で
俺が【キッツン】やから2人あわせて

【オタキツソース】

なんて面白味のあるコンビ名か。


キツ「ちょー聞いてよ!」
オタ「なんよ?」
キツ「俺、キリンの物真似できんねんって!!」
オタ「え!?マジで?やってみてよ!」

キツ「キリーン…」

…間…


「アハハハハ!!」

これがなぜか大爆笑。


五分間、絶えず笑かし

最後に
「ありがとうございました~!」
そう言って俺らは めっちゃ遠くまで走る。


そしてクラス全員部屋に戻り

長い長い夜が始まった。
やっぱり、抜け出す奴、夜更かしする奴、いろんな奴が出てくる。

当然、男女分かれてるから男が女の子の部屋にこっそりいったり。

俺らの班からも抜け出す奴が一人。

抜け出してから全然帰って来ぇへんから、俺らも抜け出してそいつ探すか!と意気投合し、懐中電灯片手に部屋を抜け出す。


階段上がって女の子の部屋にいくと抜け出した奴は熱だして倒れてた。

残念な奴だ…


俺らは先生に話して部屋に戻り寝ることにした。

俺は液晶テレビを持ってきてたからテレビ観ながら寝た。


【チンピラのおっさん】


「この人がお前のお父さんやで」

急におかんから言われる。

俺の親父?らしき人物は
パンチパーマに 18金のネックレスをしていて
舎弟らしき人を連れていた。

これが俺の親父なんか…そう思いながら何週間か共に過ごす。


昼間は舎弟らしき人とゲームしたり、夜は親父らしき人と飯食って勉強教えてもらったり…


でも最終的には
俺の親父じゃなかったことが発覚した。

発覚したと同時に親父らしき人は居なくなっていた。
なんじゃそれ…。


となっていたがあれは紛れもなく親父やった。
昔の写真が出てきたので見たら、まったくそのままのカッコのおっさんと笑顔で写ってる写真が複数枚あった。



終わり

中学生

入学式。

俺は校則をまったくしらなくて、ヤンキーでもないのに茶髪・真っ赤なインナー・真っ赤な靴下で入学した。

ソッコーで先生に怒られるし、『ツバサの弟か……』とみんなに目をつけられるはで大変だった。

クラスが決まって、教室内にいると
『ツバサくんの弟おる?』と、金髪に色とりどりのインナー3人集が入ってくる。

『よばれてるで……』と恐る恐るクラスメートに言われ、ドアのところへ向かう。

『どうも。はじめまして。よかったら、今度他校に喧嘩しにいくんで、一緒にいきませんか?』となぜか敬語で物騒な事に巻き込まれそうになる。

『いや……喧嘩とか興味ないし、悪いけど止めとくわ……』と断るとすんなり受け入れてくれ助かった。

タバコすってるんか、とか、今度先輩に挨拶回りいこうと誘われて、行くことになる。

そこから一番仲のいい【ミナミ】と自転車二人のりして、3人集とよくつるんでた。

髪の毛をマッキンキンにするためハイブリーチしたままの3人集と外出歩いたり

そいつの兄貴のとこに挨拶いったら、『ツバサくんの弟やんな?ヨロシク!』言われたり。

ゲームセンターにいって、メダル落とすゲームの機械を人がいるのをお構いなしに蹴り飛ばしてメダルとって、何食わぬ顔でメダルゲームで遊んだり
スロットの景品を盗んだりと、なんやかんや悪さしまくった。

楽しかったっちゃ楽しかったが、決して俺は不良ではない。
今となっては、申し訳ないことしたと思ってる。


【よくある誰かしら倒れるやつ】

最悪な1日があった。別に体調悪かったわけではない。

朝の朝礼があった。

ずっと立って話し聞くわけだが……朝礼が始まって何分たった頃だろう…

だんだん気分が悪くなってくる。
しかし気分悪いですとかよう言わんかった俺は、我慢し続けた。

変な汗がダラダラと流れ続ける。

もうあかん!!

そう思った俺は前の子の肩を叩き「ちょ…気分悪いねん…。」

その台詞を言った瞬間に俺の意識は飛ぶ。

一度目を開けたが音がなにもきこえず、ただみんなの足がずらっとならんでるのをみてた。

そして次に気づいたときにはみんな居なく、俺は体育館の隅の段に移動されていた。

保険の先生が倒れてる俺をうちわで仰いでくれていた。

「あ、すんません。」そう言った俺は ちょっと間寝ころんでいた。


この日を境に貧血、立ち眩み等が激しくなった。


【親友になる男】

同じ小学校に通ってた男がいる。

名前は【ミナミ】
南は小学校の頃、違う学校から転入してきた。

髪の毛を青に染め、昼から登校してくる奴だった。

俺は、そんな南が嫌いだった。根が真面目だからだ。

中学校に上がった俺は金が欲しくてゲームを売りたかった。

ミナミがゲーム屋の店長と知り合いで高く買い取ってくれると教えてくれる。

ミナミと一緒にゲーム屋に行き店長と仲良くなり。

いつしか俺とミナミは周りからホモ疑惑があがるぐらいに2人で1人になっていた。


【きっかけって大事】

ある休憩時間。

となりに女の子が座っているので、暇な俺は
変な顔して笑かしていた。

たぶん中学入って最初に仲良くなったのはこの子だろう。

違う小学校から来た女の子。名前は【サワ】

なんとなく雰囲気が あれなんで、俺は【サワさん】と呼んでいた。

すごいスピードでサワさんのツレ等ともどんどん仲良くなっていく俺。

俺とニコイチのミナミも、もちろんみんなと仲良くなっていった。


また別のある休憩時間。

サワさんのツレ等に聞かれる。
「キッツンって好きな子おるん?」

なんとなく俺は答える。「おるよ」と
別にいて無いのに何故そう答えたのか意味不明…。

俺らは誰がみても友達と呼べるまでになっていた。

仲良くなってきた俺らはグループでボウリングに行ったのを覚えてる。

このグループの中から俺を好きになったという女の子が現れる。


いつしか俺らは付き合い始めた。


【恋愛は友情を越える】

みんな携帯を買って貰ってる中、俺は中古のパソコンを買って貰った。

そんな中、ミナミはサワさんを好きになっていたことを知る。

「言わんといてや!!」と言われるが、言いたくなるのが俺。

サワさんのメアドを知っていた俺は慣れないパソコンのキーボードを人指し指でポチポチ
「ミナミなぁ…サワさんの事好きなんやってぇ」

それがきっかけか、いつしか2人は付き合い始める。

何気に嬉しかった俺。


しかし、これから起きることを考えてなかった俺。
ミナミといつだって遊んでた俺。腹割って話せる奴もミナミだけだった。

でも、サンタと付き合い始めたミナミは、俺とめっきり遊ばんなった。

1人取り残された俺は不安に狩られ遊べる奴を捜す。

小学校の時、無視をし続けたカトウとそのグループに入っていった。

無視をしていた俺をカトウらは何のためらいもなく迎えてくれた。

カトウのツレ等とも仲良くなっていく俺…


孤独や寂しさから解放され、ただ幸せで楽しかった。


【性欲モンスター10代】

俺ら家族は古くさいマンションに住んでいる。

兄貴は団地を当てて彼女と暮らしている。
なので兄貴の部屋だった一室は俺の部屋として使っていた。

ある日

俺と仲が良かった女の子【イケダ】がいた。

夜中…っても朝に近かった時間に呼び出され
迎えに行く。

朝には学校なのでイケダは制服を着ていた。
俺の家に遊びに来る。


スカートがかなり短いイケダ。ギャルとヤンキー入っちゃってる女の子。

わざとかしらんが、ベッドにのり壁に持たれてる俺に背を向け、飼ってる猫を前屈みでよしよしし、パンツはもろ見えるわで

思春期の俺には全てがやばかった。


俺のエロビデを観たい!と言うので見せてやると
「やばい…濡れてきた…」

そんな事も平気で言う奴だった。

まてまてまてまて童貞な俺には刺激が強すぎる。
でも嬉しいみたな葛藤。


そして、とある休みの日
イケダが家に遊びに来た。

最初は普通に会話してたんだが家に俺ら2人以 誰もいなく、すごくいい雰囲気へ…


イケダは壁にもたれてあぐらかいて座ってる俺の上にまたがってきて…ディープキスされる。

俺のあれは舐められて俺はイケダのあれを下着越しに触り。
すごいぐちょぐちょになっていて、これが本物か!と感動と同時に、すごい興奮した。
これを越える興奮は一生ないかもしれん。

全てが初の経験やったが、しかし何故か本番までは行かなかった。

それ以来俺らは遊ぶことも声かけることもなくなった。なんだったのか?

てか、それ以前に彼女いてんのに俺は何してんの?
と同時にやっときゃよかったの後悔。


【店長】

ゲームショップの女店長と仲良くなった俺と南。

ミナミは頻繁に店長の家に泊まりにいったり遊びにいったりしてた。
ニコイチの俺も頻繁に遊んでた。

ゲームショップの店長だけあって、ファミコンなどそろってて、よくゲームしてた。


俺の家にも突発で泊まりに来たときがあった。

ジャンプで連載してたエロいマンガの単行本や、エロ本などを急いで隠した。
でもバレて、恥ずかしかった。

着替えがなかったのでスエットのズボンを
店長に貸して3人で川の字になり寝てた。


俺は店長に抱きつき、店長のアソコを手繰ってた。
店長は嫌がる素振りもなく、抱き返してくれていた。

次の日に解散して、そのスエットの裏地の匂いを嗅いで一人で事に及んだ。



いつものようにミナミと二人乗りでショップに向かってダラダラと閉店までいたとき、店長の男友達が車で来た。
ミナミはどうやら既に知り合いのようで、仲良く3人で話しているのをみていた。

3人はボウリングにいくことになったようで、俺だけなぜか取り残される事になった。


すねた俺はミナミのチャリを乗って帰った。
すごく寂しかったのに強がって、何食わぬ顔でバイバイした。

気がつけば付き合いがなくなり、ショップから店長もいなくなった。


【引っ越し】

おかんが団地を応募していた。そして当たる。

急遽、俺ら家族は引っ越しする。

中学からはちょっと遠くなっただけだったので転校は避けられた。

出来立てで綺麗し、全然来たことない町なので新鮮な感じで、最高だったのを覚えてる。


でも最初は学校の行き道が解らなかった。
やばいぐらいの方向音痴はこの頃から気づいた。


【自分勝手な恋愛】

俺は彼女が居るというのに、カトウたちグループにくっついていた。

海へも行った。俺の家にも泊まった。

彼女からすれば不安になってしかたなかっただろう。カトウは女だから。


結局、カトウに惹かれた俺は手紙一枚で彼女と別れカトウと付き合うことになった。

これが、なければ
きっとここまで人生は狂わなかったのかもしれん。

辛い辛い長い時間が始まりを見せていた。


【性欲モンスター10代だけど性に敏感なお年頃】


俺がふと「長い髪の毛の子が好きなんよなぁ」と言えば髪の毛も伸ばしてくれてたし、ストレートにするため矯正も当てに行ってた。

とにかく優しくて可愛くて、だいたいの男が好きになるタイプの自慢できる彼女だった。


カトウと買い物も行ったし。カトウが家に泊まりに来たことも数回。

ただし…ツレ等も一緒。

俺はカトウ1人を誘うことが出来なかった。それとカトウも嫌がった。

この状況が続く中、時は流れ
今回はカトウ抜きで、カトウのツレの女の子が泊まりにくる。

名前は【マイコ】この頃から呼んでるかは覚えてないが

「なんて呼べばいい?」と俺が聞いたのがきっかけか、名前で呼ぶようになった。



この夜、思春期の俺の性欲が押されるわけもなく暴走する。
言い訳にしか聞こえんと思う。

俺も中2…あんなことや こんなことしたいと思う年。ましてや彼女いてて愛してる。

でも、エッチも何もさせてくれない。
それでムラムラしてたんやろうな。俺は。


夜。

寝始めたツレ等を横目にまいこのあれを触る俺。
マイコは感じていた。

触るだけ触って罪悪感を覚えた俺は、ふと我にかえり、手を止めた。

はたからみれば俺は最低な奴やろうな。
俺の人生はこのまま最低最悪を引き連れて突っ走って行く。

また別のとある休日。
カトウとツレ等が泊まりに来る。

夜中。

全員が眠っているのを良いことに、またまた性欲が押されなくなった俺は寝ているカトウのあれを触る。

起こさないようにと、ゆっくりゆっくり。

何分たったころか、飽きずに触る俺。指をいれてみたり。いじくり回していた。

あのときのイケダのようなぐちょぐちょ感がない?
なんでや?と考えていたその時、カトウが目を覚ます。

当然バレる。血の気が引くが、彼女やねんしいいやろとも考えていた。


しかしこの日をきっかけに自業自得と言う闇に包まれていってしまった。


あんな事をしてしまった俺。
当然、経験のない思春期の女子には刺激が強く、嫌われていった。


そんなぎくしゃくした関係の中、月日が流れ

ある日。
カトウの事が好きだと言う奴が現れる。

いやいや、俺の彼女やし大丈夫やろうと俺は思ってた。


またある日。

いつもカトウ等と集まっていた駄菓子屋【高田屋】へ行った。

いつものように集まるはずだった。

高田屋に1人座ってる【リエちゃん】に
「カトウさんは?」と言われる。

俺は「知らんけど。」と答えたと同時にすごい不安を感じた。

俺はチャリに乗り探しに行く。


辺りを探しまくってた。
心臓が不安で破裂しそうだった。

焦りながらチャリをこいでいると、ふと頭に場所がよぎる。

その場でブレーキを目一杯かけ、スピンターンをした俺は頭によぎった場所へ。

案の定、カトウはそこにいた。
体操服を着たカトウとマイコ。

そして
カトウを好きだと言っていた【モリモト】が居た。

背筋がゾーッとしたと同時に頭で何かが切れる。
「何してんな。」

そう言ったが誰も返事を返さず、ただ覚めた目でじっと俺をみている。

え?どゆこと?なに?とパニックになり、とっさに逃げたくなった俺は「リエちゃんが探しとったぞ。」と言いはなち
その場から逃げた。見えてた結果だった。俺は別れを告げられ
カトウはモリモトの所へ。
もっぱら、あることないこと話して、それに相談のるふりして落としたに違いない。


カトウからマフラーをもらったことなど走馬燈のように全て思い出す。

「きっつんマフラー欲しい言うてたから編んでみてん!」
「えっ!?マジで!ありがとう!」

長いマフラーやった。ビックリするぐらい。
マイコに、この長さわかる?これを編むのにどれだけ時間かかったと思う?すごい頑張ってたんやで!
そんなことも言われてたな…。

愛があって大切にしてくれてたのに俺って奴は…。
カトウは学校の仲良い子等にこう言ったらしい。

「キッツンが暴力振るってきた。」

いやいや!暴力なんてふるってない!女にだけは絶対手をあげへんのに!

でも、みんなはカトウを信じた。
俺がツレと思ってたやつもクラスメートもみんな。

所詮俺らって上っ面だけやったん?
ツレに喋りかけても愛想無く。
クラスメートもみんな態度がおかしい。

自業自得……なんか……な……?

頭の中でその言葉が渦巻く。

気晴らしに街に出ても、なぜか見事にモリモトとニケツして笑っているカトウと合う。

しかも目があっても無視。


いっそのこと死んでしまおう。
なにも面白くないし、毎日毎時どこにいても苦しい。
逃げたい。逃げたい。逃げたい。


そう思った俺は団地の最上階である11階へ。



死んでしまえば……逃げれる……。
きっと救われる。


でも

俺には死ぬ勇気が無く、ただ泣き崩れ部屋を荒らし
しまいには吐き気、恐怖…


学校へ行けなくなっていた。

1人になってしまった。いや、1人になった俺は、家のベランダでボーッと夕日を眺めていた。

ん?と 思い出す。

町中の電柱に書いてあった。出店の文字。

俺は思った。
「あいつ誘うチャンスや。」

めっきり遊ばんなったミナミを誘おうと、電話してみる。

予想外に簡単に電話に出てくれて、すんなり遊ぶ約束をした。


俺がいろんな時間送ってる間に、ミナミもいろんな時間を送っていた。

ミナミはサワさんと別れていた。


この日からまた
ミナミと俺は2人で1人になった。


学校いかんと夜中だろうが遊び呆けて、ツレにたばこの吸かたを教えてもらったり。
火遊びはして、酒は飲み。
毎日一緒に遊んでた。

苦しいけど、すごく毎日が楽しかった。


【不登校】

担任から言われる。

「学校 おいでよ。」

最初は嫌がった。

でも「席が一番後ろの窓側やったら行く。」
と俺は言うと
「わかったから おいでや。」と担任はすんなり了承し、マジかこいつとなる。

ちょっと間してから学校へ行くと、マジで席が変わってた。

最初は嫌々行きながら勉強せんと空観たり、寝たりしてた。

うちの学校は
弁当、もしくはコンビニとかで買ってきてそれを持参して自分のクラスで食べるって決まりがあった。

しかし

居場所のない俺は昼時になるとクラスを抜け出し
違うクラスに居たミナミを呼び出し廊下で食べたり、階段で食べたりしてた。
まぁ当然みつかって注意されるが無視。

授業中、廊下がうるさいなと見てみると、ミナミは担任に追っかけ回されたりしてた。

そんな日々も直ぐにおわり、また学校行かんなった俺。
また担任に呼び出される。

「校長と話して決めたんやけど 1時間受けたら出席にしたるから。」と言われる。

しまいには「保健室でも良いから。」と言われ

そこまでしてもらったら行くしかないな。

そう思って行くことにする。


保健室には誰もいなく俺1人。

まさに自由。

勉強しとけと渡されたドリルも無視して
1時間ボーッとしてかってに帰る。

みんな学校行ってるというのに俺はミナミと遊ぶ。

酒買いあさって会う女の子会う女の子に飲めや飲めや言うて練り歩いてたら、次の日先生に呼びだされたり

たばこや盗難で警察におこられたり

エロ本でもりあがったり

毎日毎日、卒業までそれは続いた。


【進路】

高校なんて最初は行く気、ってか興味なかった。

三年になってハイパー不登校やったけど「やっぱ 高校は行っとかんとなんかな。」
そう思って担任やミナミと学校の特別な部屋で話し合う。


俺はその頃から車が好きで、どうせやったら工業、自動車科
と言うわけで工業の定時制(夕方から夜までの学校)を受けることにする。

ミナミも一緒の高校を受ける。

何気に頭いいのにもしかしたら俺に合わせてくれたんかもしれんな…。

そんなこんなで話し合いは終わって、後は卒業するだけとなった。


【卒業間近】

卒業間近。

そんな忙しい中、学校は大掃除の日やった。

この前日、ミナミは俺の家に泊まり2人で計画をする。

モリモトをシバくか。

モリモトは俺の女をとった。モリモトは何かとウザイ存在だった。

鉄パイプにテープ巻いたり、鉄板入りの鞄などを用意し、教室に入ったらソッコー机なげたろか!などと話が盛り上がり朝方まで起きてた俺らは、眠たさのあまり

やる気を失なってしまう。

もう、ええか…そんなノリで俺らは登校した。

俺とミナミは、教室の掃除はしないで保健室の掃除をしてた。

簡単に掃除を終え、帰る支度をした俺らは廊下を歩いていた。

すると、ちょうど前から歩いてきた奴が居た。

モリモトだった。

すれ違うかと思った瞬間。
ミナミとモリモトはお互いに譲らず、わざと肩をぶつけた拍子に素早く2人とも胸ぐらをつかんで

「やんのか?」「なんな?やんのか?」

ついに喧嘩が始まった。
胸ぐらを掴んだまま2人は睨んでいた。

俺は自分の鞄を捨て一言

「ミナミとやんやったら俺も入んで。」

それを聞いたモリモトは言う
「2人ともかかってこいや。相手したるわ。」
めっちゃかっこええやんけ。俺しょぼ……。と落ち込んでいる時
ミナミは空いてる片手で自分の鉄板入り鞄で頭上から降り下ろす。

しかし空手をやっているだけあって森本は腕で受ける。顔から察してダメージ0にみえた。
これをきっかけにオラァ!と喧嘩が始まる。

まずはミナミがどつきまわされる。

俺はモリモトを引っ張る。

まだどつき続けるモリモトにムカつき
俺を無視すんな!と一発どついたる。

するとまたまたダメージ0のモリモトは振り向き睨みをきかせ標的は俺にかわる。

頭を両手でガードしてるつもりの俺だが、頭をどつき回される。まったくガードできてない。

軽いジャブなんかして痛くはなかった。
ただすごい連打。

徐々に目の前がぼやけてモリモトが見えへんなる。

「あー!!うっとおしい!」と思った俺は
ブンブン腕を振るが、喧嘩慣れしてない俺の拳があたるわけもなく、黒帯のモリモトの動きはスゴく速くてあたらんかった。

マジでか……と思っていると引き続き頭どつきまわされる俺。

そこに先生が現れる。
先生が慌てた顔して「何してんや!!!」と割り込んできて、喧嘩が終わる。

息切れのミナミと俺。
間に怒り狂った先生。
向こう側に余裕のモリモトとニヤけてるツレ等。

その中、先生は言う。「何あったんや!?」

俺は食いぎみで「別に何もないわ。ミナミ、いこや。」

そう言った俺とミナミは、モリモトらとギャラリーの間を抜けていき学校を出た。

門でタバコに火をつけ、息を整え吸いながら帰る俺ら。

ミナミは手の指を折っていた。
モリモトをどついた時に当たりが悪く折れたらしい。

クラスメートの家が接骨院の為、そこに行く。

そこのおっちゃんは「君らも若いなぁ。」
そう言いながら、ミナミの指を固定しだす。

また喋り出す。
「ところで、うちの娘 かわいいか?」と言われ
「え?あ、かわいいっすよ。」と言う俺とミナミ。

正味、あんたの娘さんと喋った覚えもない…。


家路についた俺は担任に呼び出され再度学校へ。
俺は職員室に誰のイスかも解らんイスに座り担任にとやかく言われる。

どないしたんか。どんな状況やったかとか
根ほり葉ほり聞かれたが、てきとーに答えているとなんとか家に帰ることができた。


【卒業】


ついに卒業の日がやってきた。

このいやな学校ともおさらばか…。

そう思いながら卒業式に出た。
学校の思いでは辛いものばかりのような、楽しかったような。
1年生の時にいっぱい友達できて、女子は悪いのが好きなお年頃なだけあって、何気にモテてたのにな。
充実してたよな。ボウリングやカラオケに恋愛。
普通の青春してたのに。

2年にあがって、友達は失い、信頼もないし煙たがられて。
不登校に酒にタバコに窃盗に。

3年になっても続き、最後に彼女を寝取られたやつにボコボコされてカッコ悪いし。


家は家で統合失調症と躁鬱の母親のせいで、俺まで頭おかしくなりそうやし。

なんでこんな気持ちで卒業式に?
卒ランきてるやつもいてるし、変形きてるやつもおる。
真面目なやつも悪いやつもどんなやつも、みんな楽しそうで、感動もしてる。

俺はなに?なんでなん?


1人1人名前呼ばれて卒業証書?取りに行ったんやったっけ?
リハーサルもなにもしてなかった俺は、流されるまま式にでていたのであんま覚えてない…。

とりあえず みんなで校歌?なんか歌うのがあったが、練習に一回も出てない…はずの俺には
歌うことはできんかった。

ボーッと

ただたんにボーッと天井をながめて

俺は中学を卒業した。
思いでも何もない卒業式とかあるんやな。


サワさんから花一輪もらって
ミナミを含めた一番仲のいい四人でプリクラをとりにいった。


これはこれでよかったのかもしれんな。
と思いたい。


【番外 修学旅行】



近々、修学旅行がある。

それでいろいろ決めるらしく登校。

正味、行く気が無かった俺は担任に「俺、行けへんで」と言っていた。

しかし担任の一言で俺は行かなしゃーないな。と思わされる。

その一言は…「行かんかったらキャンセル料、高くつくで。」

みんな楽しそうにグループ決めたり、ホテルの番号メモったり、なごやかな空気が教室を包む。

俺は1人 教室から空を見ていた。

俺はみんなに避けられていた。


修学旅行が始まる。

新幹線の中では漫画でみるような和気あいあいと楽しんでるみんなを尻目に
連結部でミナミらとうんこ座りしてすごしてた。


俺は決められたグループの中に居てるのは苦しくてグループから抜け出す。
何故ならカトウ達のグループだから。
優しさでグループにいれられたのか、なんなのか分からないが、ありがた迷惑。

夢の国ディズニー。
すれ違う人みんながみんな笑顔の中、輪を抜け出し1人でベンチに座り込み、携帯を取りだしミナミに連絡を取る。

もう頼れる奴はこいつしか居てない。
ミナミのグループに入れてもらった俺。

このまま楽しく行くはずだった。


ディズニーで夜を迎えた俺たち。

なんかのイベントが行われるらしく、その場所へ。
当然、人がいっぱい居た。

その中にカトウとモリモトが居た。
寄り添っている後ろ姿を真っ直ぐ見てしまった。


俺は男のくせにその場で泣き崩れた。

ミナミのグループは「きっつん どうしたんやろ?」
そう言いながらも慰めてくれていた。


夜。

学校にいってないおれは、ホテルの部屋割りもしらず、ひとり迷っていて
やっと先生みつけて、聞いたら怒られ、それでもなんとか部屋にたどり着いたが
ホテルの部屋割りは、小学校の時に仲良かった、ヤンキーグループにあてられていた。
これも優しさなのか、しぶしぶなのかはわからん。
みんなで部屋で写真とったのを覚えているが顔は死んでる。

普通に青春でこれてれば、漫画であるような抜け出して女に会いに行くとかできるはずやったのに、なにも面白くない夜だった。


修学旅行の時の写真の俺の顔は死んでいる。

一枚だけ最高な笑顔の写真がある。

サワさんが撮ってくれたその写真には
ミナミとタケダと俺が写っている。

ミナミとタケダとサワさん。

俺の親友。



【性同一性障害】

中1のころいつもどおり学校に来ていた俺。

休憩時間。

俺はツレ等とトイレに行っていた。


んでツレが急に喋り出す。「タケダって 知ってる?」
当時、タケダを知らなかった俺は「はぁ?誰よ。」と聞く。

「知らんけ?あの女の子よ。ってかな聞いた話なぁ…」
ツレには不思議だったんだろう。
聞いてもないのにタケダの事を喋り出す。

「あの子 レズらしいで。」
俺はクエスチョンを浮かべながら「だから?」

「え?いや、どうおもう?レズって。」

別にタケダに興味もなかったし、レズやからってなんやねん?

そう思ってツレに言う。「別に?」



タケダは性同一性障害だった。
みんな理解が足りない、まだまだガキなので見世物のように笑うし、男みたいな髪形と私服を見ると変な目で見る。

俺は男として友達になっていた。


終わり

卒業から高校入学まで

中学を卒業した俺らは春休み?を迎えていた。

もうじき入学試験やってのに俺は勉強もせず遊び倒していた。

ミナミ、ムロヤ、サワ

そこらへんのグループとずっとずっと遊んでた。

ただ毎日が楽しくてこのまま続くことを願った。


【二股】

俺とミナミとサワで俺ん家で夜な夜な遊んでた。

ミナミが先に寝て電気を消した静かな部屋でサワと俺は喋ってた。

半ば強引であったがあんなことやこんなことをする
サワも嫌ではなかったのかして俺に体を預け
とき積極的に動いた。

マジで始めは強引ではあったが…。

最終的に俺らは付き合った。


俺とサワが付き合って何週間?

とりあえず短期間の内に事件は起きた。

サワとミナミと俺で夜遊んでた。

まだ寒かったので3人でコタツに入り寝てた。
俺はふと起きてなんかおかしいことに気づく。

ミナミと俺の間にサワが寝てたわけで。


コタツ布団をペラッ…と めくってみると。

サワとミナミは手をつないで寝てた。


あー…そうか。そう言うことか…


頭の何かが切れる。とりあえずサワを起こして
説教。
しまいにはミナミにメールせんように言う。
ここから だんだん崩れてく事になるとも知らず。


【山口県の小悪魔】

俺、ムロヤ、ミナミで、野球しよか!ってことになり、近くの小学校へ集まる。

俺とムロヤは先についていて、キャッチボールしながらミナミを待っていた。

数分後…

ミナミらしき人物がチャリンコに乗って現れる
俺「ん?」
ミナミと2ケツしてる知らん女の子が見える。

俺とムロヤは顔を見合わせて言う。

「あれ、誰な?」

その女の子は山口県の子。

なぜ岸和田にすんでいる俺たちの前に現れたかと言うと
ちょっと前にさかのぼるが…

俺がまだフリーの時。

ミナミは出会い系でタマエと言う女の子とメル友になっていた。

だいぶミナミとタマエが親しくなった頃。

たまたまミナミとツレと俺で、俺の家で遊んでた。
そんな中、ミナミは白地らしく電話しだす。

俺にも話させろや!言うて、俺もタマエと一回喋ったことがあった。その時にタマエと言う女の子を俺は知る。

ミナミとメールなど交流し続けたタマエは、ミナミに惚れ、憧れ

岸和田に来ることを決意する。
岸和田にたった1人で来たタマエは真っ先にミナミに会い

今、俺たちの目の前にいるわけで…
出会い系ってすげぇ……まじで出会えんねな……と考えながら遊ぶだけ遊んだ俺は、みんなと別れ自分家の部屋でテレビを見ていた。

寒い夜だった。

突然、携帯が俺を呼ぶ。
タマエからのメールだった。

「お腹減った…」

たまにははミナミの家に泊まることになってた。

だからミナミの家にいるが飯を食わしてくれない?
飯を買う金がない?

詳しくは分からんが、家にあったチキンラーメンを片手にミナミの家へ爆走する。

ミナミの家の前についた俺はタマエに連絡する。
二人して降りてくる。
チキンラーメンを手渡し話をしていた。

薄着なタマエが可哀想だったので俺のジャンパーを貸して。

話すだけ話した俺は帰ることにする。

次の日、俺らはビックリする。
タマエからの連絡で。

「無理矢理された。」

無理矢理本番をされたと言うタマエ。

タマエは初めてだったらしく相当ショックを受けたと。


辺りが暗くなった頃。
ムロヤと俺はミナミの家へ。

無理矢理の事にムロヤはかなり腹が立っていたらしい。
俺もムカついたが、あんま人のこと言えんな…。

とりあえずミナミと直で話し合うつもりで、玄関を叩く。

しかし、一向に出てこないみるような。
俺らは諦めて帰ろうとしていた。


そこにミナミからのメールが入る。
「ごめん。今は会いたくない。」

ミナミはタマエにチクられたことを知り
俺らがそれで来たのも分かっていたらしい。

ラチがあかない俺らはミナミの家を後にした。


最終的にタマエとサワとムロヤは俺の家に泊まることで丸く収まる形になった。

サワと俺は下のベットで寝る。
が、なぜかムロヤとタマエは二階のベットで2人して寝る。


そしてまた事件が起きる。


タマエから「昨日、ムロヤくんになんやかんや触られた…」と言われ

あちゃー…と俺は思った。

俺も俺の周りもこんな奴ばっかかぁ…。

タマエだけが俺の家に残る。オカシナ話やけどね。
タマエとひたすら喋ってた。

急にタマエは言う。

「眉毛、整えてあげる。」

標準語が新鮮で、たまに語尾に「っちゃ」と付けラムちゃんみたいな喋り方をする。

それがまた可愛らしくて…


眉毛整えたるために、俺の伸ばして座ってる足の上に股で座り、顔を目の前に近づけて
俺の眉毛を丁寧に整えていた。

カミソリで整えてるからか、動けないのがまたドキドキして…

俺らは時間をますにつれ、良い感じの雰囲気につつまれていた。

俺はだんだんタマエの魅力に引きつけられてしまっていた。

俺らはコタツで寝ころびながら、2人で肘をつき顔を見合わせ喋っていた。

ただ単に電気だけが点いている部屋…

俺たちの小声が部屋中に広がるようなぐらい静かな夜だった。


俺たちは…その場の雰囲気に流され…軽く唇を合わせる…

コンマ何秒…

次第に唇を合わせる時間が長くなっていく

タマエはまったく拒まなかった。

唇を合わせただけで、その他は何もせず俺らは寝たのだった。

タマエはミナミの家に戻った。
タマエはきっと小悪魔なのだろう。上手いこと話して、俺ら全員とりこにしていった。

タマエはタケダとも顔合わせをしておく。

俺の部屋に来た奴は、俺のコタツに落書きをするのが定番で、タマエも来た証として書き置きしていた。

絵を描いたり、俺ら宛に書いたり

俺はタマエにプレゼントしたものがある。
ビーズクッションにタマエが関わった人物全員の似顔絵を描いて…。

全員で最後に遊び、ついに帰る時間が来て俺らは地元の駅に向かった。
俺らは全員でタマエが乗り込んだ電車に手を振っていた。

俺とサワは俺の家に帰った。

「せっかく楽しみにして岸和田来たのに…あんま良い思いさせたられへんかった?かな…どうやろ……」
そのセリフを吐いた俺の目からは涙があふれ

サワに抱きしめられていた。


月日が流れ…インターホンが俺を呼ぶ…。

宅配便だった。
山口県から俺の家宛に送られてきた物だった。

ダンボールのガムテープを外し、中身を覗いてみると、タマエの母さんからの感謝の手紙と

自分家で作ったお米が入っていた。


【入学】


相変わらず全くと言っていいほど勉強してない俺。

俺とミナミと【テルイ】で高校へ向かう。

ちょっと訳ありで自前のまともな学ランを持っていない俺は、中学校から誰の学ランかわからんが借りて、馴れない電車で高校へ向かった。

初めて目にする高校。
ほぼガラス張りで、第一印象は

「綺麗な学校」

しかし…のちのち覆される…。


面接みたいなんが、執り行われるらしく、俺らは知らん学生が並んでる列へ。

俺らの前に並んでる子等はオタクかな?根暗かな?
そんな感じの子等が並んでいた。

俺らの後から来た奴らは見るからにヤンキー。
面接やる気あんのかと言いたくなるような金髪。ミニスカ。変形ではないが、タボダボのズボン。斜め被りの帽子野郎。

なるほどなぁ…と思いながら面接を無事受け番号を貰い

その日は終わっていった。



ついに入試。

その日高校へ行った俺は愕然とした…。

色とりどりの髪色達。

灰色、金、赤、橙…鋭い眉毛。

ダボダボなズボン……学ランの前は全開。

ほんまにやる気あるんかと思った。

とりあえずテストが始まる。

「出来るだけやるか…」
そう思った俺は解るとこだけを集中的に書いていた。

突然、静かな部屋に鳴り響く。

プゥ~

…。

俺の隣の奴が屁をこきやがった。
挙げ句にチラチラみてくんじゃねーよ。たこ。

おかげで集中できず…テストは終わっていった。

「まぁ、やるだけやったしな…。」軽く投げやりな気もするが…
後は合格発表を待つだけとなった。



合格発表。

「無理やろなぁ…。」

そう思いながら掲示板を見に行って、また愕然とする。


1、2、3、
そんな風に上から順に読んでいた。

俺の番号があって「え、マジで!?やった!」そう思った。

しかし、感動する間もなくオカシナ事に気づく。

「え!?ちょっと待てよ。」

再び掲示板をのぞき込む俺。

1、2、3…10、11…100…


「数字 全然抜けてへんやん!」

イコール…ほぼ全員合格。


「そ、そんなに簡単なんか定時制は…。」
感動も何もなく終わっていった。


そして、俺等は
はれて入学したのだった。



【番外 治安の悪い岸和田市】


同じマンモス団地に住んでるサワさんの家で遊んでいたとき。
中庭から女の子と罵詈雑言が聞こえる。

なんやなんや?とベランダから覗きこむと、膝をついてる金髪の女の子の髪の毛を握り頭を引っ張りあげ、こちらも同じく金髪の女の子が罵倒をあびせている。

うわ。と思った瞬間に顔面に膝蹴り炸裂。ゴッ!ゴッ!と執拗に膝蹴り。
すいません!すいませぇぇん!と謝り続ける。


やはり岸和田はやばいなと改めて思った。


終わり

高校1年

俺は髪の毛をガッツリ染める。
髪質が剛毛で色が抜けにくいので金髪のブリーチを2本
そして、俺の大好きな紫色を目指してヘヤカラーでしめる。

綺麗に色がのったが…バリ明るいワインレッドになった。

この頃、服装に こだわりがなかったが、兄貴から貰った真っ黒のハンチングを被るのが定番のスタイルやった。


【出会いは突然】

学校も週間付いてきたが、まだミナミしか友達が居てなかった。

ある日、いつものように学校へ向かったがミナミは学校に来ていなく、暇だった俺は学校をサボり、学校がある街を探索していた。

何せ、今まで来たこともない場所やったから。


ぶらぶらしてると、近くのベンチに見たことある恐そうな顔が数人…
「あ、やばい……同じクラスの子や…」

そう思って、だるいことになりそうやから来た道を引き返そうとすると…

「ちょー!そこの子!」と呼び止められてしまい「うわっしょー…やばい……呼び止められたしよ…。しばかれるかな?」
そう思いながらもそのグループの中に。

「うちのクラスの子やんな?」とガタイが1番ごつい奴にきかれる。
『絶対、年上の子やわ…』と思いながら
「そうですよ。」と敬語で答える。

間髪入れずに喋り出す。
「学校サボって、何してんよ?」

そう聞かれた俺は
『いやいや、あんたもサボって何してんの。』
と、勿論 頭の中で考えながら
「いや、ツレ来てないし暇やったんで。」

と、まぁ

こんな感じでコミュニケーションを、とっている内に仲良くなっていた。

もし、この【キタウラ】と言う二個上の同級生と仲良くなってなかったら


俺は高校やめてたと思う。



【絡まれる】

キタウラ、通称【キークン】と、タメ口で話せるくらいになってきた頃だった。

ミナミと俺は学校近くのコンビニへ向かった。

コンビニの駐車場で明らか学校のヤバイ方のヤンキー等が大量に集まってた。

『うわ…絶対、こいつ等だるいわぁ』と思いながら
駐車場を横切りコンビニの入り口へ向かったとき


バスッ


ミナミが、その中の年上の子の肩に当たる。
その子はかなりやばい。
校門の前で、それまたヤヤコシイ上の子をタイマンでボコボコにしてたのを見てる。

最後は謝って土下座してきた相手に「うんうん。そーやな。しゃーないな。」と言い
許してもらえたと思い顔を挙げてきたところ、「うそじゃぼけ!オラァ!」と顔面をおもっきり膝蹴りして、うずくまったところをひたすら蹴り続ける。
周りの取り巻きもポテチくいながら見てるだけ。

あいつらはやばい。と思っていた奴らだった。

見てた限りではその年上の子がツレらとはしゃいでて不注意でミナミに当たったから

ミナミは謝らなかった。

買い物を終えた俺とミナミはコンビニから出た。

自動ドアが空いた直後…待ってましたと言わんばかりに年上の子が、目を血走らせながら素早く
俺とミナミの胸ぐらをつかみ、その子の鼻と鼻が当たるぐらいまで顔を近づけてきて

「お前等、なめとんか!?ゴラァ!ちょっと来いや!!」と大声で叫びそういいながら俺とミナミを引きずっていった。

そのまま駐車場に連れて行かれ、胸ぐらを掴んだまま
「どっちが、当たってきたんな!?おお!?」と言われ

俺はこう答えた「いや、何の事っすか?」
向こうが当たってきたんやし、シラ切れば大丈夫やろと、そう言う魂胆だった。

何故、悪くないのに逆らわないかというと…相手の人数が
ざっと見て2、30……。

学校入学できたのにさすがに死にたくないなと思ってた。

ミナミと俺は交互に胸ぐら捕まれ、罵詈雑言浴びせながら頭は揺らされ、ひたすら聞かれる。

「どっちが当たったんなって聞いてんじゃ!答えろや!」

『やばい!あかん!マジでダルイ!もう、話終わらそ!』
そう思った俺は「すいませんって!!」と言ったが、逆効果だった。
「はぁ?すいませんってか?ほな、お前が、当たったんやろが!!シバくぞ!」

『やってもうた!謝ったら逆効果やんけ!俺、関係あらへんしよ!』

頭を揺さぶられながら、引きずられながら、ヤバイ!ぼこぼこにされる!そう思ってた俺の胸ぐらを何故か急に離し

上の子は、ミナミを拉致して違う駐車場の方へ引きずっていく。

『今度はミナミか!?ヤバイ』
そう思った俺は2、30人に囲まれてる人混みを「はよいったらな、やばいでーあはは」「がんばれー」とかの声を聞きながら抜け、ミナミが引きずられていった裏の駐車場へ。

さっきまで聞こえてた怒鳴り声は聞こえず
逆に笑い声が聞こえる。

『え?なんで?』そう思ってたら

上の子とミナミが和やかな空気に包まれながらミナミの肩を抱き俺の方へ歩いてくる。

なんか、祭り(だんじり)の話などで意気投合したらしく仲良くなったそうだ。
『ふぅ…無事に終わったわ…たすかった』そう思いながら

ミナミと俺は2、30に「気を付けやー」「調子のっとったアカンで」などなど沢山の文句やら忠告などを言われながら帰っていった。



【出会いは必然】

授業を終えた俺とミナミは教科書などを置くためロッカールームへ向かった。

ロッカールームから出て廊下を歩いていると

俺は全く面識のない上の子にミナミは声をかけられ何かを喋っていた。

どうやら知り合いらしい。


話を終え、その上の子は前を歩いていた
俺らのクラスにいる、帽子斜め被りが印象的な奴にも声をかけ喋っていた。


外に出た俺らの前に帽子斜め被りの子が歩いていて

ミナミが駆けより喋り出す。

「さっき上の子に喋りかけられてたけど、知り合いなん?」

そいつは、初めて喋りかけられてちょっとビックリしながらも答える。
「ん?うん、そやで。」

ミナミと俺は、自己紹介をする。
「あっ。俺、ミナミって言うねん。」
「俺は、キッツン。」

そいつも自己紹介をする。
「2人ともクラスの子やろ?俺は【サカタ】。」

南は喋り出す。「タバコ吸うん?」

サカタはタバコを取り出しフィルターを

フッ!

と勢い良く吹きタバコをくわえ一言。
「吸うよ。」
俺はサカタに聞く
「なんで吹くん?」

サカタは歯が一本ない笑顔を浮かべながら教えてくれる。

「前なぁ フィルターに葉っぱ着いてて、口の中入ってさぁ 不味かったのがきっかけで、吹く癖ついてんよ。」


そっかぁ…と思ったのがきっかけで

俺はフィルターを吹いてしまう癖がある。

フィルターを吹いたときに地元のツレ等に同じ事聞かれる。

「なんで吹くん?」


って。



サカタと仲良くなり、頻繁に遊ぶようになってきた。

俺の家にサカタが泊まりに来ることが増えて、今日も泊まりに来ていた。


サカタは麻雀が好きと聞いたので、俺の家にある
麻雀と麻雀台を出し、サカタに教えてもらうことにした。

「これは、こうやって」
「ちゃうよ。ここは、こうやし。」

朝方まで教えてもらったが、その日も今も

全然覚えてない。



【モンキー】

そろそろ原付免許を取る予定だった俺。
おかんが俺に何も言わずモンキーを買ってくれた。

嬉しかったが、買ってくれる意味が分からんし、何も言わないのと先走りすぎが昔から嫌いだった。

たとえば、原付免許取りに行くけど落ちたらどうすんねん?とかプレッシャーかかるとか

何せ、エンジンかけへんかったらかからんなるような乗り物を先走って買うなよって。


この時は、後々もっと最悪なことになることを知らなかった。


そのモンキーをよく見れば、素人でも分かるくらい手の込んだイジリ方をしている。

兄貴の知り合いから買ったものだそうな。

モンキーの乗り方を知らんかった俺は兄貴の後ろに乗り教えてもらう。

教えてもらうだけ教えてもらったが基本的に頭が悪い俺は壁に突っ込む。

アイタタァ…と思いながらも
時折練習をした。

まだ免許無い俺やけどエンジンいかれんのが嫌だったので乗るようにしてた。

キックでエンジンをかけ吹かして半クラっちでギアを1速入れて走り出す。

昔から速いのん苦手な俺は……ってか、根本的に簡単に前に進む乗り物が恐い
自転車なら、余裕やけど

ジェットコースターや、車、原付、単車…は、全く駄目な人。

でも、ゆっくりではあるが自分ちの団地周辺を走ったりしてた。



根が真面目な俺は免許が無いのでモンキーに乗ることはなくなった。まぁ怖いってのもある。

そしてモンキーはサカタに五万で売ることになった。
しかし、五万なんて大金簡単に収集できるわけ無く、ズルズルと日は流れていく。

おかんは躁鬱と統合失調症を患っていて、睡眠薬飲むから、酒と一緒に飲んでは意識とぶし、キャラ変わったりして俺にキレてくる。

胸ぐらを勢いよく掴まれ、ビリッ!となりながら
「はよ、五万もらってこいや!」
「何してんな!早よせぇ!」

毎日毎日そのセリフは続いた。

この時はこれにずっと悩まされた。

サカタは学校に来ることがなくなった。
おかんに何度もサカタに電話させられたが、電話に出ることもなくなった。

もう、あかん。

そう思って、サカタが金持ってきたと嘘をつき、俺の貯金してた五万をおかんに払い

あとはサカタから五万を手に入れるだけとなった。

でも、サカタはどうせ払われへんやろうなと諦めていた。
俺は金がなくなりタバコもケチりながら吸っていた。

いつものように学校から帰ってきた俺はテレビを観ていた。
そんな夜中。俺の携帯が鳴る。

サカタからの電話だった。
「今から行くわ」

五万を持ってくるのだろうか?不安に思いながらもサカタを待つ。

数分後、誰かが俺の部屋の窓を叩く。
俺は玄関を出た。

するとサカタがいたたまれなさそうな顔でそこに立っていた。

「おう。久しぶりやな。」俺はサカタに言う。
するとサカタは「ごめんな。はい、五万。」

五万を受け取った俺は安心して、やっと心が落ち着いた感じがした。

そしてサカタはこう言い残しモンキーに乗って帰っていった。

「俺よ、子供出来てよ、これからメッチャ働かなあかんねん。せやから、もう会うことなくなって行くやろうけど、また子供産まれたら、見に来てや。」



それ以来、サカタは学校をやめ、俺との付き合いもなくなり、今もドコかで頑張っているのだろう。



【原付免許】

誕生日を迎えた朝。

サトシを拉致って、満員の電車に乗り込み、痴漢と間違えられへんように、両手で吊革を握り光明池の教習所へ。

目の検査や手続きを済ませ教室へ。
教室は、既に人で溢れてた。

教室に入ったときのヤンキー特有のガンつけにムカつきながら、自分の席へ座りボケェーとしながら開始を待つ。

教官が来てテストの紙が配られる。

「まだ見ないように!」

と教官が言ったのを聞いてなかった俺はテスト用紙をマジマジと見ていた。
「コラッ!そこ!まだ見るなって言うたやろ!」
って言われ視線が集まる。

『うわぁ…恥ずかしい』
と思っているとテストが始まる。
テスト用紙の答えの所を黒く塗り潰す作業をしていた。

『やばっ!あんま分からへんし。』
そう思いながらも手当たり次第答えを書き、テストは終わっていった。

合格発表まで時間があったので、自販でジュースを買い、サトシと教習所で出会った学校の嫌なクラスメイトとそいつのツレと時間を潰す。

合格発表。

俺は席に着き、電光掲示板に俺の数字が出るのを待つ。

しかし、俺の数字が光ることはなかった。

合格しなかった者達は別室に呼び出され、何点やったかの数字だけ書かれた結果の紙と、最初に渡した自分の証明書を突きつけられ、帰らされた。

俺の点数は44点やった。あと一点で合格だった。

やる気をなくした俺は二度と原付免許を取りに行くことはなかった。



【膝蹴りくらってたアイツ】

年上の友達が二人増えた。

モリ君とヒデキ君。

モリ君はスロットが好きで小柄でパツキン。
ヒデキ君は背が高く、いつなりガムを食ってるパツキン。

俺たちグループ全員で学校の帰りに駅前で、ストリートしてる人等を観るのが日課だった。

その日もストリートを観ていた。

俺とヒデキ君とモリ君は目の前にある駅のトイレに行った。

モリ君は何か嫌なことがあったらしく、トイレの壁をバシバシと勢いよくどついていた。

すると、高校で知り合ったかなり性格の悪い、誰しもやっかいと思っている、俺の地元の年上。あのタイマンで膝蹴りをくらってたヤンキーがトイレに入ってきて

「お前、うっさいんじゃ!シバくぞ!」と言って
モリ君の胸ぐらをつかみ壁に背中を勢いよく押し当てた。
顔面を、1発。2発。本気でどつき始める

初めて聴いたかもしれん。無防備な顔面がガッツリとどつかれる音。

俺は急展開について行けず、ヤバイヤバイとあたふた。
するとヒデキ君が「きっつんは外出とき!」と言って俺を押し出す。

俺はどうしたら良いのか分からず、ただストリートを聴き流し、トイレの方を見ていた。


数分後

上の子は出てきて平然とその場をさっていき

次に、モリ君とヒデキ君が出てきた。
モリ君の目元は紫色になっていた。

漫画であるような、まさにパンダだった。


【恋愛下手】

普通科にアヤナちゃんと言う女の子がいた。
俺らは関わりを持ち始めた。

俺はメアドを聞かれ頻繁にメールもしてた。

正直、誰もが認めるぐらい可愛い子だった。

小柄で愛嬌があり、黒髪ショートカットがよく似合う女の子だった。
なんで定時制にきたのか疑うぐらい清楚な子だった。

正直、可愛いとは思った。でも、興味はあんまりなかった。

日に日に仲良くなっていくなか、ヒデキ君がアヤナちゃんの事を好きと言うことも発覚した。

そんな最中のまだ寝苦しい夜中。

俺は暗い部屋で横になりながら、アヤナちゃんとメールをしていた。

「キッツン面白いし、好きになってしもた。」

正直、ビビった。
えっ!?まじで!?
可愛いから付き合っても良かった。
でも、あんま興味ないから悪いし、ヒデキ君の事もあるし
そう思って俺は「ごめん。」そう返した。

平和にメールが終わった頃。

俺はチャリに乗り夜中の街をうろつき、パチ屋の旗をパクって帰って来るという意味不明なテンパリ行動をして終わっていった。



あの日から何日たっただろうか

体感ではだいぶたったがまだまだ熱帯夜が続いていた。
なんか知らぬ間に、アヤナちゃんとヒデキ君は付き合っていた。

よく、ヒデキ君から相談されたの覚えてる。
アヤナちゃんとヒデキ君が喧嘩したときとか、ちゃんと答えを出してあげた事もあったっけな。

でも、そんなこんなしてるうち、アヤナちゃんとヒデキ君とモリ君は、俺たちの目の前から完全に姿を消した。

しらぬまに学校も辞めていた。
今も、会うことはない。



【女が絡むといつもろくなことがない】

ある夏の日。

タケダと俺は遊んでいた。
タケダからの紹介で女の子と知り合う。
その女の子と夜な夜な遊んだり、家に行ったり来たりもした。

ある夜中。

蚊に刺されながらもその子と遊んでた。
「まだ付き合ったこと無いねん。」

そう言うので「じゃ、試しに俺と付き合うけ?」

それを期に俺らは付き合い始めた。


付き合ってたった何日しかたっていないある日。

たまたま用事でよくその子と遊んでた公園を横切ると
タケダとその子が居た。

ん?と、よく見ると2人は抱き合ってた。

頭がパニクった俺はなぜかタケダに「よっ!」と片手をあげ通り過ぎる。

しかし急にスイッチの入いった俺はチャリこぎながらタケダに電話。

「お前、何してんか分かってんけ!?」
とひたすら愚痴り、タケダを違う公園へ呼び出した。

タケダがチャリに乗って現れ、降りた瞬間に俺はタケダのチャリを蹴り飛ばし、肩を押す

しかし、タケダは空手黒帯。片手ガードで弾かれる。
「何ガードしてんな!」と意味不明なキレ方をし、手を出しても負けると、とりあえずタケダと話し合う。

「お前、触れへんとか、変なことせん言うたやろ?」とタケダが言う。

話は戻るが、付き合う前にこんな事があった。
タケダと俺は手紙のやり取りをしていた。
その時俺は誓いの文をタケダに送った。

過去にあったような俺の性欲暴走行為はもうしない。

そう書いたのだが今の彼女の乳触ったりしてた。
それをタケダは相談され俺と敵対しているわけで。

結局、タケダにそれを言われた俺は負け、タケダに彼女をよろしくと言い残し
俺は涙を流しながら街を駆け巡った。



【忘れた頃にこいつは現れる】

季節は秋に移り変わり、すっかり寒い季節になっていた。

あの日以来タケダと関わりを持たなくなっていた俺は遊べる奴が居なかった。

そんな中、街はだんじり祭りで賑わっている。

俺はカトウグループと昔にたまっていた駄菓子屋のイスで寝ていた。

そこへカトウがツレを連れて現れる。
高校のツレらしい。

俺はカトウと別れたあの日からカトウと会っていなかった。

『まぁ今日ぐらいえぇか』

そう思った俺はカトウ等と行動することに。
カトウが「お腹すいたぁ」と言ったのがきっかけで焼肉屋に行った。


これでもか!ってぐらいにカトウらは注文する。
流石、スポーツマン。いや、スポーツウーマン。
俺は腹減ってない(基本少食)ので観てるだけ。

カトウらはがっつくが、次第にペースが下がり飯を残してしまう。

勿体無さそうな顔をするので
「しゃーないなぁ。俺が食っちゃるわ。」
と言い俺は残り物を片づけた。

ツレに「キッツンて目付き悪くて顔怖いから、話しにくかったけど、実は面白いし優しいな。」と言われた。


そのあとカトウらはだんじりを曳きに行ったため

俺は暇人になり、また駄菓子屋で寝ていた。

夕方6時頃。

ミナミが現れ、まもなくしてカトウ等も現れる。
しかし、何時間後にミナミは久米田のツレの所へ。

カトウ等はだんじり観に。

俺は暇になり家路につくが、なんか虚しくて泣けてきた。



俺は夜更かしして夕方起きるという昼夜逆転生活をしていた。

そんなある休みの日。

空がオレンジがかった夕方、暗いオレンジ色に包まれた部屋の中、俺は目覚めた。

ピン!っと勘が働く。

『駄菓子屋…行かなあかん気がする天井を』

なんの用事もないが、そんな風に思った俺は駄菓子屋へ。

案の定、カトウのチャリが。

俺はカトウが忘れられなかったらしい。また好きになっていたのかもしれん。いや、好きなままやった。
おもむろに駄菓子屋に入った俺は、猫を膝の上でなでてるカトウと喋る。

そこへ
昔、仲の良かったグループが現れ、カトウと遊びに行く計画を立てていた。

俺は嫌気がさし帰る。

その帰り道、カトウに告白メールを送るが

撃墜。



クリスマスも正月も何もなく終わり
ただ平凡な毎日を過ごし、俺の高校一年は終わっていった。

単位も一個も落とさず

次の学年へ。


おわり

高校2年

だいぶクラスメートは減り(辞めていった)

嫌な奴は消え、仲良かった奴も大半目の前から消えた。

そんな蒸し暑いある梅雨時、俺は遊びに誘われる。

ほんと久々な地元のツレ等。サワのグループだ。

ウキウキ気分で集合場所である地元の総合体育館前へ。
しかし、その時なんでか毛嫌いしてた女の子が居た。


でも喋ってみれば素直に良い子で、なんか雰囲気も変わってた。
なんで嫌ってたんやろか?それが頭の中を駆け巡る。

この誘いがきっかけで、このグループと頻繁に遊ぶようになる。



このグループとも仲良くなってきた。
そんな時。

サトシが俺が毛嫌いしてた女の子【アシモト】に恋をした。

俺は相談うけた。来る日も来る日も。

相談を受けると、アシモトを観なければならなくなったり、考えなければならなかったり

そのお陰で、アシモトの良い所ばかり発見してしまった俺は恋心を抱いてしまった。

しかし、サトシのためだ!と、自分に言い聞かし、極力考えないようにする日が続いた。



まだまだ夏の日。

俺らはなぜかグループ名を付けることになる。
いろんな案が出て

その当時、皆の口癖になりつつあった、すこぶる(もの凄い)と言う死語を由来に

スコーピオンブルーと言うグループ名が決まり、ホムペも作った。

このホムペで気軽に交流が図れるようになり、更に俺らの絆が強く、深くなったような気がした。

皆で泊まりに行かないか?と、誰が言ったのかも知らない案に皆が乗る。

とある山にいよやかの里と言う宿泊の出来る 温泉がある。

それに泊まりに行くか?な案がどこからか沸いて出てくる。

ほんまに行くんかな?と半信半疑やったが、内心楽しみにしてた。



【トレンタ】

いつも集まる場所。
総合体育館の近所にに喫茶店がある。

誰が行き始めたか知らんが俺らの溜まり場と化す。

マスターも奥さんも良い人で、若いから話も合わせてくれるし最高。

店名はトレンタ。30と言う意味だそうな。

俺らは頻繁に行ってた。



【いよやかの里宿泊】

宿泊計画もまとまってきてた青春の夏。

ついに

ついにその日が来た。
俺はほんまにウキウキやった!

いよやかへ行く当日。

泊まりに来てたサトシと早起きして、全て用意をこなし、いざ集合場所へ。

俺らが一番乗りかと思いきや、座ってる女の子がいた。
あだ名は【ハッサン】が目に映る。

とりあえず3人で時間を潰していた。

次々に集まるツレ等、バスを手配していた俺らはバスが来たので荷物を載せ、バス内で残りのツレを待つ。

残りのツレもあっという間に集まり、総勢十何名で、いよやかへ向かった。
なんでやろうか。
ツレ等と泊まりに行くって事が凄い楽しい。

いよやかの里に着いて、チェックインした俺らは部屋に向かう。

101号室と書かれた扉を開け、部屋を見渡した。

全畳張りで案外広い。

右に一部屋
真ん中に一部屋
左に一部屋

すぐ外には川が流れていて、家族達が賑わっている。

物凄い平和やなぁ。そう思いながら上の子ら男軍団と煙草を吸っていた。

可愛らしい花柄や渋い浴衣をレンタルしてる場所がいよやかの里にはあるらしく、女たちは浴衣を借りに行って戻ってくる。

右の部屋と真ん中の部屋を使い、俺たちはのんびり。

左の部屋はふすまを閉めて、女の子たちが賑やかに浴衣を着替えていた。
素晴らしい。心のなかでニヤニヤしていた。

「【テリー】可愛い~。」

テリーとは【テルイ】の事だ。
まぁこんなこと言うたら悪いかもせんが…
テルイは俺らと同い年には見られんくらいに小柄で可愛らしい女の子だ。
性格は…子供っぽい。
思わず頭を撫でてあげたくなるときもあるが
案外、口キツいからせぇへんけど…。
俺からすると、なんか妹みたいな存在だった。

俺の頭でテルイの浴衣姿が浮かぶ。
(うん。可愛らしいやろうな。)

スーッとふすまが開かれる。

色とりどりな浴衣姿の女の子たちが目に映るが、何となく直視することはできなかった。

アシモトがチラチラと目に映る。
(黒の浴衣か…似合うな。バリ可愛いし…。)
そう思うが、あかんあかんと思いながらタバコを吸っていた。


サトシと俺は風呂に行きたくなり、着替えのパンツと浴衣を持ち、風呂へ向かった。
頭、体を手際よく洗い、風呂に浸かる。

「景色良いよなぁ。」
そう俺らは言いながら窓の外を眺める。

「夏の景色も良いけど、冬の景色も観たいでなぁ。」
サトシはそう良いながら外を眺めていた。

ある程度浸かった俺らは風呂から上がり、浴衣に着替え、部屋に向かった。


風呂の前に、汗をかいている美味そうなコーヒー牛乳があったが、この頃はまだ働いていなく、金を惜しんで部屋に向かう。

101号室の扉を開くと、なんだかさっきより賑やかだった。

畳に座ってるみんなの手を見て俺は
「あぁ~。先に飲んでるやんかぁ。」
みんな酒を飲んでいた。

まだまだ外は眩しい時間だった。


そうなぁ…
知らん間に 結構飲んでたか…

みんなテンション上がる上がる。
たぶん隣の部屋や上の部屋には迷惑かかってたやろうな。

だって、部屋の外の廊下に丸聞こえ…。

「あっ!そうや!」
テリーは立ち上がり鞄を覗きに行く。

戻ってきたテリーの両手には大量の箸が。

それが意味するものは…

「王様ゲームするぞ。」

やはりか…やはりやるのか!?というか、やるやんけテリー!
ちょっと期待はしてたがいざツレ等でやるとなると緊張するもんだ。

箸に数字と王様を書き、始まる。
最初は軽く…軽く…腕立て…腹筋。


やがて時間は経ち、誰かがピンクな事を言い出すタイミングを見計らっている。

そろそろ来そうやな…。

「何番が何番にキス!」

キター!!


本当の王様ゲームが始まった。


もう…やばかったよ。
正直 このツレ等でこんな激しくなるのは予想してなかった…。

飲み物口移しや…ディープ

あかん…理性が。

キス
それは日常ならツレ等ですることはまず無いやろう。

そんな事さえ平気で命令して、その命令を受けて

人間って不思議…。

賑やかに…そして…危なく終わっていった。


ゲームの最後らへんで数珠が切れる…

霊?を見るようになってから着けてた数珠と
新たに着けてた数珠。新たに着けてた数珠が切れる。

場の空気が一瞬静かになってた。



みんなが布団に入り始めた時。

俺はサトシに心にもないことを言う
「アシモトの横に行って寝てこいよ。」

たぶん、諦めたかった。
いや、逃げたかった。

サトシがアシモトと寝てるとこを離れた場所から見て凹んでたの思い出す。

ちょっと時間は戻るがマイコに相談された。
まいこはサトシが好きだった。

サトシはアシモトが好き…
マイコはサトシが好き。

マイコは諦めるみたいな事を言っていた。
「諦めるなら、そこまで好きじゃなかったって事やで…せめて告白してみたら?」
サトシもマイコも応援する俺。
八方美人で軽く罪悪感を覚えてた。

そして逃げようとしてる俺。
俺には言える資格はなかった。


なんか寝れなくて、起きてる連中と喋ってた。

寝るときには結構あかるくなっていた。
誰かが朝風呂入ったけな…。

なんか…賑やかだ。数名の声が聞こえる。

堅く閉じられていたまぶたを開けて、眩しい日差しに対してメンチを切り起きあがる。
それは楽しかった時間の終わりを意味してる。

1日だけの宿泊だったから。


行きは賑やかだったバスも、帰りはまるで修学旅行の帰りのように地味に賑やかで、地味に静かだった。KY(空気読めない)が流行り始めそうな時期で、ボケで使ってわらかせてた。

地元に帰ってきた俺らは、解散かと思いきや遊びに行くことになったのだった。

某15分百円の所に行ったり、公園に行ったり…

帰ってきた頃には辺りは暗く、地味に涼しかった。


次の日に慣れたいつも通りの時間が流れても、楽しかった時間を迎えてしまうと、慣れた時間はなんか寂しいもんや。


もう夏も終わりだ。


【15分100円って施設あったよな】

某15分百円の店にいつものグループで行った。
個室かりて映画観てた。

徐々に人数へっていって、残るはテリーとアシモトと俺。

個室に一瞬にいるだけで、心臓は爆発しそうなぐらい鼓動を増す。

映画観てたけど存在を気にしてばっかりやった。

ある意味それが楽しかったのではないかと今は思える。

映画観終わった後、バク天と言う番組みて、頭使う問題とかを3人で答え考えてたりした。


気がつくと辺りはすっかり暗くなり、俺らは帰ることにした。

この帰り道はよくよく考えれば告白するチャンスやった。

しかし、頭にはサトシが引っかかってたんやろうか。いや、怖かったんだ。

普通に楽しく帰っていた。

ポリにチャリをパクってないかと調べられたりしたが、もう慣れたことだったので。

「今からどこ行くん?」
「帰りやで。」
「あっ、そうなん?〇$☆〆番。」
ポリは時折無線に番号(チャリの盗難防録)言っていた。
まぁ当然三台とも異常なし。
「…はい、OK!ごめんやで!んじゃ気ぃつけて!」
「はいよぉ。ご苦労様でーす。」
いつもこんな感じだった。

俺らは普通に帰り普通に終わっていった。


でも、心は何か寂しくて。
夏の終わりの夕暮れって、なんとも言えん寂しさない?


【バイトってこうなん?】

時間は流れ、トレーナーは着らなあかんぐらいになってた。

サトシのバイト先に誘われる。
サトシのお父さんが店長してるため、直で俺に連絡がくる。

今までいろんな所に手伝い行ってたけど、バイトは初めてだった。

お父さんと話して、即採用。

その時は嬉しかったし、サトシの顔もあるし頑張ろう!と思ってた。


バイトの日。

サトシは泊まりにきていた。
なかなか寝付けんくて、朝方にサトシは寝る。
俺は愛犬【リュウタ】と散歩してから寝た。

10時頃に起きて、サトシと電車に乗り込み
バイト先へ。

案外遠い。


「十二時から入ってほしいんやけど、じき来る人おるから、その人来たら入って来て。」
とお父さんに言われ、着替えて大人しく二階の休憩室で待っていた。

時計を見ると十二時を回っていたが(待っとけって言うたよな?大人しく待っとこ。)
そう思いながら待ってると、パートのおばちゃんが階段をかけ上がってくる。

「何やってんよ!?早よ入ってや!!!」と急に怒鳴られる。

「え?」

(なんで怒られらなあかんねん。)
イライラしながら帽子を被り降りようとすると、お父さんが言っていた人であろう方が急いで上がってきて
急いで着替えていた。
その慌てっぷりからみて

遅刻だった。

(こいつ遅刻したから怒られたんか俺。お父さん、ちゃんと言うといてよな。)

最初はいろいろと教えられる。

しかし、寝不足がたたり特技の貧血が…
うずくまってしまい怒られる。

忙しい昼時を越え、休憩時間に入る。

まかないをサトシに作ってもらい、食べて休憩室でゴロゴロ。


その日を終えた頃にはバイトをなめてた俺を知る。


二日目

朝から入った俺は、パートのおばちゃんにいろいろと教えられる。

そのおばちゃんは優しくて楽しかった。


三日目

パートのおばちゃんに教えられたとおりの
並べ方のチラシ(チラシ寿司の上に乗ってる具の並べ方)を作る。

それを出そうとすると怒られる。

「なんや?この並べ方。違うって。」

いやいやいや!教えてもらった通りにやったし!短気な俺は、もうキレたかった。
サトシの顔潰さんようにしてたけど限界きそうやった。

次は作ったご飯とかをホールの女の子に渡すときに怒られる。
「なぁ!渡すときはお願いします言うてや!」
はぁ?そんなん教えてもらってないしよ。

次は上の子に

上の子が水だしっぱで、でかいご飯の釜?に水を入れていた。

それを放置して違う作業をしだした。

(あぁ…水溜めてんかなぁ)
そう思っていた。

すると、上の子が戻ってきて怒られる。

「こんなに水ためたあかんやろ!!」

いやいやいやいやいやいや!おかしいおかしい!あんたなんも言うてへんし、自分でやったやんけ。


もうひたすらそんなん。
いじめられてんのか俺?
言い返せないし、連続で問題ありすぎて、帰りの電車で泣きながら帰って部屋で凹んでいると
店長から電話。

「悪い!明日も入ってくれへん!?」と言われたが

「もう、無理です…。すんません…バイト先いくの…恐いんです…。」


サトシには悪いがやめたった。


【5年は働いた工場】

【マツノ】と言う先生がいる。
一年の時、板金の授業を担当していた先生だ。
元ボディビルだけあって、ガタイがかなり良い。
メガネ、ボウズ、ツナギ、渋い喋り、時に笑かしてくる…印象的な先生だ。

そのマツノに俺は呼び出される。

「なんか用?」
「キッツンさ、バイトする気ない?」
ちなみに学校の先生は皆、俺をあだ名で呼んでくる。
「なんのバイト?」

それは工場でのバイト。内容は簡単。
人はおやじばっか。三十~六十歳。

だから、仕事帰りとかに拉致られることはないという。
若い年の子が働いてると、遊びに行くのついてかされたりとか。

まぁ 拉致られることがないなら、出会いもなくなるわけだが…。ましてや工場だ。

女なんていない。


次に、マツノは社長や社員等の話をしてくる。


社長はやる気満々。

ってか社長が率先して仕事を行っているという。
社員はやる気がイマイチ無いらしい。なんつーか、適当って感じ。

まぁ仕事ってそんなもんかな?それが当たり前か。

社長は優しく…ってか口調がのんびりで仕事も そんなに急かされることがないとマツノは言う。
それは信じてはなかった。
後々、信じてなくてよかったと思う日が来る。


とりあえず今度見学させてと俺は言った。
俺でもいけるかどうか、ちゃんと調べらな前のようになりかねん。

それだけは避けて通りたかったから。



約束の日

朝10時半ぐらいに電車に乗り込み、いつもなら降りる理由がまったくない駅に降りる。

バイト先に行くために乗り返らなあかんから。

貝塚。その駅に降りてその駅内にある水間鉄道。名付けて水鉄に乗り継ぐ。

280円を切符券売機に入れて最高尾にあるボタンを押す。

水間って駅に降りるんだが、そこは終点駅。

(これはめんどいな…。)そう思いながら狭くて古くさいホームで電車を待つ。


……

待てど暮らせど、なかなか電車が来ない。
屋根にぶら下げてある時刻表を見上げると、1時間に3、4本の電車しか来ないことが発覚。

(だるっ…。)仕方なくタバコを吸って時間を潰していた。



やがて、日頃は待ちわびることもない電車が来て乗り込むと、南海電車と違い車両は2両しかなかった。
イスもちっちゃくて、手すりも田舎臭い作りだった。

さすがに昼時なだけあって、あんまり乗客がいなく、イスが空いているため座ってボーっとしていた。

何個か駅を過ぎると車掌さんがうろちょろしだす。

カチャカチャと何かを鳴らしながら

すると1人のおばちゃんが呼び止める。何やらお金を払っている。

車掌は紙切れをカチャカチャ!っと軽快に挟む。

そう、切符だった。

マジか。
俺は昔にタイムスリップでもしたか?そう思ったが
水鉄ではこれが当たり前らしく、年老いた方は車掌から切符を買っている。
若い人は俺と同じで券売機で買っているみたいだった。

やがて10個目の駅。終点の水間駅に着く。
時間は11時半だった。


水間駅に着いた俺は松野に電話。

前に電話番号を交換していた。
アドレス帳にはゴージャスマツノと記載している。
「なんて入れとこか?」
って言うたら、ゴージャスマツノでいいと本人が言っていたので。


「え?もう着いたん?早いなぁ。まぁ今から行くわ。」
多分、家にいたんだろうか。電話からは数名の声が聞こえていた。


駅前で待ちぼうけをし、10分ぐらいたったころ旧型のマーチが現れる。

なぜかナビシート側のフロントガラスが割れていた。

そのマーチに乗り込み、まだ時間が早いので工場近くのコンビニへ。

暖かいコーヒーをおごって貰い2人でちびちび飲んでいた。


12時頃

みんなの昼飯時を狙い工場へ。
まだ作業をしていたが工場内をうろつかせて貰う。

社長につれられ工場を一周。なんか簡単そうに見えた。

昼飯の時間になり、事務所へ。

社長と喋ることに。
あらためて社長を観ると、かなりみすぼらしい…。
トレーナーとズボン靴までもボロボロのドロドロ。
メガネをかけていて、寝癖だろうか…髪の毛はボサボサだった。

社長は足を組みながら喋り出す。給料は時給750円。時間は朝8時から夕方5時頃まで。

などなど。

しかし、俺は社長に言わなくてはならないことがあった。

母子家庭の事だ。
それがからみ、普通に働くわけにはいかない。わかる人にはわかるのだが。

一通り話し合って、俺は土日にバイト入ることにした。

この土日って選択が、のちのちミスっていたなと思う。



朝6時に携帯のアラームが俺を呼ぶ。

さぁ…初出勤の日です。

飯を食って、着替えて、6時55分…

出発。
チャリンコをこぎ出すが、寒い!体が拒絶するかのようにガタガタブルブルと震えがとまらん。
ドカジャン着てんのにアホみたいに寒い。

まぁ今は十二月。
夜、学校行くときも寒い。

地元の駅で電車を待ち、乗り込んで貝塚へ。
水鉄に乗り換えバイト先へ
水間の駅から歩いて10分弱かかることが発覚。
工場に着いた頃には8時15分

15分の遅刻。

(…いや、大丈夫。電車が悪いんやし。うん。)
自分に言い聞かし事務所へ。

社長と奥さんがコーヒーを飲みながら座っていた。
別に怒られることもなく、普通に仕事を教え込まれた。

結構覚えてくのは簡単だった。

力を入れて、商品に加工するクソでかい木の板やシートを持ち上げようとしてもピクリとも動かんかった…。

(ここまで力いるとはなぁ…。やられた…。)
社長等は見た目普通やけど、少々力んでいるが慣れた手つきで板やシートを持っていく。
とうぜん奥さんも。それに唖然としていた。


その次の日
まだまだ仕事を教え込まれる俺。

日曜日だけあって社員等はいない。第2土曜も休みらしいが。


休憩時間も、昼飯休憩も1人。

なんか良かった。

まだ社員等と仲良くないし、気軽にやれて良かった。

バイトから帰ってきた俺は風呂入って飯食って寝たが…
次の日、筋肉痛に苦しみながら

生活した。



【サンタ兄貴】

もうじきクリスマスか…。

そんな時、兄貴に拉致られ、車で靴屋や服屋いろいろ連れ回される。
おかんとばっちゃんのクリスマスプレゼントを探しに。
でも、それだけじゃなかった。

俺に長財布と、靴を買ってくれた。
素直に嬉しかった。

「俺もお返しになんか買うで。」そう俺が言うと
「…んじゃ、コーヒーおごってくれ。」
「…。」俺は固まる。
だって、長財布と靴で 一万は越えてる。俺からしたらすごい大金だ。

「マ、マジで!?」
そう言うと兄貴は笑顔で頷いた。

自販機に向かった俺と兄貴。
「なんのコーヒーがいい?」120円を入れて押してくれ合図を送る。

兄貴はボタンをポチッと押し、軽快に出てきたコーヒーを取り出し一言。
「…弟からコーヒーおごってもらえて、幸せやな俺は。」


俺は母親や親父は嫌いだが、兄貴だけは大好きで尊敬している。



【仲間外れ?】

冬休みに入っていた。俺の記憶じゃバイトやった。冬休みやから土日関係なしに。

別にそれは良かった。バイトならバイトで。
どうせすることないし、彼女いてるわけでも、ツレに誘われたわけでもないさ。
だから良かったんだ。

わざわざ俺が調べたことで、こんなにも凹むこともなかったはずなんだ。

どこから沸いてくるんだ。この悔しさ…。
どこに向ければいいんだ。この腹立たしさ…。

その日は仕事して帰ってきたよ。
夕方五時に帰ってきたよ。

いつものことで普通だった。
疲れたなぁ。することないし眠いから寝よってさ。

こんなにトチ狂ったのは

後の話。



正直、場を盛り上げれる訳じゃない。
俺が居たって、人数が増えた。
ただそれだけだと思ってる。

でも、みんなは友達やと思ってるし、一緒に楽しみたいし、一緒に時間を過ごしたいと思ってる。

遊ぶ約束をしたらその日まで頑張って生きてる。
口べたやし楽しいんやけど、より一層楽しくしようと思ってる。

みんなが好きやから。大切やから。

アシモトのサイトがある。それは前に教えてもらったところだ。
何となく……。いや、正直にいうと好きやから気になって観てみた。

日記を。
12月24日の日記を。

読んだ瞬間、気持ち悪くなり目眩がした。

それは体調が悪くなった訳じゃなく思考回路が停止したがってる合図。

自分にとって不利なこと、自分にとって愉快じゃないことが起きると一瞬、目眩がする。
『もう、考えるな。もう、観るな。』

現実から夢へ送るために全機能を停止させようとする。

それと同時に冷や汗が流れ手が動かなくなり

無数の水滴が重力に逆らわず、携帯と堅く握った手にポタポタと。

涙が流れていた。

悲しいと思うよりも先に、声を出すわけでもなくただ涙が溢れる。俺は泣いてる。

そう気づくと声にならない声が出てくる。
俺は悲しい。悔しい。寂しい。

携帯を壁に投げつけ俺はうずくまった。内容は簡単なものだ。

すこぶるの皆でクリスマスを過ごしてたんだ。トレンタ貸切で。


別にそれは良かった。
でも、せめて誘ってほしかった。

俺、バイトやけど五時に終わるし、充分間に合ったはず。

なんで?
なんで連絡も何もなかった?

俺はハブられた?嫌われてる?


こんなにもなるぐらいみんなが好きなのに。



あの日から、ずっと悩んでた。
俺の部屋はただたんに物が散らかってるとは言いがたいほどグチャグチャになっていた。

俺が荒らした。あたる物がそれしかない。

そんな中、もう12月31日、とりあえず部屋を片づけて気持ちも一緒に整理する。

いつもの事だ。

気持ちが落ち着き、紅白を観ながら髪の毛を切っていた。
自分で切るのは抵抗があったが、伸びきった髪の毛も切ってスッキリしたかったんだろう。女の子の失恋のようにじゃないけど。

だいぶスッキリした。スッキリした気持ちで
十二時を回り、新たな年が幕を開けた。



【運転練習】

新たな年を迎えて数日後の夜。

兄貴が家に来た。
「今日暇か?」と飯をガッツキながら俺に言う。

別に予定は何もないので頷いてみせると、ゴミ捨てるの手伝ってくれと笑顔で言われる。

まぁゴミぐらいならと思い、兄貴に拉致られる事にした。


兄貴の家に行きゴミを捨て、ついでにいらんらしいジーパンを貰う。
んで、軽トラ(仕事用)で海の近くまで連れて行かれる。

何すんやろうか…そう思っていた。


兄貴は軽トラから降りて助手席に。
俺は運転席に。

前もそうだった。
洗車するからと、よく拉致られたことがあった。
その時はキューブでバックの練習させられたもんだ。
バックしてる最中に他人が洗車しに来て慌てたのを思い出す。

とりあえず今回はミッションの発進、停止の練習をさせられることになった。
いつだってそう。兄貴は唐突に行動する。
典型的なB型だ。
俺が嫌がってもひたすら引かない。

ウチの家は俺も皆も頑固者だ。一度決めたら突き進むタイプ。

人通りもないし、車も数台しか通ってないけど怖かった。

でも、運転せざるおえない状況。発進の仕方や停止の仕方を教えられ、いざ発進。

クラッチを踏み込み1速に入れアクセルをち気持ち踏み込み
クラッチをゆるめていく。半分ぐらいゆるめていくと、グンッ!と前に進み出すのが分かる。
そこで左足は止めておく。これが半クラと言われるものだ。

これを一気に離してしまうとエンストするので、なかなか緊張する。
でも、エンストする理由と構造を覚えると分かりやすい。

発進して、アクセルを離しクラッチを踏み込み2速へシフトチェンジ。

次はウィンカーだして曲がっていこうとすると、左側にハザードを出して止まってるトラックが
「よし。あのトラックのケツに止めよか。」
兄貴がそう言うので、トラックのケツにいき
アクセルを離しエンジンブレーキして、クラッチを踏んでブレーキをじわじわと。

そんな感じで終わっていったが、エンストをまだ経験してなかったのを後々後悔する。


【一人で舞い上がるキモい年頃】


次の日バイトやし、疲れたから、その日は夜十一時過ぎに寝た。

朝三時になぜか目覚める。
「しくった…目ぇ覚めて寝れん…。」
まぁいいやというノリで起きてた。


朝の五時過ぎ。
ばっちゃんが毎日兄貴を電話で起こす時間だ。仕事いく時間やから。

俺の部屋にかすかに声が入ってくる。
どうやら兄貴は電話に出ないらしい。

たぶん爆睡しているのだろう。

部屋から出た俺はばっちゃんに一言。
「直接行って起こしてくるわ。」

ばっちゃんの慌てっぷりからみて、たぶん兄貴は遅刻しそうなので。
チャリに乗り爆走。

はぁはぁ言いながら兄貴の家のインターホンをピンピピンピピピンポーン!と連打。
ガチャガチャと力なくドアが開く。
見るからに寝起きな兄貴が見えた。

「仕事やろ?頑張れよ!」そう俺が言うと
「お前、仕事やのに起こしに来てくれたんか?」と言われる。
俺は作業着を着ていたからか。

「まぁ早起きしたからさ。」
「ありがとう。」
「んじゃ頑張って!」
「お前もな。」

そして俺は帰る。
まだ時間があったのでリュウタと散歩してからバイト先へ

鉄板を500枚流すはめに。
(だ、誰な!こんなに注目したやつは!?)

昼間の休憩時間に
(む、むちゃするんじゃなかった…)
と思いながら寝ていた。

バイトあがってから、めっちゃしんどい……と思ったが
じきにアシモトの誕生日やから稼いどかな。と1人で意気込んでいた。


その日もバイトしていた。
正直、風邪気味やったけど頭の中は結構パラダイス。
今日はアシモトの誕生日だ。

ちゃんと事前に誘ってあるし、金もある。
風邪気味を除いては完璧だ。

5時過ぎにバイトあがって、いつもより1分でも早くて良いからと言う気持ちで急ぎながら帰った。

6時過ぎ地元に着いて連絡して、アシモトのおる場所へ。
アシモトとツレが2人いた。
ほんまは2人で行きたいが、約束するときに「誰か呼びたいんなら呼んでいいよ」と俺は言っていた。
本心ではないが、俺は"優しい奴"を気取っていたのだろう。

俺をあわせ4人で岸和田のカンカンベイサイドモールへ。
うろちょろしながら、どのチャンスでプレゼントを買うか考えていた。

金には余裕がある。2ヶ月分の給料が手元にはある。ケチケチしたかいはある…。

あとはアシモトが目を付けたものをさり気なく買えば…と思っていた。

服見たり、鞄見たり。そのアシモトの行動をみる。自分でキモイなぁと思いながら…。
アシモトがカバンを観ていて、ツレに背中を押されカバンを取りレジへ。

なんか勝手な行動にしか見えへんやろうけど、俺にはそれが限界の行動だった。

1,000円。
そのカバンの値段だ。感づいてたのかツレに言われたか。遠慮してくれたみたいだ。
まぁ…それはそれでと思いカバンを渡し、終わっていった。

帰り道、送っていこうか迷った。
やましいことや何かあると思われると思い、送るのはやめた。

ただ逃げたのだ。


結局、気の気いた事が出来ずに、後悔が残り終わっていった。


まだ風邪気味でバイトへ。
筋肉がパンパンになりつつ仕事をこなしてた。
三時の15分休憩が終わり仕事再開。
ちょっと板にもたれ掛かっていた。
(あたま痛い…)

すると奥さんが来た。
「どうしたん?眠たいん?」
「いや、ちと風邪気味なんすよ。」
そう俺が言うと事務所へ連れて行かれる。

風邪薬と栄養剤をもらい両方飲んで仕事再開。

6時過ぎに地元に戻ってきて、おかんとばっちゃんが好きな飴が売っていたので買って帰り2人にあげて

ホッと胸をなで下ろすと同時に鼻血がダラーっと
「あ、あらら!?」


【ぐにゃ】

土日にバイトしてたら休みがないことが発覚。平日は学校やから当たり前。

ってなわけで木、金にバイトの日にち換えてもらった。

とある木曜日。
オガ(木クズ)を手でかき集めゴミ袋に入れて掃除してた。

あー楽~と思って掃除してた。

袋に入れるためオガを握ると、ぐにゃっとした感じがした。
オガなのにぐにゃっとはおかしい…。

パッ!と手を開くと鳥の死骸が。

「うわっ!?」と声を上げて、奥さんにその事を言って近場に埋めさせてもらうことにした。

スコップを持って工場から抜けて土のあるとこに埋めて仕事を再会した。


【吐くまで飲んで】

桜が咲き、満開に近かった頃。
花見をしようかとなりツレ等総出で花見へ。

皆、お酒や菓子を持ってきている。

上の子が神の湖(酒)を持ってきていて、俺の紙コップに注がれる注がれる…。

どんなけ時間がたったのか忘れた。

場所移動してから人数も増している。

その中さっきの酒が効いていて吐き気が…

トイレにチャリで行き指突っ込んで吐く。

吐きながら思い出したことが…。
酒のんで吐くようになったのはあの日からだった。


高校一年のある夏。
キークンに誘われた俺は岬へ。
キークンの家に泊まりにきた。

夏…のはずだ。間違いなく。みんなも半袖だし…。
しかし、岬は……寒かった…。
夜って事もあるやろうけど。普通に寒い。

キークン家の前の駐車場でサッカーをしようとなり、ツレらとサッカーをしていた。

「ほーい!キッツン!パス!」
キークンから放たれたボールは俺に…向かうはずが、俺の横を抜けていく。
「あ、あら!?」
暗くて見にくいが、ボールが消えた…。
ボチャン!という音がして、消えたのではなく落ちたのだと気づく。

「うーわ。キッツンが捕ってくれへんからや。」
「な、なんでやねん!?パスミスったん誰やねん!」
とりあえずボールを拾おうとしたが、やけに深い…。さすが田舎の側溝。

俺は、両手で体を支え、足を宙ぶらりんにして拾おうと試みた。

パキン!とケツの方で何かが折れた。え?と思う間もなく…
ブシャー!!!!と軽快に天めがけて水が噴き出す。
それは田んぼに水引く為のパイプみたいなんだった。

一瞬で、俺はビチョビチョになった。さっきも言ったが寒い。
キークンは早くボールを取って帰ろうとしている。
焦って手を伸ばしたその時にまた ボチャン!と言う音がした。
キークンの胸ポケットに入っていた携帯が落ちたみたいだ。

キークンはさらに焦り何を血迷ったか、飛び降りる。

深いが、深いだけで水はそんなに無い。

でも天めがけ吹き出している水が、キークンにもツレにも俺にもかかり続ける。

キークンの携帯は辺りも水の底も暗すぎて見つけられず、ボールだけ回収してきーくんの家に戻った。

キークンの家の前が駐車場だ。
間に道路を挟んでいるが、窓からよく見える。

何時まで経っても勢いは収まらず、ずっと吹き出していた。

ツレは帰っていき。
ビチョビチョになった俺とキークン。

キークンは風呂に入った。
風呂入って着替えるか?と言われたが何となく遠慮していた俺は、ある程度絞ってはいたがビチョビチョのまま。

朝方。
辺りは明るくなりキークンは知らんまに寝てた。
朝…なおさら寒い。
布団もないし服は生乾きやし…。

そこいらにあった座布団を布団代わりに使ってみたが…。

寒い…とガタガタ震えていると、キークンのおかんが部屋に来る。

「大丈夫?布団だそか?」

初めて見た。優しそうな顔してる。案外見た目が若々しい。

「え?あっ!大丈夫ですよ!ってか、おはようございます。」
おばちゃんは、そう?って感じに首を斜めにして部屋を出ていき、家を出ていく。こんな早くから仕事なんだろうか。

そう思っているやいなや俺は知らぬ間に寝ていた。


夕方頃に俺は目覚める。辺りは真っ暗だった。
部屋から部屋へと電気の光が射し込んでいる。

どうやらおばちゃんは帰宅しているようで、キークンも起きているみただった。

キークンとゲームしたりいろいろしていた。

今日中に帰るつもりなんだが、晩飯を食って行けと言われ、晩飯待ちをしている。
晩飯が出来たらしく、呼ばれてキークンの部屋のふすまを開け隣の部屋へ。

すげぇ…
かなり豪勢。色とりどりに机に並べられている。
俺の家では一生ないな。

好き嫌いが案外多い俺だが全部平らげた。
料理上手いんやなぁと思い、泊まらせてもらったことや晩飯など全てを含めて感謝して
帰っていった。


その日からだいぶ月日が流れたある日。

俺らはいつも通り学校へ。キークンは来ていなかった。
担任にキークンと連んでる奴らは呼ばれる。

「キタウラのおばちゃんが亡くなったそうや。」
絶句だった。

一度しか会ってないけど有り難みがあった。
「キタウラが帰ってきたときには もう亡くなってたそうや。」
「原因は頭に血がたまって…」
何を言ってんのかが分からないぐらい頭が回らなかった。
キークンが帰ってきたとき、おばちゃんは寝ころんでいたそうだ。

なんかおかしいと思って、よく調べたら息をしていなかったらしい。
寝てる間に息を引き取ったそうだ。

俺らは葬式に出ることにした。葬式の日は学校も休んで。



葬式の日。

俺ら定時制は制服がないからスーツに着替え、それぞれキークンの地元に集まることにした。

葬式場に向かって、キークンにも挨拶をして
おばちゃんにも挨拶をした。おばちゃん自身 俺のことを覚えていてくれたかは分からなかったが、俺はおばちゃんを覚えているし世話にもなった。
感謝の気持ちと、ゆっくりしてくださいと頭の中で考えながら手を合わせた。

ヒサシと言う俺のツレがいる。高校で知り合った心優しいヤンキーだ。
最初は五輪に金髪という俺からしたら意味分からん髪型をしたりしてたから印象的。
今ではロン毛だが、なかなか似合っている。
性格もいいし、ノリもいい。いつの間に仲良くなってたのかは分からないが…。

【スズキ】と言う一個上のブラジルと日本のハーフのツレがいる。
学校入った当初は、髪の毛で目が見えないくらいボサボサで、真面目そう…ってか根暗そうに見えて喋りかけることがなかった。
しかし、きーくん等と連んでいくうちにファッションするようになり、ハーフの底力を見せつけるかなりイケてるキャラになった。

その日の夜にスズキくんと俺は、ヒサシの家に泊まることになった。
葬式場からヒサシの家まで恐らく1時間以上歩いた気がする。

ヒサシの部屋でおばちゃんが作った飯を食っていた。
ウナギ丼とワカメスープ。
ウナギは苦手なんだが残したら悪いし、イヤとも言えんので頑張って食った。


後は3人分敷かれていた布団の上で喋ったり、絵描いたりして賑わっていた。
そこに連絡がくる。キークンからだった。

どうやら話の内容は、今から飲むからおまえ等も来いよ。と言うことらしい。

ヨシダさんという二個上の女の子がいる。
かなりテンションが高く明るすぎる性格だが
バリヤンキーで、何気に危ない雰囲気を漂わせている。
噂で聞いたのだが、免許取り立てで嬉しくて山をドライブしてる時に目の前にカーブがあり、落ちれば死ぬようなところで
「…今やったらウチ飛べるかも…。」と真顔で言って、かなりビビったと聞く。
そんなヨシダさんが車で迎えにくる。大丈夫か?

再度、葬式場へ俺らは向かう。もうすでに飲み始めていた。そこへ俺らも参戦。
今まで吐いたことないから平気やと思ってた。

だから、すすめられれば飲み、かってに飲み
何かつまみ飲み。飲み飲み……。

まぁキークンに楽しんでもらいたいってのもヒサシと話していたのもあった。
暗い雰囲気でチビチビ飲むよりも、明るく楽しく飲んだ方がこの場には合ってると思った。

今まで飲んではいたがこんなに飲んだのは初めてだった。

だんだん気分悪くなってくる。限界が近づいてる証拠だった。
そこへ追い打ちがかかる。
「イッキ!イッキイッキ!」
マジでか?おれにイッキしろと?…。

目の前にあるビールを手に取り、いざイッキ!

そして撃沈。

マジで気分悪い。吐きたいのに吐かない…
一番だるい…。これが酔うってことなのか?

俺は寝ころびながら唸っていた。
(あかん…マジで吐くて…)

親戚のおばちゃんがキャベジンをくれる。
飲んだんやけど…これが追い打ちに。

気持ちは速く歩いてるつもりやけど、よたよたとトイレに。

和式の近くに倒れ込み嘔吐。

ウナギ…ワカメ。
(うっ…)さらに嘔吐。

もう、駄目だーと思いながら、汚いとか関係なしに、和式の縁にデコをつき土下座みたいなポーズで倒れていた。

そんな俺の後ろから、誰かがトントンと肩を叩いてくる。
ヒサシだった。

「いける?水持ってきたろか?」
「お、おぅ ごめん…頼む…。」

ヒサシが水を取りに行って、帰ってくるまで 俺は寝てたのだろうか?記憶がない。

気がつけば目の前にヒサシが、水の入ったコップを持ちウンコ座りしていた。
俺は和式から離れ壁にもたれて座っていた。

水を渡され一気に飲み、皆の居る場所に戻ることにした。

皆の場所に戻っても俺は唸りながら倒れ込んでいた。


そんな状態で、だいぶ時間が流れたらしくキークンの家へ。

静まり返った大きな一軒家。
これからキークンはこの大きな家で1人で暮らしていくんかな。維持できるんかな……。

と思うとなぜか俺が悲しくなってくる。
キークンの部屋の床で俺は眠りについた。


たった何時間しか寝れていない…起こされ、栄養剤か何かを飲まされ葬式場へ。

同じクラスの上の子が来ていた。
「誰かぁ。ネクタイ絞めれるやつ居てっかぁ!?」
唯一ネクタイ絞めれるのは俺だけだった。

そんなに仲良く無い人やし、俺は二日酔い…
(…緊張)そう思いながらネクタイを締めてあげた。

車に乗せられおばちゃんが火葬場へ向かっていった。

俺らは海へ行ったりキークンのツレの家行ったりしていた。

夕方頃、俺は帰ることにして駅へ向かい帰っていった。


「…っつん…きっつん!」

休んでいた俺の耳が働き出す。
俺は洋式の鍵を閉めて壁にもたれて居た。

さっきまで吐いていた事を思い出す。

タツヤさんが扉の向こうから俺を呼んでいる。
タツヤさんら神の湖をくれた人だ。
「…は、は~い。」
「大丈夫?」
「何とか…。」
そうかぁっと言ったように聞こえた後、足音が聞こえる。
タツヤさんは戻っていったようだ。

(俺も戻るか…)
俺は花見が繰り広げられている場所へふらふらと戻っていった。



【難波】

だいぶ前からスズキくんが祖国ブラジルへ帰ると言っていた。

だから、友達になれた記念に何かプレゼントを渡そう。

そう考えたキークンと俺は難波へ向かった。

難波へ来たのは久々だった。たぶん中学以来。

アクセサリー系にしようかと言ったのがきっかけで、アクセサリーが置いてる店を探していろんな店へ出向いた。

商店街の中の十字路で、金髪ロン毛の若いニィチャンに声かけられる。
「すぐそこに店あるから寄っていってよ。」

まぁいいかと俺たちは着いていく。
二階まで上がらされた俺ら
そこには服やアクセサリーがいろいろ置いてあったが値段が異常に高い割に良い物はなかった。

(ふーん…やられたかぁ)
と思いながら変なニィチャン定員が
「こんな服とかに合いそうやねんけどなぁ」
と俺に言ってくるのを笑いをこらえて聞いていた。

だって必死やもん。ダッサイ服やし。値段高いし。

呆れた俺らは一通り見て出ていこうとすると
違うニィチャンがお客を捕まえて戻ってきて、スタッフルームあたりに連れ込まれていくたところだった。

見るからに真面目そうな子たちが連れてこられていて、店から出た俺とキークンは
「あの子等は絶対買うまで帰られへんでなぁ」と言いながら違う店へ向かった。


商店街の中にポツンと店があった。

観た感じ入りにくーい薄暗くてコジンマリした店。
あえてそこへ入ってみた。
店主のお爺さんは見た目若々しくて、えらい気さくで話しやすかった。

ガラスで覆われたテーブルの中にアクセサリーがいっぱい。

それをあーだこーだと話し合いプレゼントが決まった。
俺は腕につけるシルバーアクセサリーを買った。

キークンはスズキくんに連絡をして難波まで遠征してくるように言う。

俺らはカフェ行ったり食いもん買って食ったりしてスズキくんを待っていた。



スズキくんが現れ、俺たちはカラオケでも行くか!と、なりカラオケ屋へ。

個室に入った俺らはプレゼントを渡す。
相当喜んでくれた。趣味に合ってるかは知らんが…。

そこでスズキくんが喋り出す。
それを聞いた俺らは驚きと嬉しさを味わった。

「プレゼントもらっといて、あれなんやけど…もしかしたら引っ越しせんかも。」

良かったのか悪かったのかは分からないが…

俺は嬉しかったし、良かったと思った。



【好きなんだよな】

今日は前々から約束をしていた。飲み会の日だ。
キークンとカザマ(旧姓ミナミ)とスズキくんと俺で居酒屋へ。

俺は初めて来る店だった。

店長は良い人…ってか、見た目とか雰囲気がバイト先の社長にソックリ…。

俺たちは座敷に座り込み、さぁー!飲み会スタートです。

最初は生とかを飲みながら飯を食って喋りまくる。

次にショットガン。コップに布巾をかぶせ
テーブルにゴンッ!!っと勢いよく底を叩きつける。
ラムネみたいにシュワー!となってそれをクイッと一気に飲む。
これが案外きつい…。かなり飲まされたさ…。
みんなも飲みまくってた。(よぅ平気やなぁ)と思いながら生などを飲み続けた。

だいぶキテたね。酒は回るし目も回る。
酔った勢い…とは言いがたいが俺はスズキくんに聞く。

アシモトの事だ。


ちょっと時間をさかのぼる。

その時は俺の地元ですこぶるメンバーとスズキくんとその他モロモロが集まった。トレンタで飲み会だった。

ひとつのテーブルに俺、スズキくん
そして、アシモトが居た。

やけにアシモトがスズキくんをホめる。
「カッコよくなったなぁ。」
「カッコえぇわぁ。」
スズキくんが家族と電話してポルトガル語を喋ってるのを聞いて
「凄い!初めて聞いた!」とかな…。

またとある日。
学校に来ていた俺とスズキくん。

そこで俺が喋り出す。
「なんかアシモトさ、スズキくんに興味ありそうやでな。」
小学生か俺は…。


そんな感じで流れに流れて…今、アシモトの事を喋っている。

「スズキくん、最近どぅよ?」
「え?何が?」
「アシモトよ?」
「あー。別に、今度映画行くぐらいちゃう?」

……

俺の中からこみ上げてくる悲しさ。
マジかよ。俺とは二人ではデートしてくれへんし、なんかさ。なんかよ!

別に俺の彼女でもないし、何でもないことなのに涙が出てくる。

酒入ってるせいか蛇口が緩い。
閉めても閉めても水は流れ続けた。

スズキくんに
「俺…去年の夏から…アシモトの事、好きやってん…。」とついに言った。

みんなは「きっつん!どないしたんや!?」と言ってくる。

「何でもない!大丈夫!」
ただそれしか俺には言えなかった。

スズキくんは気を使ってくれた。優しくしてくれた。
その優しさや自分で自分を追い込んだ事で涙は止まらなかった。



すっかり俺が落ち着いた頃、皆でカラオケへ。

電車に乗って、人目気にせず騒ぎながら向かう。

とあるホーム着いた俺らは降りて、我先にと俺ときーくんは歩いてく。

スズキくんとカザマが着いてこないことに気づき、後ろを振り向くとカザマがうずくまっていた。
乗り物に弱いカザマ。しかも大量の酒を飲んでいる。
そう。電車がトドメで吐いていたのだった。

それを他人の奴らはマジマジと観てるだけ。

スズキくんは「大丈夫か?」と問いかけながらようすをみている。背中をさすられると逆に気持ち悪いとスズキくんは思っているため。

カザマが落ち着いた頃に、近くのコンビニへ向かう。
カラオケのフリータイムが始まるまで時間を潰す。

そこで何回かカザマは吐き続けたが、だいぶ落ち着き時間も来てカラオケへ。

歌いたいもん歌ってた。しまいには採点勝負。
しかもその採点はかなり厳しい。

音とか外した瞬間に即強制終了。
これに自分の持ち歌で挑み、最後まで歌えた奴が勝ち。

結果…。
俺は歌いきった。

次は罰ゲーム付きの普通の得点勝負。
最下位は免れた。

カザマが最下位で罰ゲーム決定。

朝の五時。
カラオケ屋が閉まるため、ついでやからってきーくんの家に泊まりに行く。
シャワーを借りて話し込んで、気づいたら寝てて夕方に起きて学校行く時間。

さきほどの罰ゲーム開始。
ウォッカをデカいコップに入れハイパーショットガン!!

カザマイッキ!
そしてそのままの勢いで学校へ。だいぶ苦しそうにしてた。



学校も終わって、俺は家に帰ってきた。
次の日のバイトその次の日のバイトが辛かった…。


そして…そんなこんなで高2の時間は終わっていった。

後、一年だけ。誰が何と言おうと俺は学生だ。
この気楽な間に全てに決着をつける。

最後の学生生活。

悔いの無いように。後に残らないようにラストスパートだ。

そう思っていた。


おわり

高校3年

立て続けにバイトが続いていて、やっとこさの休みの日なのについついつ朝6時に起床。

(暇だ…。)

そう思った俺はTSUTAYAに行き、mihimaru GTのCDを買って帰ってきてコンポで聴きながら暇をもてあそんでいた。

特になにもないままに12時間もたち、夜7時過ぎ。
暇すぎて眠たくなって寝てしまう。


パッ!と急に目覚めて、部屋の電気つけて携帯を覗く。

11時過ぎ…メールが一件来ていた。
ミナミからだった。

メールを返信すると待ってましたと言わんばかりに即電話がかかってくる。

「なんや?」
「もしもし?キッツン寝てた?」
「おー。」
「今なぁ、【リョウヤ】来てんねん。一緒に遊べへん?」
リョウヤは一個下のツレだ。見るからにヤンチャな子。
キークンの知り合いの弟なので仲良くなった。
「え?リョウヤ来てん?珍しいなぁ。まぁ行くわ。」

寝ぼけ眼でチャリを漕ぎミナミの家へ。


ミナミの部屋に入ると、先に酒が目に付く。
「なんや?飲んでんかお前等。」

そう言いながら俺も混ぜてもらう。

なんかミナミが熱く語っとる。
「…大丈夫やって。なんかあったら俺が出てったるから。こっちが悪いんやったら、一緒に頭下げたるし、シバかれたるから。」

(何を物騒なこと言ってんや?)

「なんの話なん?」と俺が言うと
ミナミが説明しだす。

「リョウヤの彼女と元彼とリョウヤがゴタゴタやねん。」
「なんで?」
「元彼からリョウヤが彼女とった形になってるんやって。」
「へぇ。それでモメテんのな。」
「だからなぁ。呼び出し来てんねんってさ。せやから俺も行ったるで!って言うてたんやし。」
「(なんでお前がでるねん。)あっそぅ。俺も着いていったろか?シバかれんのはゴメンやけど。」

「なんか懐かしぃよなぁ。」
「何が?」
「ほら、中学ん時モリモトと喧嘩したやん?」
「(なぜその話がでる?)まぁ、俺は殴られっぱなしやったけどなぁ。笑」
「あん時、もうちょっとやったのになぁ。」
「いや、先生止めに来んかったら、俺は負けてたと思うな。パンチも足も速いし。」
「うん。まぁ懐かしいよなぁ。」
「(もしかしてリョウヤにカッコつけたいんか?ミナミは。)」

微妙なとこで話は終わり、3人でゲームをしだした。
みんGOLやらなんやら…

リョウヤは寝て
俺とミナミは相談しあったり話し合っていた。

朝7時過ぎ。完全にシラフに戻り、リョウヤも起きて満場一致でマクドへ行くことになった。

リョウヤとミナミは金が無かったが、俺は金があった。
「しゃーないなぁ。スマイル一つ!って言えたら奢ったるわ。」
と、端から奢るつもりやったがネタで言ってみた。

マクドへついた俺らは注文しだす。
「んだらねぇ~。コレとコレで…コーラで。」全員の注文が終わりかけたときミナミが口を開く。

「あ、それと後ねぇ。スマイル一つ。」

スムーズに頼むな。間髪入れずにツッコんでしまいそうなぐらいに。

「あ、ありがとうございま~す!」
と女の店員さんが苦笑いで笑ってくれる。

思わず吹き出し笑う俺。

リョウヤも「あ、俺も!」
「あ、ありがとうございま~す!」

さらに吹き出す俺。
息ぴったりやなお前ら。

とりあえず注文したものを食ってタバコを吸っていた。


マクドからミナミの家に戻ってきた俺らは寝る。


そして夕方4時過ぎにミナミに起こされる。

どうやらスズキくんから電話が来て、みんなでドライブ行こうって誘われたらしい。

スズキくんがおっちゃんの車セフィーロで迎えに来る。

あれ?
初心者マークが着いていない…。

聞いてた話では免許取って七日しか経っていない。

やる気か…。

とある山に行きたいとスズキくんが言う。

原付の走り屋ミナミのチームのホームコースらしくミナミがナビをする。

山に着いてスリルドライブがはじまる。

免許取り立てとは思えないぐらいのハンドルさばき。
安全確認も怠らない。
初心者マークを着けないだけある。

第三者から観ても完璧な運転だった。

しかし相手は山。
いくら安全に運転してても、右に曲がれば次は左、左に曲がれば右。振られまくりなかなかハードだった。

ハンドル振ってチョケテきたり、ブレーキをポンポンふんでチョケテきたり
そんな中、ずっと頭ん中で考えてた事がある。

車あれば気軽に誘えるし、遠くにだっていける。
チャリじゃ誘うのも抵抗あるなぁ。と
アシモトを誘うには?どうする?と考えていた。

ミナミに言うたら
「逆にチャリやから良いんちゃう?2ヶやったら密着度高いし。笑」
密着度関係なしにどうなんやろうか?

そんなたわいもないことで悩む俺が昔から嫌いだった。


【きよしこの夜】


昼辺りに目覚めた俺はサトシと遊ぶ。

俺らはトレンタに向かう。
トレンタでのんびりコーヒー等を飲んでいた。

ミナミを呼び出し、トレンタがある公園(元は競輪場と噂されるデカすぎる公園)で遊んでいた。

チャリ二台で俺とミナミが一台ずつ乗り
サトシが仁王立ちでチャリの荷台に乗る。
右足はミナミのチャリに。左足は俺のチャリに。

これで発進。案外楽しい。
ふざけまくってて、はたから見ればアホらしさ満載だったに違いない。

それでも楽しんだモンの勝ちやと言わんばかりに俺たちははしゃいでいた。


夕方頃。
俺とミナミは学校に向かう。高校中退のサトシはトレンタで待っていると言っていた。

学校はすぐに終わり、ミナミは用事らしく学校に残り、俺は急いでトレンタへ向かった。

トレンタの前のベンチにサトシの姿があった。
「おぅ!お待ちぃ…。」
と元気よく行くつもりが、目の前の光景にビックリして言葉が詰まる。
サトシの横には制服姿のハッサンがいた。
「よぅ!何してんの!?」

どうやら、高校のツレに呼ばれたんやけど、誘われた時間まで暇を弄んでいるらしい。
ってな訳で3人でだべっていた。

トレンタのカウンターに3人で座って居た。
もうじきツレに会いに行く時間らしく、会話がそればっかりになる。

「あぁ…一人で行くのツマンナイわぁ。」
ハッサンが遠回しなことを言う。
要するに俺らに着いてきて欲しいわけだ。

仕方ないから俺らは着いていくことにして
3人で駅前へ向かった。
電車でちと距離と時間と金をかけ集合場所へ。
しかし、浜のツレはまだバイト中らしく
俺らはスーパーの中に入り、ドデカいテレビが置いてある休憩場みたいな所のベンチに座り「きよしとこの夜」と言う番組をみていた。
ハッサンは氷川きよしが好きらしい。

何時間たったのだろうか…もうじき閉店ですよ。
そんな時、ハッサンのツレが来る。
簡単に挨拶をして俺らは外にでた。

裏口に向かい俺らはだべる。
ハッサンのツレはどこかへ行きハッサンも着いていった。
俺とサトシはタバコを吸いながら暇を持て余していた。

また何時間が過ぎていた。
ハッサンも用事が済んだらしく俺らは何事もなく帰っていった。



【好きです】

最近、体の調子が思わしくなかった。
たぶん気持ちから来てるんだろうと薄々分かってた。

飯がろくに食えんかった。どれだけ寝ようが疲れが抜けなかった。

モヤモヤしたものがひたすら付きまとってきてた。

「春だから…」と内なる自分が優しく言ってくる。
その日、バイトから帰ってきて学校行って帰ってきて、疲れたからソッコー寝た。

夢を見た。

アシモトが出てきた。たわいもないことで笑いあって。
楽しく過ごしてた。

アシモトの笑顔が好きだった。
でもその笑顔が痛かった。

眩しい。光が見えた。

「朝か…。」

携帯のアラームを6時にセットしていたんだがまだ鳴った形跡がない。

でも、もうすぐ6時だ。朝飯食って準備をしなければならない。今日もバイトだ。

寝覚めの悪い朝だ。
重い体を起こして準備をした。


バイト先について淡々と仕事をこなしてるのは分かったが、ひたすら頭でアシモトの笑顔が流れ続ける。
まぶたを閉じてないのに目の前にはアシモトの笑顔が。

バイトが終わる時間が来た。次は学校だ。
電車に揺られ学校へ向かった。

ツレ等が盛り上がってる。いつも通りだ。

しかし俺はシケテいた。
こんな態度じゃ悪いなと思ったが駄目だった。

家に帰ってきて寝るのが嫌だったが次の日もバイトに学校なので、音楽を聴きながら眠りについた。


俺は
それだけアシモトを想ってる事に気づいた。
それが逆に痛かった。



【記憶?夢?】

前に誘われてたのでサトシは俺の家に泊まっていた。

昼過ぎに俺らは起きて集合場所へ。

俺の記憶じゃ誘われたのは女2と男2で遊ぶと言う単純なものだった。
サトシが「誰か紹介して」と中学時代の女友達?にメールしたのがきっかけで、なぜか俺は巻き込まれた。

俺はただの付き添い。

軽く挨拶をして映画を見に行く。
ジムキャリーが出てる映画だったので俺はそれだけを楽しみにしていた。

4人で映画を観る。

なかなか面白かった。
女達は「イマイチよく分からんかった」と言っていたが…。

俺とサトシはタバコを吸ったり、本屋に行って時間を持て余していた。
なんか、女達は買い物に行ったらしかったので。

日が沈み始めてた頃。
俺らはカレー屋CoCo壱番屋に向かった。
俺は腹減って無く、3人がガッツリ食べてるのを観ていた。

すっかり食い終わった頃。
「この後、どうする?」と誰かが言ったのがキッカケで、まだ春なのに花火をすることになる。

最近は便利なもんだ。
こんな時期でもコンビニには花火が置いてある。袋詰めになっている花火を皆で買い

公園でやり始めた。
チラホラと周りの他人も花火で盛り上がっていた。
やっぱ同じ事を考えてる奴もいるんだなと
実感した。

俺は火をつける役やったり、ネズミ花火や、トンボで遊んでいた。

花火はすぐになくなり最後まで取って置いた
ドラゴン系の縦に噴射する花火をやり始めた。

上へ上へと向かう花火を眺めて俺は、あの日の一部を思い出した。



何をやっても楽しかった時期だ。
毎日が楽しすぎて、記憶はバラバラになっている。
皿が落ちたときのように。粉々のバラバラに。
それを拾い集めようと俺はしなかった。

また次の日も、その次の日も

幸せな時間が待っていると思っていたからだ。
しかし明日が不安になり始めた頃。

バラバラになっている皿をそっと、拾い始めた。
でも、幸せが怖くて
その 一つの欠片を拾うのが精一杯だった。

それは岸和田の花火大会が行われている中学1、2年の時の欠片。

…何故?俺のママチャリの荷台にはアシモトが乗っている。
アシモトは浴衣を来ているため、またいでは乗っていない。
左に両足が出ている。
俺はその両足に物が当たらないように気を使っている。

でも、ガツンと当たった感覚がサドルから伝わった。
「あっ!?ゴメン!」
申し訳なさそうに俺は謝っている。

俺の周りには数台のチャリが。よく観れば全員ツレだった。
他に2人乗りできるチャリがあるじゃないか。何であえて俺の後ろなんだ?

しかし怖くて、欠片を拾えなく、そこで記憶は途切れた。


【ぶつぶつ】

右手にブツブツが出てきた。めっちゃかゆい。
でも、簡単に治るやろうと思ってた。

次の日。
バイトの為、6時に起きるが、両腕と顔面が腫れだした。かなりかゆすぎた。

バイト先に連絡を入れ、病院へ。
予約いれてる訳がないので、かなり待たされる。

何時間かたち、俺の番が回ってきて調べてもらう。
「あぁ~何かに かぶれてるなぁ。山かどっか行ったか?」
山などに行く理由がない。

とりあえず塗り薬と飲み薬をもらい、俺は家路につく。

飯食って風呂入って、薬を使用してバイト先へ。
電車の中とかでいつもより目線を感じていた。
(なんなんやろ?)

そう思いながらバイト先へ着いた。
バイト先のロッカーに付いている鏡を見てみると顔が真っ白だった。
(塗り薬のせいか…。)
だからみんな観ていたんだなと気づく。バイトをいつも通りこなしていた。

俺の後ろには機械がある。正方形の板を丸に切る機械。
その切るための特別な刃物をイカツイ社員の【イワガミ】くんがいじっていた。

「あっ!!」

と言う声が聞こえたが、俺は仕事に夢中になっていた。

顔を真っ赤にした岩下くんが俺の横を通り過ぎる。

(ん?)と思った。

右手で左手を押さえながら横切ったからだ。
なんとなく岩下くんが通った地面を見てみると

血が。

とっさに機械を見ると血だらけになっている。
俺は走って社長に言いに行く。

「社長!イワガミくんが!」こっちに歩いてきてる岩下くんを指さす。

社長は異変に気づき、走ってイワガミくんの方へ向かっていった。


イワガミくんと仲の良い社員さんは休憩室へ向かっていった。

俺は何も出来ないが休憩室へ走って行った。

イワガミくんは大量にマキロンを吹かれていた。
地面は真っ赤っか。
地面の下地が全然見えないくらいに。大量出血していた。

指からはミが出ていて、あらぬ方向を向いている。
休憩室は鼻に着く臭いが充満している。気が変になりそうだった。

俺がボーっとしているとイワガミくんは社長に車で近くの病院に連れて行かれた。

その後、俺は仕事再開。奥さんは涙ぐみながら血の処理。

今日は何から何まで悲惨な日だった。


【邪魔者】

明日は飲み会や……すげー楽しみにして生きてきた。
アシモトもいるし。

その日バイトをしていたが気分悪くなり昼過ぎに帰ってきた。
作業着のまま横になり、知らぬ間に眠りについた。

四時過ぎにアラームで目覚めて学校に向かった。

ぬるい風が体にまとわりつき俺はなにかを感じた。
この風は、あまりすきじゃない風だった。不安にさせる風。

今日は何かある。

そう思いながら授業を受け、10時過ぎに帰ってきた。
作業着を着替え集合場所へ。
もう、みんな集まってた。

そこにまじりみんなで飲みだした。

楽しかった。

このまま楽しく朝を迎えるはずだった。



あいつ等が来なければ。



飲みはじめてからそれなりに時間がたち、皆が皆が酔いもいい感じに回っていた。

ワイワイガヤガヤが、一瞬で静まり返る。

俺らの和の前を原チャリ2ケツが二台通りすぎる。
えらい近くをこっち向きながら通りすぎていくので、暗がりでも何となくわかった。

たぶんヤンキーグループやなと。

そして、戻ってきて「エルモだよ!」と裏声出してで通りすぎていく。
たぶん、おちょくっている。俺はそう思っていた。
関わったらめんどそうやな。と大人しくしていると
また戻ってきて「エルモだよ!」

イラッとしても我慢していた俺をよそに、ツレのひとりが真似をする「エルモだよ!」

やめろや。と言うまもなく、奴らはこちらへ向かってきた。

「こんばんわー!なにしてますん?」
「のんでんねん。」
「僕らも混ぜてよー!」

え?からんでくるんじゃないんや。

同い年ぐらいの男3人とギャル1人が輪に入ってくる。

こちらの女子達は避けて違う場所へいった。

皆でダベりながら飲み出すと、何故か奴らからの案で、罰ゲームつきじゃんけん大会がはじまった。
最悪や。女子達はなんか機嫌悪く離れて、あっちで喋りながらこっちを伺ってるし

こっちも同年代の男として引くに引けんくなってるし。

罰ゲームはなにか?
負けた奴が服を1枚脱ぐ罰になった。

言われるがままスタート。

相手の男が負け、1枚脱ぐ。
ツレが負け、脱ぐ。

そして、相手の女が負け1枚脱ぐ。
さらに続けざまに脱ぐ!
シャツとパンツ1枚になり、シャツをひっぱりパンツを隠しながら続行。

まてまてまて!見ても嬉しくないし、こっちの女子たちの視線がいたい!
そして、ここまでくるとさらに引けん!
んで、いつ終わるんなこれは!

と考えていると俺がまける。
くっそー!脱ぎたくねぇ!と思ってしぶっていると
「こっち、女も脱いでんのに恥ずかしくないん?」とギャルに言われる。
別にやりたくてやってへんし、お前のなんか見ても何もないんじゃカスが。

と思いながらも、男として悔しいから上を脱ぐ。
が、立て続けに負ける。

クソッタレが!「よっしゃー!どないじゃ!」と叫びながらパンツになる。

しーーーん。

みんなの冷めた目よ……。
俺はこんなんしにきたんちゃうぞ。アシモンらと飲みたいんじゃ。

結局、まばらに負けて奴らは満足したのか帰っていった。

しかし、長々と時間かかってしまい、女子たちには呆れられる。

「いや!別に楽しくないけど、引くに引けんからさ!」と説明したが、
「よっしゃー!とか盛り上がってたやん。楽しくないんやったら断って帰らせればいいのに。」と言われ

え?自分ら逃げたくせにえぐない?と思いながら、腹が立ち俺は帰った。


【老け顔】


学校がある駅前に着いたとき、何かの署名を集めているようで、おばちゃんとねぇちゃんに呼び止められる。

まぁ時間あるし、何かだけ聞いてみるかと思うや否や、食いぎみ早口で説明をかましてくる。

「えっとですねー子供のことでうんたらからんたらなんたらかんたら」
んん?なんて?ん?

聞き返そうとすると
「ご結婚はされていますよね?お子さんは何人ほどいらっしゃいますか?」と聞かれる。


「ちょっとまって!俺、17才!髭生やしてるし私服やけど、俺こー見えて今から学校!」

と言うと凄い驚いた!って顔でこちらをガン見しながら「ご、ご、ごめんなさい!」と謝り去っていった。


昔からポリに声かけられるときにお父さんと言われたり
コンビニで酒タバコは止められたことないし

初対面の年上に37才と言われるし。


俺どんなけ老けとんねん。



【キツイキツイ】


TSUTAYAにでもよって、学校いこうかなと外出の準備をしていた。
部屋を出て廊下から、リビングと母親がおる部屋の方を見ると、昼の3時も回っていると言うのにカーテンを閉めきっていて真っ暗だった。

これはやばいな……。

感覚でわかるぐらい慣れている事だったが、嫌なもんは嫌だった。


「……た…………けし…………たけ……し。」
消えかかりそうな微かに俺を呼ぶ声がする。

「…………どないした?」分かってはいるが確認しながら、襖がキッチリ閉めきられた、真っ暗な部屋へ入る。

「…………。おかん…………死んでほしいやろ……?」
「……そんなことないで……。」
「……おかんなんか……いらんやろ……?死ぬわ……。」
「…………そんなこと言いなや……。」
「……………………。」


あかん。出るに出られへん。


おかんは一人で俺らを育ててきた。
人に頼るの下手くそで、自分だけ追い詰めて。朝から朝まで仕事して。


いつころからか、精神的に壊れてしまっていた。
精神科に通いつめているが、一向によくはならない。
なんなら酷くなってる気がする。
俺は中2ぐらいで、俺の家は変なんやと気づいた。

シングルマザー、鍵っ子、生活保護、旅行にいったことない、食べに行くこともない、マンモス団地住み、躁鬱病、統合失調症。

普通の家庭からしたらおかしいことばっかだった。

でも、俺はおかんが大嫌いだった。

「俺は生んでほしいなんていうてもない!」
「自分勝手に計画性もなく生んだんやろうが!ちゃうんか!」
「育ててくれたかもしれん!でもな!それは生んだお前らの責任やろが!アホか!」
「言いたいことある前に、ほんなら生むなや!ボケ!」

反抗期のときにボロクソ言うたことを思い出す。

回りの人、大人の人に「何を言うても母親やろ?仕事頑張って育ててくれたんやんか。そんなんアカンで」
と似たようなこと何回も言われるが、経験もしてないのに偉そうな事いうな!お前らには一生この気持ちはわからん!と毎回おもってる。

別に俺が特別にしんどい環境なんて思ってない。
ろくな飯くってないけど、ガリガリやけど生きてるし、好きなこともしてる。
遊べてるし、恋愛もできる余裕がある。

もっともっと辛くてしんどい人なんかこの世界中にいっぱいおる。
それを分かってるから我慢してる。

グルグルグルグルと考えているとインターホンが鳴り、ビクッと体がうごく。

玄関を開けてみると、おかんが仲良くしてるおっさんが焦った顔で立っていた。
「睡眠薬の入ってる袋5袋のんだらしいな!?」とまくりながら聞いてくるが知らんがな。
そう思ってる俺をスルーして部屋に入っていく。

なんか話し声が聞こえる中、自室でテレビを見ていた。
すると救急車があらわれ、おかんを連れていく。

俺は嫌な気持ちでいっぱいで、遅刻して学校へ向かった。



次の日


学校へ向かうため駅へ行く途中、ミナミと鉢合わせした。
そのまま向かおうとすると、中学の時付き合ってた加藤とスレ違う。お互いに気づいているはずだが、無視される。

くそったれが。昨日の今日でイライラする。
お前の浮気で別れたんちゃうんか。なんで被害者の俺がお前の噂でみんなからハブられて、中学いかれへんなるんじゃ。
くそが!くそが!!くぞが!!!!

なんやねん!俺の人生!
なんでやねん!おい!

学校で溶接してたが心は上の空で、誰もいない家に帰ってきて酒を浴びるように飲み、明日のバイト大丈夫かなと思いながら、知らぬ間に寝ていた。


また次の日

寝ぼけながら、落ち込みながらバイトへ向かった。
かなりハードに働いたが、たりない。
死ぬぐらい、殺してくれるぐらい働かせてほしかった。

そして学校へ向かい、友達が学校近くのコンビニ横でビールを飲んでいたので混ざって一緒にのむ。
相談せずとも、笑い合って飲んでるだけで嫌なことも忘れらせそうだった。

授業をうけ、晩飯休憩の時にもビールを飲んでいた。

もうどうにでもなれ。と思えたらいいのにな。


誰か助けてくれ……。



【さよならトレンタ】


創立記念日で学校は休みだった。

その夜の10時頃。

すっかり行かなくなっていたトレンタへ集合命令がかかる。


よくたまっていたときに、若い俺らが店で普通にタバコ吸ってるのおかしいとお客様からクレームがあり、
店先でタバコを吸うことになったが、結果は一緒だし
出たり入ったりを繰り返しているのは迷惑では?と思って、みんなに行くの控えようと話した結果
あんなに集まっていたトレンタには全く行くことがなくなっていた。


そのトレンタは本日をもって閉店に。

それで召集された。


ワイワイガヤガヤと過ごし、名残惜しくトレンタを後にした。
そのままの俺たちは15分100円の施設へ。

テルイ以外の女子たちはカラオケをしにいき、俺ら男どもはハシャギ回ってた。

そして、俺はバイトなのでみんなと別れ、そのままの足でバイト先へ。

寝てないし、アルコール抜けてないし、ふらふらで向かった。
しんどい。それが心地よかった。このまま倒れてほしいなと思った。

残念ながら倒れることなく、ハードにこなし、学校へ向かう。
授業をうけ、無免許で来ていた友達の車で帰る。

途中免許持ちの年上の女の子と交代して帰っていった。
その女の子は男勝りだか結構かわいい。
でも、お兄ちゃんは、森くんをボコボコにしたあの人なので、深入りはしないようにしていた。



【夏はすぐそこに】


夜、また皆で泊まりにいくかー!といつもの面子で集まって話し合っていた。
学校終わって途中から参加したからか、なんか思ったように輪に馴染めんくて、寂しい気分になった。

俺ってかまってちゃんで、寂しがりなんやろな……。改めて思う。

そして朝からバイトへ。

板をコンベアーに流していく作業をするときに
「板いっぱい流してきてくれていいけど、タケシは流れてきたらアカンで~」
とボケられ「あれやったら全然流れていきましょか?」と笑いあったり

「タケシ!お前は信号かっ!」と突っ込まれて
「なんでなんっすか」と半笑いできくと、全身のコーディネートを指差してカラフルすぎるやろと突っ込まれて、笑いあって

「タケシ!なんでこんなくそ暑いのにドカジャンきてんねん!」といわれ
「作業服かこれしかないんっすよー」と言うと「俺の服余ってるから使えよー!」と長袖頂いたり


次の日のバイトも

「この板よー滑るなぁ!」「そーっすねー。」
自分のハゲ頭を指差しながら、「これ擦り付けといたからかなぁ!?」と自虐され爆笑したり

休憩中に「みてみこれ!うちの子やねん!」と折り畳み携帯を見せられ、孫かな?ちょっと大袈裟に褒めとくかと、覗きこむと
「犬っすか!?かわいい!」と機転をきかし


作業中、カッターを忘れた俺は「カッターかりていいっすか?」ときくと
「ええよ!はい、俺の銘刀~♪」と渡される。
俺は苦笑いしながら受け取り、返すときに
「はい、銘刀~お返しします」と渡すと

「銘刀ちゃうねん!甘党~」と受け取られ苦笑い。


なんか、平和な日が続いて、いい気分だった。



半袖になった町中の人みて
花火が売ってるのをみて
うちわや扇風機をみて

夏がやって来ることを感じていた。



【なんちゃない日々】


学校へ向かう。
最近よくツルむようになった【イノウエ】に「今日あそぼうよ」と言われ
なにしよかー言うてたら釣りいくことになる。

学校帰り、イノウエの家に行き他のツレを待ってる間、イノウエは飯を食べ、俺は漫画読んでた。

そのあとイノウエにギター教わってると、ツレがやっとやって来て、夜中の一時過ぎ、釣り場へ向かう。


かなりの距離を自転車で走り、釣り場へ。
のんきに暗闇の中、防波堤で釣りをする。

当たりが明るくなってきた頃、寝ていたツレを揺すって起こし、場所をかえる。

越えてはいけないフェンスを乗り越え、大量の蚊に刺されながら釣りを続行する。


朝の8時ぐらいに俺は帰ってきて、イノウエからの電話を無視して眠りについた。

そして学校へむかい、1、2時間の授業は爆睡して
3、4時間目のプールの授業は水着がないし、めんどいからサボってプールサイドで遊んでた。

すると、上の子に次々とイノウエ達が落とされる。みんなも水着なく、私服だった。
それを爆笑しながら見てた。


そして帰ってきた俺はまた爆睡。


夜中の一時過ぎ。またイノウエと遊ぶことに。

オセロしたり、マリオをリアルに書いて色塗って二人で爆笑したり。

俺の貯めているプリクラを見て、好きな子どれよー?ユーいっちゃいな~とふざけあったりして

気がつけば昼過ぎまで寝ていた。
イノウエに起こされバイバイして、
タケダの誕生日を思い出して、タバコワンカートンかってバイト先へ持っていき

そのままの足で地元の教習所へ向かう。
前々から書いていたローン用紙を通し、ローンを組み、視力検査などをして、次回から通うことになった。
頭金だけで21000円もした。


そしてその足で学校へ向かう。

工業の授業の日だった。4時間授業を自由に工業っぽいことしていい日だったので
前々からバラして遊んでいる、モーターもエンジンもないゴーカートを二人で押し
一人は運転するって遊びを校内でしていた。


なんてない日々。

なんや言うても子供なんやな俺らは。



【せわしくなっていく】


バイトへ向かった。
社員の一人がなぜか急に帰り、バタバタした。

どうやら仕事を頼まれすぎて「んなにできるかー!」とぶちギレて帰ったらしい。
指切ったイワガミくんは復帰してた。

最近、仲良くしてくれてる【ヨシダ】さんに
「俺、元教官やから教習所に顔聞くで。メアドと番号教えといてよ」と言われ教える。


給料をもらって、ウキウキした反面、ローン代や携帯代など諸々計算して、落ち込みながら歩いて駅へ向かう。

その途中、黒い物体が先に転がってるのが見えた。
近くまで行くとカラスが引かれて死んでいた。
その上空をカーカーと2匹のカラスが回っていた。
悲しいのか?食べるのか?
命って呆気ないなと思いながらかえる。

イノウエが俺のユーホーキャッチャーで取った、リアルなバナナのスポンジ玩具に顔を落書きするだけして、ほったらかしていたので
それを片手に駅へむかう。

駅に友達が集まっていたが、そのなかに見知らぬヤツが一人いて、そのバナナの顔を向けて「こんにちわー(裏声)」といい笑わせながら学校へ。

そして授業を終え、同級生が買ったゼファーの音を聴かせてもらい、帰っていく。

明日から教習所だ。

人見知りで情緒不安定の俺は、一人でそういった場所へ行くのがスゴく苦手だった。



【重症】


教習に通いはじめて、毎日が慌ただしくて、しんどいながら第一学科が終わった頃。

イノウエと遊んでいた。

イノウエには夢がある。
洋楽のロックンロールが好きで、外国の人がカッコいいから憧れて、金をためて外国へ絶対にいく夢がある。
英語が出来なかろうが関係ない。
わざわざきつい仕事を探してきて、大金を稼ぐイノウエ。

夢があって、それを必死に追いかけるイノウエはかっこよくて
純粋にスゴいなって、俺ってしょぼいなと思った。

俺には夢がない。未来を見据えてもいない。

今をダラダラとただ生きているだけだった。



明くる日

今日は学校のボーリング大会だった。
近所のゲーセンで行われるので待ち時間の間
みんなでパンチングマシーンして遊んでいた。

飛び蹴りして、股間うって爆笑したり。

ボーリング勝負で負けた俺は飲み物おごらされたり。

教習所の辛さとか吹き飛ぶぐらい楽しかった。


明くる夜
スズキくんと遊んでいて、頭がグルグルグルグルしていた俺は全てを相談する。
頭の回転が早く賢いスズキくんは丁寧に全部こたえてくれて、かなり気が楽になった。

そして、朝
女友達から中学の同窓会が回ってきたんやけど、どうかな?とメールが回ってくる。

まったく呼ばれなかったこの俺に同窓会の誘いが!!
嬉しい!!!でも…………噂を流され嫌われものになり、不登校だった俺をいったい誰がまっている?
怖い。行くのが怖い。でも、すごく嬉しい。


行きたい。行ってみたい。



そして同窓会の日。

岸和田の樹里という名の、お好み焼きやへ。


俺は、隅っこで全く行くことがなくなっていた会話に入らずにいた。
声がでない。怖い。

俺は重症になっていた。
昔はふざけるようなキャラで人気者だった。
ちょっと悪くてモテたりもした。

それなのに…………。


見かねてか、昔仲のよかった子が話しかけてくれて、お好み焼きも注文してくれて
なんとか1日をやりすごした。

ありがとう。


【あれから1年】


またまたいよやかの里への宿泊の日。

卸売りに寄り、いつも通り酒などを買おうとすると、はじめて定員に止められる。
未成年のタバコ、酒が厳しくなり始めた頃だった。

仕切り直してコンビニへ行くと、すんなり買えた。

集合場所へ向かい、ダラダラと他のスコブルメンバーをまつ。

なれた手つきで迎えのバスに荷物を積み、ワイワイガヤガヤといよやかへ。

チェックインをし、またまた恒例の女友達らは可愛い浴衣をレンタルしにいく。

アシモンは部屋にある浴衣を着ていた。ちょっと残念。だが、まぁそれはそれで。


すぐ裏にある川へみんな裸足で飛び出していき年甲斐もなくはしゃいだ。

タツヤさんと先に戻ってきた俺は、誰よりも先に飲み始める。


ある程度落ち着き始めた頃、タツヤさんと風呂に入りにいく。
ただただゆっくり入って、疲れを癒していた。


そしていつしかビンゴゲームが始まり、担当していた子がわざわざ用意してくれた景品があたる。

指輪だった。

同じく景品の香水が当たったらアシモンは指輪が良かったらしく、交換する。

香水なんてつけるガラじゃないんだが、これを機会につけてみよう。

酒もだいぶ回りはじめて、去年来てなかったツレが、俺も王さまゲームやりたいと言い
今年もやることになった。


だいぶ下ネタが出始めた頃、神のいたずらか、褒美か
俺はアシモトとキスをすることになった。
みんながキスコールで盛り上がるなか、心臓が破裂しそうになりながらも
キザな俺を演じたい俺は、皆にはキスしてるように見える角度でほっぺにキスをする。

ホントに好きだから、遊びで出来なかったんだ。


男勝りのテルイと当たると、向こうからガッツリしてくれて、男の俺がなさけなくなったり。

そしてもちろん、アシモトと他のヤツが当たることもある。
でも、タケダは俺が好きな子を知っているために、理由を適当に考えてくれて土下座して無効にしてくれたり。

でも、他のヤツに美味しいとこ取られて、ドンドン気分が落ちていく俺は
一人で酒をあおりまくり、玄関に座り込んですねていた。

知らぬ間に王さまゲームは終わり、寝てるやつや、喋ってるやつなど、さまざまにバラけていた。
アシモトともまともに会話できてないし、映画に誘ったけど断られたし

すごい気分がどんよりしていた。


そんな中、夏っぽく怖い話がはじまり、部屋が真っ暗になる。

視覚が弱くなると声がよく聞こえる。

アシモトと男が同じ布団で寝ころび話ていて、そこばかりに意識と目線がいく。
何事もないことを願いたいが、そんなことあるだろうか……。

各々怖い話をしていると、徐々に眠たさで離脱していく。

残すは俺一人になった。
アシモトらを横目でみて、端っこの方で寝転び目を閉じた。
しかし、すぐに尿意で起きる。
トイレへ行き戻ってくると、バラバラに寝ていて
これはチャンス!と思ったが、嫌われられるのも避けられるも怖い俺はビビって、また端っこにいった。


寝てまもなく、バイギングが始まったので各々食べに行く。
俺は食欲がなくて留守番していた。

タバコ吸いながらダラダラしていると徐々ひ戻ってきた。
元気に戻ってきた女の子と布団でも畳むか!となり、全てチェックインの状態に戻す。
いい気晴らしだった。

そして、ダラダラと過ごしてチェックアウトの時間になる。

帰りのバスで、みんなの集金した宿泊費が余ってるから、地元もどったらどっかいくかーと誰かが言ってたのを俺は確かに聞いたのだが
目的地につくと、皆帰っていった。
その金はいったい……。

と思いながら、乗り物に弱いハッサンがずっと吐いていたので、その場で付き添っていた。

なんとか復活して、ツレと二人のりで帰っていく。

歩きの俺を、女友達が寂しいやろ?とチャリを押してワザワザ送ってくれる。

俺の家の下に着いたときに、ワザワザわるいし暑いから、なんか飲んでいくか?と声をかけると笑顔で頷きあがってもらう。

俺の小学生のアルバムなどをみて二人でケタケタ笑っていた。



そして、次の日。

13時間ぐらい寝てた俺は朝5時に飛び起きる。
やば!バイトやバイト!
急いで食事をすまし、腹を壊しながら向かう。

バイト先でシートを扱ったときに、深く指を切り血まみれになる。
その血をみて、生きてる実感がわいた。



あの時俺が死んでたらどうだったんだろう。
この楽しく辛い日々もなにもなく、それでよかったと思えるのだろうか。

辛いこともあるけど、生きてて良かったのかもしれない。
そう思えてきた。

【人生最後の夏休み】

サトシが、引き離された静岡の母親と兄弟のところへ引っ越していって数日がたったころ。


朝起きて体調が悪いことに気づく。
これはたぶん風邪やな。と思っていた。

そんなとき、兄貴が来てたわいもない話をしていた。
兄貴の彼女の名前がアシモトと同じ名前だったのを知り
アシモトを思い出して気分が落ちていった。


そして、日に日に体調は悪化し、トイレへ行くときに倒れてしまい救急車で運ばれる。

病院でいろんな検査してもらってるときに、また別で救急で運ばれてきた人がいた。

どうやら飲酒運転で事故をしたらしい。
俺の体調悪いのなんか屁でもないな。と思いながら点滴を打っていた。


完治するまもなく、バイトへ。

定時の5時を回っても終わらない。
最近やたらめった残業が多い。環境になれた俺はイライラするようになっていた。

6時ごろに奥さんに上がっていいよと声をかけられるが、全然作業は残っている。

「ええっすよ。最後までやりきりましょう。」と言いたくもない台詞を吐いて、結局7時過ぎまで作業して後悔しながら帰っていった。

地元の駅についたときに、見知った顔が自転車に乗って踏み切り待ちしているのが目に入ったので、八つ当たりにおもっきり蹴り飛ばしたら「び、び、びっくりした!びっくりした!」と連呼される。


無視してそのまま家に帰った。
タチが悪い。


そのあともバイトに風邪に台風にで、人生最後の夏休みが終わりを迎えてしまった。

とくに何かしたとかもなく、終わってしまった。


良かったのかこれで。


【不安定】


だんじり祭が行われていた。

地元の行事だが、俺は興味なく、いつも通りの2日間を過ごした。

だんじり祭の度に憂鬱になる。
同級生は必死にだんじり引いて青春してるだろうし
岸和田の女は、祭りに熱い男達が大好き。

ツレたちもグループで見に行ってるやろうし。
俺は興味ないより、嫉妬や妬み。
朝イチから盛り上がってる声を家から聞くと、独りぼっちの孤独が凄く押し寄せてきて
寂しくて、悲しくて、怖くて。

憂鬱な2日間になる。


小学生の頃は友達と一緒に引いていて楽しかったのにな。
夜なんか皆で掛け声で盛り上がって、女も男もみんなで楽しんでたのにな。

なんでこうなった。



だんじり祭が終わった次の日。

グループのホームページを覗くと、誰かしら一緒に遊んでいたであろう書き込み。

誘われなかった俺は寂しくてメールで確認。


確認してどないなる?大人になった今思えば気持ち悪いことこの上ない。
誰が誰と遊ぼうと、まったく関係ないと思うし、逆効果やと思う。


【すっかり寒くなった】

いつもどおりスコブルメンバーと遊んだり
しょーもない文化祭の手伝いを頻繁にしたり


そのしょーもない文化祭に初めて参加したり


そんな日常が続いていて、季節はすっかり冬。


その日、バイトにいっていた俺は、学校があるので3時上がりの予定だった。

もうすぐ上がれる。と時計をチラチラみていた。
すると奥さんから「タケシくんごめん!今日忙しいからさ、5時までお願いできる!?」

おーーい!!学校や学校!と思っていると
「車で直接送っていくからさ!」と畳み掛けられる。

「わ……わかりました。」と5時まで働いた。


すると奥さんにかわって、俺が送っていったるよとヨシダさんが乗せていってくれることに。


学校へ向かってる車中で「タケシ、日曜日に鈴鹿サーキットに仕事いくんやけど、一緒にどうや?」と聞かれる。

俺が自動車科で、車好きなのを知っているので良かれで誘ってくれたのだろう。
嬉しいっちゃ嬉しいんだが、バタバタした日々を送っていた俺は出来ればゆっくりしたいなと思っていた。

だけども、せっかくの誘いを断るのも悪いのでお願いすることにした。



そして鈴鹿の日。

サーキットで走行会が行われるので、それのオフィシャルとして参加する形だ。
日当が出るのでアルバイトやな。

朝8時に起床し、集合場所でヨシダさんに拾ってもらい出発。
バイトなだけあって、ヨシダさんと二人なわけなく、俺の知らんひとをそれぞれ拾っていき、クラウンに男5人で乗る。

鈴鹿に着いた頃には10時を回っていた。

開始まで時間があるので、ブラブラと改造車やゴーカートレースをみて回る。

そして、走行会に来た方たちをピットに案内して、昼飯をくらう。

コーナー先でスリップしたり事故したりしたら、後ろからハイスピードで攻めてくる車へ危ないですよー!と注意するための旗フリをすることになる。

ここのコーナーはスリップしやすく、コーナーの先の状況もわからないポイントだった。

なんなくとこなしていくと、オイルを撒き散らしてる車を発見。

すぐにレースをストップさせて、オガクズでオイルを掃除。
まさかいつものバイト以外でオガクズを触ることになるとわ。

その後もスリップ続出して、旗降りまくってて、バタバタしてる間に走行会は終了した。


最後にクラウンに乗り込み、コースを掃除して、2000円の格安日給をもらい帰ってきた。


その頃にはすっかり辺りは暗くなり、6時を回っていた。2000円はえぐい。


そして飯を食べながら、明日からまた学校やな……とため息をついて眠りについた。



【在日交流会】

朝の8時に起床。

今日はワイワイフェスタという在日の方たちと交流しましょう。
と言うイベントに行くことになる。

いろんな在日の年の近いことたちが集まるようだ。

ハーフのスズキくんと、ミナミと行くことになる。

10時過ぎ、スズキくんの車へ乗り込みいざ今宮高校へ。

在日のみなさんが作った郷土料理を頂き、和太鼓やダンスなどの演目を観覧しおわって


最初にもらった名札に書かれていた番号でグループわけされる。

俺一人だけ全く知らんグループにほりこまれる。

完全アウェーの俺は、自己紹介してからボーッとしていた。
内心、おもんない。他人やばい。どうしよ。

となっているなか、ハンカチ落としゲームが始まるが、なされるがまま状態。

大人数いるなか、一方的に俺ばかり狙われ
罰ゲームをやらされまくる。

ハードゲイの物真似させられたり、一番恥ずかしかったことはなんですか?など

この頃の俺は対人恐怖症がひどく、すごく怖かったのに、みんなの視線が集まるなか立たされてやらされて、すごく嫌な気分になってしまった。


そして4時すぎ、車で送ってもらい
ガソリン代渡してかえった。


いくんじゃなかった。



【ナイトクラブ】


スズキくんにクラブ行こーよと誘われ、スズキくんのネーちゃんと一緒に行くことになった。

足回りガチガチでマフラー穴あいて、耳にふたせんとヤバイぐらいのちょーぜつ爆音の軽四で迎えにくる。

梅田へ向かうが、二人とも始めていくクラブらしく、迷いに迷って爆音を響かせながら走り回る。

足回りが固すぎて、車体は跳ねまくり、むっちゃ古い軽四で車内が狭すぎて、天井で何回も頭を打っていた。

結局、ネーちゃんの彼氏を呼び出し送っていってもらう。
走り屋の彼氏さんは運転めっちゃ上手かった。


そして、到着し
彼氏さんは車で寝て待ってるというので3人でクラブへ。

この頃はそこまで厳しくなくて、すんなり入れた時代だった。


初のクラブで俺は驚愕した。

音楽が爆音を通り越して、音楽いがいなにも聞こえない。
そしてタバコの煙か人の湿気か……一帯ボヤけてるし
満員電車のごとく、ギュウギュウ詰めにされ
女の人のいい匂いがしたり、おっぱいに手が当たったり……。

ナンパしまくってる男に、まんざらでもない女。
踊りまくってる奴がいれば、酒を持ちふらふらしてるやつ。


酒のまなやってらんねぇ!酒を飲み、ダンスセンスの欠片もない俺は、昭和の歌謡曲の踊りのようにひたすら体を左右に揺らし、頷いていた。

するとナンパされまくりながらネーちゃんが「キッツン全然おもしろくなさそうやん!」
と言ってきたが、本心すげー楽しかった。

ただダンスセンスないだけ!それと、俺はエエからそのナンパ無視してあげないで!


そして朝の四時頃、外に出た俺ら。
ネーちゃんはベロベロによっていて、警察官に「おつかれさまでーーーす!アハハハハハ!」と絡みまくりながら帰っていった。



【思い返す】


12月に入った頃。

雨が続いていた、なんてない日のこと。

いつものように学校へ向かう。

明日はテストのようで、大掃除だけして帰れる日だった。
定時制の俺たちはとくに全体掃除するわけでもないし、全日の子たちが毎日綺麗にしているので、大掃除と言うほどのこともなく
さらっとして学校をあとにした。


上の子と二人で、暇やから久々にゲーセンでもいくかー。
となり、歩いてすぐそこにあるゲーセンに二人で向かった。

一通り遊びながら、俺は思い返していた。


高校に入学したときは敵だらけで、仲間なんか全然いなくて、ヤンキーだらけで毎日がスリルとサスペンスで。

恐い上の子がいたり、ボコボコにされてるの見たり
シンナー吸って体からシンナー臭だしてる八奴おったり
原付二人のりでメットインにペットボトルシンナーつんで、売りさばいてる女の子おったり
工業高校ってヤバイんやなと後々気づいたり

普通にバイバイした奴も、次の日には顔面ボコボコになってたり

タバコ、サケ、カツアゲ、窃盗、傷害……なんでもござれの学校。


友達できだしてからは学校サボってここのゲーセンでキーくんらと遊んだり
夜な夜な飲みにいったり、悪いことしたり。


子供できたやつもおれば学校やめたやつもいて
長期休みを挟む度にどんどん人数は減っていき
恐い奴やヤバイやつもいなくなると同時に友達も消えていき

2クラスあった学年が半分いかになり、人クラスになった。


学年へ向かう電車、帰る電車。
あんなに賑やかだったに、今は俺一人。


ゲーセンの帰り道、上の子と
「卒業したら、きっとみんなバラバラになるな。」と話していて

俺らはもうすぐ社会に出て、慌ただしい毎日を過ごして大人になっていくんやなと実感した。


キーーンとひんやりと、どこか寂しい空気を感じながら俺らは帰っていった。


【高校忘年会】

今日は高校の友達たちで忘年会の約束の日だった。

昼前に起きて準備をして、集合場所へ。

キーくんと合流して、スーパーへ買い出しへ。

鍋をする予定なので、具材をてきぱきと集めていき、買い物おわるころにスズキくんが車でくる。

スズキくんの車へ全部積み込み、酒の卸売りへ向かう。

酒を大量に買い漁り、スズキくんの家へ。

キッチンをお借りして、キーくんは食材を切っていくなか、俺はひたすらつくねを作っていた。

スズキくんは車で他のメンツを迎えに出掛けた。


準備が一段落した頃に、いいタイミングで帰ってくる。


さっそく鍋を始め、乾杯をとり、学生最後の忘年会が始まった。



だいぶ時間がたち、大盛り上がりのなか
明日は仕事があるミナミが飲むのためらってた。

キーくんがなみなみに注がれたグラスをミナミに無理矢理持たせ
「なーんでもってんの?なーんでもってんの?ハイッ!飲み足りなからもってるの!!ハイッ!ノーンデノーンデ!ノーンデノーンデ!」
とコールをし出したのだが、ミナミがためらっているのを見た俺は「俺がかわりまーす!」とグラスをかっさらい
「おー!イッキ!イッキ!イッキ!」との声を右から左へ流し、目をぎゅっとつぶり飲み干す。

どうしてもミナミに飲ませたいキーくんは、ミナミの飲んでる途中のカンカンを新品とすり替えたりするので

俺の空き缶とすり替えて、俺が犠牲になったりしていく。



そんなこんなでベロベロになった俺。
ミナミが帰っていったり、他の奴が送られていったりをボーッとやりすごしていて

始めて喋る年上の女の子とたわいもない話してみたりして時間がたっていく。


そして朝の4時、残ってるメンツでカラオケへ。
部屋のなかを暴れまくって、歌えや飲めやのどんちゃん騒ぎ。
いかにも10代のクソガキって感じで楽しんでいた。


借りパクされた俺の中卒のアルバムを、キーくんに頼んで回収してもらっていたので
家に帰った俺は久々に見ていた。

誰これ?という顔が多く、俺がどれだけ学校に行ってなかったのかがよくわかった。



【学生最後の忘年会】


今日も学校へ向かうため地元の駅へ。

改札を抜けると、猫が1ぴきこちらへすり寄ってくる。
よしよし。と相手してあげると喜んでいた。
人懐っこいのら猫やな。
猫は寄ってくるのに、女は寄ってこんな……なんて思いながら、そこへやってきた電車へ乗り込み学校へ。

短縮授業なので、二時間で終わり
ミナミの単車に乗せてもらい帰宅。



そして夜11時頃、電話がなる。

「もしもし?キッツン、鍋パ中止になったー。」と地元のツレに言われる。

俺の家で、地元の忘年会で鍋パしよーとはなしていたのだ。

ショックながら電話をきると、すぐにもう一度電話がかかってくる。

「鍋パはなくなったけど、飲み会はするー。」後ろで複数のヒソヒソ声が聞こえる。
気に何ながらも「どこで?」
「キッツンの家。」ヒソヒソ。


そして電話は終わり、一人考え込んでしまっていた。

鍋パ中止になるのは何となくわかる。
でも、電話きってすぐにかけ直してきて飲み会はする?しかも俺の家で?

なんで、さっき言わんかったんやろ。

俺だけハブるつもりやったけど、寒さをしのげる場所が欲しいから俺の家にくるのか?
ヒソヒソうらで話してるのはそれか?


など、思考回路がネガティブな方へ回り始め、どんどん気分が落ちていった。


そんな気分のなか、バイト先の忘年会に呼ばれる。
学校をサボり、バイトをラストまでこなし
そのまま焼肉屋へ。
普通に楽しかった。前のバイト先とえらい違いやな。

終電はなく、車で家まで送ってもらい、朝方に駐輪場に預けてる自転車を歩いて取りに行った。

そして今日は地元の忘年会。

昨日の今日で二日酔いだが、身だしなみを整えて、卸売りで酒をかって集まるのを待っていた。

最初にカップルがくる。ラブラブな空気に心がくじけそうになりながら他を待つ。

みんなが集まった頃。

俺は無愛想かもしれん、感情だすのへたかもしれん。
だけど、みんなと遊ぶときは凄く嬉しいし、楽しい。
約束したら、その日まで向かって生きてる。

そー思っていると、
前の電話の件でみんなから謝られ、手土産をいっぱい渡される。

やっぱ、ただたんに俺の思い込みやったんやな。
俺の悪いとこやな。と思わされた。



みんなでだらだらと飲んでいた。

もうじき学生生活もおわって、慌ただしくなり離ればなれになって行く前に
俺はアシモトに告白するつもりでこの日を迎えていた。

酒が入ってる俺は積極的にいける。

コンビニにもスッと着いていけるし、寒がったら上着も貸せる。


だけど……だけど……


根性のない俺は告白のコの字も口に出せないままに終わっていった。


もう今年もあと少しだ。


【置いていかれる】


何もないクリスマスを凄し、遊ぶ約束してたキーくんにドタキャンはされ

凄く暇な日々を過ごしていた。


なんとなく。ほんとなんとなく。
中学時代カトウらとたまってた駄菓子屋の高田屋へ。

おー!と大袈裟な顔をおばちゃんにされ
「ひさびさやなぁ。引きこもりの息子も叔母ちも元気してる?」と世間話していると

おばちゃんの口から、カトウやらいろいろな懐かしい名前が出てくる。

そして、皆が皆が就職先も決まってるそうだ。


暇をも手余したり、恋愛や友達関係で悩んで毎日生きている俺は……


いったい何をしているのだろう。


みんな大人になっているなか俺はいったい。



【出会い】


邪魔物はいないし、卒業は近いし、就活もないし
たわいもなきことで笑いあったり、悩んだり
平凡であって楽しくもあるそんな日々をおくっていて
気がつけば2月になっていた。


学校は休みやし、バイトにせいをだしていた。

3時休憩の時。
ちょっとジュースでも買いに行くかと休憩室を出ると
表でイワガミくんが制服を着ている女子高生と思われること話していた。

なんだー?と思いながら通りすぎようとするとイワガミくんに声をかけられる。
「おー!タケシ!これ、うちの娘やねん!」

と急に紹介される。

まじか!あの噂の俺と同い年か!と顔をよくみると、なかなか可愛いやんけ。
どうやったら、あのチンピラみたいな風貌からこの子が生まれてくるんや?と思いながら

「そうなんすか!?ちわーっ!」といいながら通りすぎる。
恥ずかしがりか俺は。


そして次の日。

10時の休憩にイワガミくんに話しかけられる。
「おいタケシよ!昨日おうた娘とメアド交換したってくれよ!」と言われ
「えっ!?なんでっすか!?ぜぜぜぜ全然いいっすけど!!」と焦る。

メアドをイワガミくんと交換していると
もう一人の社員が横からチャチャいれてくる。
「タケシ!変なことしてぶち殺されんようにな!あっ!タケシやったら10回はぶち殺されるかもな!アハハハハハ!」
やめろ!余計なこといいなさんな!と思いながら苦笑い。

ヨシダさんか素晴らしい笑顔で「ワクワクすんな!」と言ってくる。何がや!

イワガミくんが腕をくみ目をつぶり頷きながら「まぁ、付き合うのはお互いのことやからなぁ。」と

まてまてまて!話し進みすぎい!



そんなこんなで家に帰ってくるなりメールがきて
お互いのことを話し合った。



【卒業】

卒業式の日。

みんなスーツでぞろぞろと集まり出す。
彼女つれてきたりと和気あいあいとしていた。

ただ、キーくんは卒業できなく、いつも通り私服で着てベンチに座っていた。

自動車科、電気機械科、普通科など学科があるのだが、自動車科だけくそ賑やかだった。
毎年、自動車科はうるさいそうだ。

卒業証書を一人一人酉にいくのだか、そのたびに「ひゅーひゅー!いいよいいよー!」と煽ったり騒いだり。

湿っぽくならずに、俺らは卒業していった。


帰りの廊下で俺は普通科の子をナンパしてメアド交換して
ツレらでミスタードーナツによった。
ミスタードーナツでさんざんナンパの事をひやかされ

スズキくんと俺は電車に乗り帰りだした。


スズキくんは、もう卒業したわけやし、学生じゃないから話させてほしいと言ってきた。


「俺、先生に惚れてるねん。」
優しくて若く見えるし可愛いと。
年が年やしなぁとかいうが、別に関係ないと思う。
ちょっとしたレストランに誘ってあるらしく、今度いくねんと話してくれた。

頑張ってくれよ。スズキくん。



そして家についた俺は、母親から寿司を頂き眠りについた。


卒業生宛にクラスみんなで色紙に一言書くのがあって、カラフルな文字にかこまれてる俺がそこに書いた言葉。



「一生懸命歩け。」



おわり



社会人編へつづく

社会人


あくる日…慣れた足取りで教習所へ向かった。

辺りは暗くなりつつあった頃だった。

「…寒い。」

寒空の下。教習所のコースを眺めながらタバコをプカプカとしていた。

時計をみると時間が迫っていたので、タバコを灰皿に捨て、配車券に書かれている番号の教習車両の前へ向かった。

車の前で待っている、教官に喋りかける。


「よし…じゃぁこの車に乗ってな。」

俺は④番と書かれたMT車のドアを開け、座席下にあるスイッチを上げた。

バン。
と軽快な音を立てトランクが開いた事を確認する。

荷物をトランクに詰め込み、勢いよく閉めた。

慣れたように、スローガン的な物を読み上げ運転席に乗り込み、
鍵を閉め、座席を合わし
シートベルトをしめ、ルームミラーを合わせ
おっさんの話を聞き
クラッチとブレーキを踏み込み、ローにギアを入れ、ハンドブレーキをさげ
指示器をだし、アクセルを気持ち踏み込み
クラッチを半分あげ、車を転がして行く。


前へ前へと進んで行く車の中で

俺の人生は前へすすめているのだろうか。

いや、ちょっとずつだけど、俺は着実に進んでいるだろう。
嫌な事から逃げなくなったし、言わなきゃイケない事も言うようになった。


空は地味に暗い。周りの車たちのテールランプやヘッドライトが俺の目に映る。
淡い色に染まった車と光が流れて行く。

それをみて綺麗だなぁと思いながら、今日の俺は非常に落ち着いている事を知った。


今日は、全てが上手く。楽しく行きそうな気がしていた。


無線コース2番の練習をさせられる。
坂道発進や、踏切の走行、S路にクランク

上手く行く。

安全確認がイマイチ反応できなかったのを覗いて…。

無線車両が集まって止まっている場所に、一度停車する。

すると俺の横に、赤の車(AT車)が一台止まっていた。


何気なくだ…

道を歩いていて、チラッと人を見てしまう

そんなノリで見たんだ。


赤い車の中には見覚えのある顔が。


(……カトウ……。)

カトウが車内で教官と喋ってるじゃないか。

(くそっ…。)

そう思いながら、アクセルを踏みこんだ。

ブゥゥゥン!と車は唸りを上げ発進した。


何度も、何度も…カトウの車とすれ違う。


いつだってそうだ。

忘れた頃にカトウの存在がチラつく…もう大丈夫なはずなんだ。

過去の話なんだ。

ただの記憶や、苦い思い出にすぎないはずなんだ!

なんだ…。
なんなだこの表現できない気持ち!

くそっ!くそっ!!



気がつけば1時間が過ぎ、次も無線を控えてる俺は
待ち時間の間ベンチに座りタバコを吸っていた。

(もう、カトウは帰ったんか…)
車を降りてから、姿を見掛けることはなかった。


タバコを吸い終わった俺は無線をする人が集まる場所へ向かった。

俺は目を疑った。

(う、嘘やろ…。)

そこには

カトウがいた。



「あっ!」

カトウは誰が見てもビックリした顔をしている。

俺は拳を握り締め勇気を出した。
「よっ!久々やな。お前も教習所きてたんか。」
あえて知ってた様子をみせない俺。なんとなくだ。

「キッツンも無線?」
「まぁな。」

側にいた教官が口を開く。
「なんやぁ、君ら知り合いか?」

「そぅやねん。」俺は笑顔でうなずく。

「きっつん、おっきなったなぁ!」
「そっか?お前こそ変わったな。」
「おっきなったなぁって、おばちゃん見たいやな君。」

全員で爆笑する。

「俺よぉ、もぅじき教習所の期限切れんねん。だから、仮免しかとれん状態。」
「嘘ぉ!?いつから来てん?」
「え?あぁ、去年の夏ぐらいから。」と空を見上げながらドヤ顔言うと
教官に背中をポンッと叩かれる。「君ぃ。自慢することちゃうで。」

またまた爆笑。


なんだ…これ……。表現できない気持ちは変わらない
でも、なんだか楽しい。俺、素直に笑えてるし、喋れてる。


不思議な感覚に陥り始めた時、生徒が1人きて
無線の説明が始まり、俺は92番に乗ることになりカトウは93番に。

いつも通りの手順を行い、91番が発進して、後を追うように俺も発進する。

カトウが横にいるからか、足が言うことを聞かない。

ブゥゥゥン!と唸りを上げながら俺は発進した。


最初の無線で、この一番のコースは体に染み付いている。
指示器を出すタイミングに、変速するタイミング。
曲がれる速度や、道順、完璧なんだ。


ただ一つ。
俺の後ろに、ピッタリ着いて来るカトウが居ることを除いては…。

どれだけ進んでもルームミラーを見ればカトウの車が。

止まれの標識で止まったり、信号待ちや、優先車待ちしてるときにはカトウの顔が…。

暗いのに顔が見えるってことはピッタリと後ろにいる証拠。
嫌でも右足に力が入り車は加速する。

しかし離れない。

レースじゃないんだから気にしなくていいんだ。

でも…。


時間が半分たったことを告げる無線が入ってから、どれだけ時間がたったのだろうか。

俺は完全に落ち着きを取り戻していた。
そこへ無線が入る。

「ザザザッ…もうじき終わるので、外周の内側(左車線)を走っていてくださいね。」

俺は加速する。
いつもより速い速度で走り続け、曲がりつづける。


しまいには前にいた車に近付いてしまい、ノロノロと後ろを着いて回る。

「はい。じゃスタート地点の発着点に戻ってください。」
「92番の方は3番に止めてくださいね。」

俺は素早く止めにかかる。ハンドブレーキをかけ、ローギアに入れたままにして
ライトを切り、クラッチを踏みながら鍵を1番左まで回す。
クラッチを離し、座席をさげ、トランクを開けてドアを開く。

一緒にカトウも降りて来て、喋り出す。


「きっつん、日頃乗ってるやろぉ?」と昔と変わらんいたずら顔。
「え?あぁ、昔に練習したぐらいやで。」
「ウチも練習してんねんで!」
あんな煽り運転みてたらわかる。
「やろぅな…ってかAT乗ってるとは思ってなかった。MTかと。」
「そんなわけないよぉ。めんどくさいし。」
「まぁな。」

そこへ、教官が原簿を持って走って来る。
「ごめんごめん!ふぅ~寒っ!よぅこんな場所で待っててくれたなぁ!」
笑顔で3人ともうなずき、原簿を渡され帰ることにする。

カトウと歩いて教習所内へ向かって行く。
「ウチなぁ。今日も車で向かえに来てもらうねん!いぃやろ?」とまたいたずら顔。
「うわっ!えぇなぁ。」とややオーバーリアクション。
「お嬢様やからさ!」ふんっとドヤ顔をする。
「へぇ!お嬢様ねぇ。勝手に言うとけ。」
「お嬢様やもん!きっつんは自転車?」と辺りをキョロキョロ。
「ん?そやで。あーあ!寒い寒い!」と腕をさする。

原簿を返却して俺らは入口へ。

「あれぇ、おかぁさん来てない…。」外には見知った顔は誰もいない。
「ほんまやなぁ。」
そう言いながらタバコをくわえると
「あっ!タバコ吸いなやぁ!不良!」

そうか。あのときはまだ吸ってなかったっけな。
「あのなぁ。タバコ吸ってんの知ってるやろ?タバコぐらい吸わしてくれ。」

なんとなくだ。

寂しいかなぁと思って、何も言わずカトウと花壇に座った。

「きっつん、帰らんの?」
「え?まぁ暇やからな。」
久々に喋っておくのも悪くない。

「きっつん仕事してるん?」
多分、ドカジャンを着ているから、そう思ったんだろう。
「ん?まぁしてるよ。」
「どんな仕事?」
「シンクとかあるやろ?」
「ん?うん?」
「お前、シンク知らんのか?じゃぁなぁ、学校の机あるやろ?あれ 木の断面映ってるやろ?あれ、シートなんやし。あんなん作ってんねん。」と手振り身ぶり説明する。
「工場?」
「まぁな。」
「てっきり、そんな格好してるから、漁師さんかと思った。」
ズコッとコケたふりして「よう言われる。」


そうこうしてるうちに

改造された白色のマーチが重たい音を響かせながら現れて、目の前にある旧の26号線にハザードランプを焚いて路駐する。

カトウの親の車だった。
母親が運転して迎えにきたようだが、なんか気まずくて声もかけないままにカトウとだけバイバイして
カトウが乗り込んだマーチの爆音が遠く聞こえなくなるまで、手を振るわけでもなく見送って、俺はマウンテンバイクに股がり帰路についた。

同じタイミングで同じ授業を受けていると言うことは、これから先も何度か会うのだろう。
そう考え、なんともいえない気持ちになり

その日はなかなか寝付きの悪い夜になった。

【応急救護】


教習を連チャンで入れて、早く終わらせよう。
そう思い、明くる日も明くる日も教習の日々だった。


応急救護の授業の日。

精密なマネキン相手に練習するのだが、知らんやつらとまとめてやることになり、俺を含めて五名で受けていた。

「はい。では、ここに倒れている人がいます。」寝転がっているマネキンを指差す。
「まずは意識が有るかどうかの確認をするため声をかけます。」
仰向けになってるマネキンの肩をバシバシと叩きながら
「肩を叩きながら、もしもし!大丈夫ですか!など声をかけてみましょう。」
女子を指差し「はい、そこのあなた!やってみて!」

「えっ…………」まじでか見たいな顔をしてる。

学校は学校やけど、まさか注目されるなかで一人でやらされるとは誰も思っていなかったに違いない。
場の空気が、あの学校の教室で名指しで当てられ答えさせられる時の緊張感に包まれる。

(やべぇ……俺があてられませんように!たのむ!)と誰もが思ってそうな顔だった。

「あっ……えーとっ…………も、も、もしもし……大丈夫です……か……」ポンポン。
恥ずかしがっている。まさかだったよな。そうだな。かわいそうに。


呆れ顔の教官は「えーとっ声が小さいですね。はい次あなた。」
鬼のように見える教官が指差したほうは


俺かよーーーー!


…………ちっ!やったろやんけ!!

なぞの勢いが出た俺は天高く右手を挙げる。

「もしもーーーーーし!!!!きこえますかーーーー!大丈夫ですかー!!!」
と自慢の大声と言うか、ほとんど叫びに近い声量をだす。

天高く挙げた手を振りかざし、バシッ!バシッ!とツッコミのように肩を叩く。


そこにいた教官も含めて全員爆笑。

よっしゃ!勝った!となぞの勝利を確信した俺。

「いいねー!それやったら意識戻るな!」と教官に冷やかされる。


教官はどうやら俺を気に入ったようで、その後も俺ばかり当ててきて、さすがに何回もあの勢いは恥ずかしくならざるをえなかった。

あの野郎。


人の目が人の影が怖くて生きてきた俺も、勇気を出せばこんなことも出来るんやなと思えた1日だった。


カトウともやはり頻繁にあう。

休憩室でたわいもない話ししたり、カトウの彼氏の話ししたりと
なんか普通に喋れてる俺がいた。

俺は吹っ切れているのだろうか。


ただ、強がっているのだろうか。


【】


いつものごとく残業してから、自分のロッカーを開け着替えようとしていたとき
長机の上に置いていた俺の携帯に着信アリのブルーランプが点灯しているのに気づいた。

見てみるとミナミからだった。
携帯を肩で挟み、着替えながらかけ直してみた。

「おつかれさん!キッツンいつ終わるん?」
「おつかれ。今終わって着替えてるとこやで。」
「暇でさー水間の駅まで車できてるねん!」

とミナミに言われ、バイト先の工場を口でナビして迎えにきてもらう。

母親の彼氏か再婚相手か分からんが、そのおっちゃんの軽箱だった。
免許とって、意気揚々と乗ってきたのだろうか。

仕事用の車だけあって、音楽が何もなく
俺の携帯の音量をマックスでオフスプリングというグループの曲を聞いて帰った。

つづく

人生を記録に

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  • 小説
  • 中編
  • 青春
  • 恋愛
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-09-13

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 誕生から小学生卒業まで
  2. 中学生
  3. 卒業から高校入学まで
  4. 高校1年
  5. 高校2年
  6. 高校3年
  7. 社会人